
何処のご家庭にも必ず数本有るドライバー、正式名称がスクリュードライバーと呼ぶ事を知って居たら大抵工具を使う仕事で飯を食って来た人と言えます。
今回は、自分が使用している工具を紹介してみようと思います。
実は、ラジコンの工房で使用する工具と、フィールドで使用する工具は分けています。
勿論車の整備に使用する工具も出来るだけ別にして居ます。
工具のサイズやトルクが全く異なるからです。
多くのRCフライヤーの飛行場は舗装なんてされていません。
ごく普通の河川敷の土の上というのが最も多いパターンなんです。
この河川敷、工具を使う上で一つ問題があるんです。
とにかく、砂鉄が多い、いや多すぎる!
こんな場所で磁化しているドライバーなんか落としたら先端は砂鉄だらけで、これが原因でカムアウトしたり、ネジを壊してしまう原因となる。
だから、フィールド用の工具は徹底的に脱磁して磁石には近寄らせない。
自分が工具箱に入れて持ち出すドライバーがこれ。

別にPBファンではないが、PBのクラシックハンドルのドライバー。
この工具は長年使われ徹底的に改良されつくし、その品質と安定性には誰もが認める物です。
にわかな工具好きな人は「weraの方が良いよ」なんて言うが、これこそ工具を使ったことの無い証拠。
自分も大型の分析装置を相手に15年以上据え付けや、修理・メンテナンスを行ってご飯を食べていた身です。
昔の機械ならほとんどの分析装置の据え付けと修理のライセンスを持っている。
Weraも精度も良くいいドライバーです。
それは認めます。
だが、ダイヤモンドコーティングとレーザーチップは取れないネジや舐めそうなネジを相手に、やむおえず取るための道具でしか無いと思って居ます。
再利用せず捨てるネジならOKですが、再利用するネジにこんな破壊型の工具は使わない方が良いです。
つまり日常的に使用するドライバーではないのです。
それはネジに食いつくメカニズムにあります。
ネジの頭に物理的に食いつくのですよ。
当然、ネジには傷が付くし表面処理の膜は破壊される。
次に起こる現象はネジの錆です。
たとえ相手がステンレスネジでも、ステンレスに錆を誘発させることが多い。
ステンレスに他の金属で有る工具の金属が付着する事によってステンレスの錆が誘発されます。
(これ、意外にプロでも知らない人が多い)
ステンレスのネジにはステンレスのドライバーが必要となる。
なぜ、ステンレスの工具が売っているのかを考えればすぐわかること。
酷い場合は数年するとネジの頭の錆が進み、下手をすると頭が取れる。
整備事故の発生です。
だから自分はネジを交換する時以外は、こうした破壊型ドライバーは使いません。
多くのプロ(工具を使う事で飯食ってる人ね)も持っている人は居るが、ちゃんと理由を知った上で使っているのです。
素人に毛が生えた「にわか」ほどWera押しが強いのは気のせいだろうか。
酷い場合は、ショップが一押ししている程で唖然とする。
(確かにど素人に持たせるには良いかもしれないが、その前に工具の使い方の基本を教えてやれよ)
だから、Weraは普通のドライバーもちゃんと供給している意味さえ分からないのだろうか、動画などでは偉そうに講釈を垂れているが全く信用ならない。
勿論安物のマイナスドライバーも持っているけど、ドライバーとして使うのでは無く、カシメを起したりプライバー代わりに使用する為で、折れたり欠けたりしても惜しく無い為です。
では、工房においてあるドライバーはというと、コレ。
確かにPBが多いが、プラスドライバーに至ってはアネックスのフォーラインです。
確かに減りも早く、大きな力を掛けると先端が変形する。
だが、意外に日本のネジと相性はいい、中華ネジとは最悪ですけどね。
これで、外れないのはオーバートルクで締まっているか、焼き付きなどで固着している可能性が高い。
ネジの相手がアルミの場合無理は禁物です。
この場合、別の小型のハンマーで軽くドライバーの尻を叩いてやると簡単に外れます。
バイク屋さんのクランクケース外しの常套手段ですね。
たまに、相手がステンや鉄なのにガンガン叩いている人を見るけど、アルミのようには緩まないですからねえ。
潔く、ショックドライバーを使うのが普通の手段です。
で、本来は貫通ドライバーを使うのが本当なのだが、残念なことに#1以下のプラスドライバーの貫通は見たことがない。
まあ、工具の性質上、当たり前っちゃ当たり前である。
なので、工房のドライバーは叩くことも想定し、安物を使用するのですよ。
さすがに私とてPBを叩くのには勇気が要ります、その点、精度・強度ギリギリだけど気兼ねせず叩けるドライバーが良い。
フォーラインのドライバーは樹脂が固く衝撃をよく伝えてくれます。
もう一つPBのクラシックハンドルをフィールド用に使用する理由があります。
それはフィールド用の工具箱の中で嵩張らないからです。
フィールドに20キロも30キロもある工具を持ってくのは、余程のマゾか変質者です。
だから、軽いプラ製の工具箱を愛用しています。

コレ軽くてもう20年以上使って居ますが壊れません。
勿論工具満載です。
手前に開く蓋の部分は外したりネジやワッシャーの受け皿になる様に仕切りも有りフィールド用の工具箱としてはこれ以上の物は未だに見つけておりません。
見かけは安っぽいんですけどね。
話をPBのドライバーに戻しましょう。
30年前から仕事でも趣味でも使ってきたこのドライバー、たった一つだけ欠点があるんです。
臭いのです!
繰り返し言います。
臭いのです!
これは使用している材質が特殊なもので、どうしても臭さが取れません。
臭いが薄くなって消えるのには10年以上かかります。
その匂いは正しく「肥溜め」か「ドブの匂い」なのだ。
さすがにメーカーも気にしたのか、2013年の製造からはバニラの匂いが添加されています。
そして臭いが消える頃は、ドライバー自体の寿命が来るという悲しい宿命を持っている。
(プロユースでの話で、一般の人ならもっと持ちます。ただし、正しい使い方という限定ですが)
ついでに言うと、このバニラ添加の新型、工具箱の温度が上がるとすっごく強烈なバニラ臭の後に、うんこ臭が追いかけてくるという素敵な仕様です。
RC飛行機相手では、そんなに高トルクを掛ける事も無いので、最初はアネックスなんかを使っていましたが、日本メーカー何故か近年「マグネット仕様」を謳い文句にしていて、どんなに消磁してもしつこく磁気が残る。
どんだけマグネット好きなのかと、小一時間問い詰めたい。
だから、フィールドで使うにはちょっと使いにくい。
自分がPBを使うのには訳が有ります。
ドライバーに消磁できないほど強力に磁化させているのは日本ぐらいで、ヨーロッパなんかまったく磁化させずに売られています。
だからフィールド用はどうしてもヨーロッパの工具になってしまうんです。
けっしてミーハーなわけでは有りません。(ちょっぴり有るけど)
因みに、車をいじる時はコーケンのドライバーです。
価格の割に精度も強度も申し分無く、良いドライバーです。
まあ、見た目はどっかのOEMぽいし安っぽいんですが決して一流メーカーに負けてません。
もっと評価されても良いと思うんですけどねえ。