トルコンATならではのロケットダッシュとして、ブレーキペダルを踏み込んでアクセルペダルを全開にしてブレーキペダルを一気にリリースする加速方法、私はABダッシュと呼んでいるのですが、これが車種によって少し動作が違うことに気が付きました。
アクセラ・CX-5・Mazda3の3車種で試した時にそれぞれ動きが異なったので、今回はそれについて書いてみます。
(毎回内容がマニアックですよね)
まず、やり方についてです
1.停止してアイドリング状態にする
2.Dレンジからマニュアルモードに切り替え、1速(M1)にする
3.DSC/TCSをオフにする(スリップ量を自分で調整したい場合)
4.ブレーキペダルを踏み込む
5.アクセルペダルを底まで踏み込む(キックダウンスイッチを押す)
6.リアサスペンションが沈み始めたらブレーキペダルを離す
※路面コンディションや駆動方式、タイヤの種類などにより、タイヤが空転する場合がありますのでご注意ください
※この内容を読んで試して、壊れたり事故につながっても責任負いません
上記の手順を次の車種で行った結果、それぞれで動作や100%の力で加速できるタイミングが違うことに気がつきました。
1.アクセラ(BM) 15S
→1500cc / NA / ガソリン / 6AT
2.CX-5(KF) 25T 6AT
→2500cc / ツインターボ / ガソリン / 6AT
3.Mazda3(BP) XD 6AT
→1800cc / シングルターボ / ディーゼル / 6AT
まず、アクセラですが、アクセルをONにしてから約0.7秒ぐらいで回転数が上がりきります。だいたい2000~2500程度でしょうか。
そのまま踏み続けてもトランスミッション内の温度が上がってしまうだけで加速力は変わりません。
回転数が上がりきった状態でブレーキペダルをリリースすることで最大加速Gを得られます。
このタイプを「リニアタイプ」と呼称することにします。
次に、CX-5ですが、これはガソリンツインターボモデルなので、回転数が上がりきるまで、少し時間がかかります。
また、ブースト圧が上がってからは更にトルク感が強くなります。
大体アクセルを踏み込んでから1.2秒後に最大加速Gを得られます。
このタイプを「ターボタイプ」と呼称することにします。
最後に、Mazda3ですが、これはディーゼルエンジンです。しかし、2.2DTと違ってシングルタービンなので、同じディーゼルでも旧モデルとはフィーリングが少し異なるかもしれません。
この1.8DTは少し特殊で、アクセルを踏み込んでから一旦回転数が上がって、底からさらに回転数が上がります。しかし、その後回転数が落ちてしまいます。
つまり、回転数が上がりきるまで時間がかかり、しばらくすると回転が下がるような動きをします。
このタイプを「抑制タイプ」と呼称することにします
文字だけでは非常にわかりにくいので、グラフにしてみることにします。
まず、グラフの上部にはテスト車種が書いてあります。
グラフは左から右に時間経過の状態を示しています。
グラフは1/4秒(0.25秒)刻みで示しています。
アクセルを踏み込んでからの時間です。
オレンジ色の線はエンジンの回転数です。
青いバーは、その時のエンジン出力を示しています。
こちらが、リニアタイプであるアクセラのグラフです。

アクセルONから直線的に回転数と出力が上がり、上がりきるまでの時間も短いです。その後上がりきった状態から変化することも有りません。
続いて、ターボタイプであるCX-5のグラフです。

立ち上がりまで時間がかかるのは、ブースト圧が最高点まで上がりきるまでに時間がかかるからだと思います。
最後に難解なターボ抑制タイプであるマツダ3のグラフです。

グラフにすると、3段階の出力状態が有るように見受けられます。第一段階は0.5秒付近にある、低回転の状態です。AT誤発進抑制機能が働いているのか、何故か低回転の状態で一度回転の上昇が止まります。
第2段階はフルパワーの状態です。時間軸で見ると1.25秒~約1秒間です。
この時にブレーキペダルをリリースすると最大加速Gが得られます。
第2段階を越えると、今度は出力が抑制された第三段階に遷移します。
この状態では、第2段階よりも回転数が下がり最大加速Gを得られることが出来ません。
これは憶測ですが、エンジン保護や煤の発生抑制など様々な理由でこういった動作をするのだと思われます。
正確な数値ではないものの、こういった動作をしているのは体感的に感じます。
実際に市街地を運転する上でこういった知識や技術は全く必要ないのですし、レースのスタート時やベンチマーク目的でしか使えないようなものですが、こういった発見をするのは楽しいことですね。
※あくまで体感であり、OBDなどの装置から計測したわけではありません
※年式やPCM(ECU)のアップデート等により同じ動きをしない可能性があります
※重ねていいますが試して壊したり事故っても責任取りません