
大型模型の制作には結構太いボルトを切ったり、メチャ硬いドライカーボンのパイプを切ったりと結構な頻度で発生します。
とは言え、大きな切断機が必要な程の物でも有りません。
アングルグラインダーに切断砥石を付けた程度で十分なんです。
でも手斬りじゃ綺麗に切れないし専用品はバカ高い。
そこで見つけたのがコレ。
ディスクグラインダーを取り付けて、高速切断機として使えるようにするスタンドです。
商品名をディスクグラインダースタンドというこの商品、色を変えたりしていろいろな所から販売されて居ます。
(中身は一緒)
言ってしまえば中華製ですね。
これ、無茶苦茶安いのですよ。
税込み3000円しないという破格で、日本の販売会社名が輸入販売元という中華丸投げというより、安かったから売ってみました、みたいな商品です。
こんなもので真面に切れるとは自分は思っていないのは当然ですが、意外にも箱を持ってみると重い。
で、素材(ブログの素材じゃなくて、高速切断機を作るための素材です)にはなるんじゃないかと思い、高くも無いので買ってみたわけです。
実は普通に売ってる高速切断機、大きすぎて自分の用途には合わないんです。
コレでも12ミリのボルトなんかは簡単に切れますし面は出ない物の30mmφ程度なら切れますしグラインダーを手持ちで切るより安全で綺麗です。
結論
そのままでは全く使い物になりませんでした。
いえ、切れることは切れるんです。
「斜め」に・・・。
いくらグラインダーの刃の垂直を出しても、刃が袈裟懸けのように左上から右下に勝手に移動します。
これは、スタンドのアームが台と直角になっていないことを意味します。
台に取り付けてある、アームのベースの左側が下がっているためこの様な動きになるわけです。
説明書ではグラインダーの固定アームを移動して調整するような事が書いてありますが、これ、どうやっても絶対に調整取れません。
アームの直角を取らない限り絶対に無理で、多分輸入業者は組み立てたことも無いのでしょうね。
まあ、部品の過不足は当たり前の中華製にとってちゃんと数が入っているのは評価できるのですが、このネジ類がやっぱり残念な仕様。
ネジ一つとってもこのありさま。
左側が今回ついてきたネジ。右側が別の中華製の道具についてきたネジで30年前に入手。
30年前のものから比べたら大分ネジ山は改良されたのか山が深くなっていますが、どちらもM5×15mmのミリネジです。
30年経っても進歩の様子も有りません。
トラスネジのような格好の、鍋ネジより小さい頭、もちろん頭のドライバーを掛ける部分も底が浅く、どんなドライバーもまともに食いつきません。
左側はかろうじてバインドネジの形状に近いものの、大きさは鍋ネジより小さい。
なので、C(中華のCね)バインドと勝手に呼ぶことにしました。
どなたか中国の規格に詳しい方がいらっしゃったら教えてください。
これにぴったり合うドライバーなんて私、知らないです。
ちなみに、日本製のナベネジと並べるとこんな感じ。
右がISO規格の同じM5×15mmナベネジ。
同様にトラスネジと比べるとこんなん。
左からCバインドネジ、ISOナベネジ、ISOトラスネジ
やはり、見るからにネジ山が低く、実測しても公差を大きく取ってあるのか細いです。
つまり、中華ネジは公差が大きくガッタガタ、ネジ山は低くかろうじて引っかかっている、材質はメッキを掛けたようにテッカテカで、材質も強度も解らない。
こんなのに12000回転も回すグラインダーを付けて回す蛮勇は私にはありません。
で、このCバインドネジについてきたナットがすこぶる素敵で、ナットの真ん中に穴が開いていない。(爆笑
左が付いてきたCナット(中華ナット)、右が日本の1種ナット。
日本なら不良品として弾かれる品質ですね。
ちなみに、中華製は何故か2種ナットです。
日本では1種ナットが普通ですが、中華では2種ナット(両面面取り)が普通なのでしょうか?
