
RC飛行機においては、六角レンチのお世話になることが非常に多いんです。
ロッドストッパー、タイヤストッパー、大型機ではほとんどが六角ネジです。
しかもその殆どがイモネジと呼ばれる特殊なネジ。
で、工具の入手に困るのもこの六角レンチ、特にインチサイズが非常に入手しにくいのです。
世界はほとんどが「ミリ」規格なのになぜかUSAだけは頑なに「インチ」規格を採用しています。
アメリカならホームセンターで手軽に買える「インチ」規格の工具も、日本では大型のホームセンターでやっと数種見つけられる程度です。
近年は、ネットのお蔭で何とか手に入るようになってきましたが、たまに「ボッタくり価格」を平気で付けているところが多く見かけます。
米国のハンガー9社のキットや半完成機は、すべてのネジ、ボルト、ナットにインチ規格のものが付属し、製作を困難とします。
まあ、愚痴はこのぐらいで、今回はこの六角レンチにスポットを当てましょう。
先ず六角レンチというと、頭に浮かぶのがこれでしょう。
100円ショップでも手の入るコレ。
絶対に100円ショップで買っちゃダメなヤツです。
ネジは緩まない、締まらない、舐める、折れる、曲る、捩れる、トドメに折れた部分が刃物の様になりかなりの深い怪我負います。
最近ホームセンターで見かけるようになってきたのが、ボールポイントと呼ばれる六角レンチで、先っぽがボールのように丸くなっていて、ネジやボルトにまっすぐ差せなくても回せる機能です。
こんなのね。
しかしながら、コレは使う場合、注意を要します。
コケシの首のようにくびれているためネジに規定トルクを掛けると、ネジの内部でここから折れるのですよ。
だから、フルにネジのトルクを掛けたい場合は、上記の普通の六角レンチが安全です。
まともなメーカーなら注意書きに「ボールレンチ側では本締めをしないでください。」と記載されているはずです。
ではどのぐらいか。
実は「半分のトルク」が精一杯なのです。
メーカーによっては1/3のトルクでも折れた事が有ります。
L型の六角レンチの場合は、短部をボルトに差し込み、長い方の端を押してあげると、当然しなり出します、目に見えてしなり出したら、ここらへんがネジも工具も大体限界に近いんです。
(中華ネジと中華工具は除外)
ネジの相手(受け側)がアルミだったら、さらにこの半分がトルクの限界。
これ以上トルクを掛けると母材側のネジ山を舐めることになります。
緩む場合は低強度か中強度のネジロックを併用するのが正しい方法です。
とくに、イモネジの場合は、厄介で抜くことができない場合が多く、ネジの頭の中にボールが折れて残ってしまったら地獄です。
六角ドライバーは、海外製の場合ほとんどがボール先端になっていることが多く、通常の六角が少ないです。
まあ、トルクを掛ける場合は、T型のハンドルで売っているが、狭いところでは使いにくいのです。
しかし、なぜか日本製のの工具に良いものを見つけました。
これです。

アネックスの六角レンチドライバーです。
精度は、そこそこ。
先端の持ちは悪いけど価格も数百円程度で買え、先端がすり減ったら使い捨てと考えれば惜しくは有りません。
奥まった部分にネジを入れる場合、ボールポイントだとネジが堕落しますが、まっすぐな先端だと下方へ向けない限り落ちることは有りません。
ボールポイントでネジの保持機能を持つのは、私が知っているのではボンダス社の「プロホールド」だけです。
「磁石を使えばいいじゃん」という人も居るが、そういう人は、SUSネジやチタンネジは磁石が効かないことを知らないのでしょうね。
しかもこのボンダス社、材質が良くあるクロームバナジウムではなく、プロテニアム合金と呼ばれる材質で、クロームバナジウムどころか、クロモリ鋼より強靭で高級工具に使用されているS2鋼さえ凌ぎます。
では、高価なのかというとPBスイスよりは安いというなかなかのメーカー。
世界で初めてボールポイントを開発したメーカーであり、宇宙船や海上油田の標準工具として採用されてるのは有名らしい。
まあ、宇宙から「工具壊れたのでちょっと取ってくる」ができない場所での採用はそれだけの実績に支えられているのでしょう。
メーカーが公開している「保障トルク」も他社より抜きん出て高いのがボンダス社です。
自分も30本以上ボンダス社の六角レンチを持っていますが、一度として折れる、曲がる、欠けるを経験したことが有りません。
精度も非常に高く、レンチとボルトの公差が2.5ミリの六角で0.0127mm以下と決められており、中国製のネジに使用する以外はガタツキが一切有りません。
逆に、ネジの頭に煤や汚れが付いている場合は、入らなかったり抜けない場合もあるので注意が必要です。
キャップの頭が錆びてたりしたら絶望的に入りません。
自分は、錆びたり汚れているであろうネジには、日本製のレンチを使い、きれいにして本締めをする場合はボンダスを使用するといった使い方をしています。
良く使う、1.5ミリや2ミリは1本持っていて良い工具メーカーで、価格もけっして高くは有りません。
問題は、この工具の感触を覚えてしまうと、他社が頼りなくて使う気にならないことです。
勿論PBスイスや海外一流メーカーも悪くは有りません。
価格を除けば。
あ、くれぐれも中華製の六角レンチは論外の精度と強度ですのでご注意下さい。
良くてネジを舐めるか刃物の様に折れて怪我しますから。
工具自体に強度もなく、小さなサイズの場合は精度も10%単位でインチキ。
すべてが真直、真円なとどという言葉とは無縁の工具で、使っていて折れる、欠ける、曲がる、依れるは日常茶飯事。
材質表示、サイズ表記などはすべて当てになりません。
使えば、ネジやボルトを高確率で破壊する。(もちろんネジは緩まない、締まらない)
まして、電動工具に使用した場合は何が起こるか分かりません。
使っていて怪我をしなかったらラッキーというシロモノ。
素人でも絶対に手を出してはいけないレベルです。
100円ショップの工具は全てコレです。
Posted at 2025/01/22 21:40:50 | |
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