確かに図面へ指定しなければ2種ナットを標準とするのが国際的ルールなんですけど、日本ではダブルナットの指定に2種ナット指定する程度ですもんね。
2種ナットは1種ナットよりも面取りする分、ワークへの固定力が応力的に不利になります。
しかも、ドーナツ状の面でしかワークに当たらないため振動や応力には弱く、緩みやすいという欠点があります。
まあ、何故か2種ナットより片面が面取りしていない1種ナットの方がコストがかかるらしいんですが、ここまで酷いのが中華の現状です。
実は日本でも1種ナット、2種ナット、3種ナットの使い方を知らない人が多すぎます。
橋とか締めてあるナットを見る癖が有るんですが、平気で2種ナットで締めた後に、3種ナットでロックしているのを目にします。
本来は3種ナットで締めた後、2種ナットで締めるのが応力的に正しい使い方なのに知らないか、やむおえない事情があるのでしょうか。
まあ、私なら1種ナットで締め次に2種ナットで締める指定をするが、確かに2個並べて1種、2種と重ねてロックナットを構築すると高さが出てしまう。
オーブン環境でボルト高さの制限のない場所に、あえて3種ナットを逆に付ける理由がわからない。
で、話を戻すとすべて日本製のネジに入れ替えました。
値段はバラで買っても1000円近くかかったけど、こんなネジで精度が出せるとは思えないし、なにより危険です。
カラーボックスや机程度ならこれでもOKかもしれないが、高速回転するグラインダーを止めるには怖すぎます。
8mmのボルトも付いてきたのだが、コレである。
得体の知れないテカテカのメッキ仕様です。
ナットの頭も丸く高確率で舐めるのは使う前から解ります。
数字は4.8とあるので、最少引っ張り耐力が400N/mm2降伏点が80%の320N/mm2のボルトな筈。
これ見よがしに、誇るように中央に打刻されて居ます。
もちろん信用など絶対に出来ません。
何せ軟鉄の焼きも入れて居ないネジにクロムメッキするお国です。
信頼性なんか皆無です。
恐ろしくて使えたもんじゃ有りません。
お次はキャップボルト。
コレである。
左側がC(中華のC)キャップ、右が日本の同じキャップボルトです。
長さが異なるが手持ちがなかったので、同じM6のキャップネジを並べてみました。
規格が異なるので一概に言えないが、明らかに頭がCキャップは小さい。
しかも、よく見て頂きたい。
キャップの穴が真ん中にない(爆笑
規格の打刻はあるようなのだが、意図的なのか打刻不良なのか全く規格が読めない。
しかも、問題はこれだけでは有りません。
キャップの穴が致命的に浅い。
応力的に有利なはずの12.9の日本製キャップネジよりはるかに薄く浅い。
こんなのにネジサイズの規定トルクを掛けた日には、一発でネジの方が破断するか舐める事は間違いありません。
コレ全部このグラインダー切断機に付属していたネジなんですよ。
怖いですねー、12000回転で回る切断砥石、片手の指4本位なら簡単に飛ばせるんです。
結局一個も使えるネジはありませんでした。
まあ、こればかりではなく多々交換と修正を繰り返し、なんとか使えるようにしたのがこちら。
黄色い丸の部分を見て頂くとわかるように、アームの左側に銅製のシムを挟み込み、アームが台と垂直になるように修正しています。
最初はオイルストーンで修正しようかと思ったんですが、なんと2.5mmもあてがいやっと何とか許容できるレベルになりました。
フライスでも無きゃ対応出来ないレベルです。
後日、2.5mmのテーパーを作り入れ替えるつもりです。
中華製に精度が無いとかガタつくとか文句を言う人が多いけど、当たり前なんです。自分に言わせれば自業自得です。
嫌なら、10倍以上の金を出して日本製か一流メーカー製を買ってから文句を言うべきで、この価格帯に文句を言うことは中華の基準を舐めて居ます。
キチンと基準が有っても守らないのが中華テイスト、隙さえ有れば手を抜くお国です。
このリスクを知り、許容できる人は買ってもいいと思います。
もちろん、それには自ら修正するほどの力量も必要なことは言うまでも有りません。
精度と強度に必要な対価を払っていないのですから。
だから、修正のできないハンドツールは10倍の価格を払ってでも高いものを買う価値が有ると考えるのです。