2009年09月05日
プジョー308SWに試乗してきた。最も驚かされたのは1.6Lの直噴ガソリンターボエンジンである。ゼロ発進から力強い発進を見せ、そのトルクがトルコン領域を脱しても衰えない。つまりトルコンやスロットル設定による発進力の演出ではなく、エンジンそのものが力強いという事だ。はっきり言ってシグナルスタートでCDIで勝てる気がしない。もちろんスロットルをベタ踏みすれば分からないが、常識的なパートスロットルで発進すれば置いてけぼりを食らうのは必至である。
カタログを見れば、スペック的にはなんと1400回転という非常に低い回転数で最大トルクを発揮している事が分かる。一方、同308イギリス仕様のディーゼルのスペックを調べてみると、1.6Lは最大トルクを1750回転で発揮し、2Lは2000回転である。いずれもガソリンよりむしろ「高回転型」になってしまっているのが驚きだ。
たかが350回転の差と思う事なかれ、ディーゼルの1750回転というのは実際の運転ではガソリンの3000から3500回転ぐらいに相当する。敢えて高回転型というほどではないが、かといって敢えて低速トルク型をうたうような領域ではない。
さらに追い討ちをかけるように、そこの回転数に到達するまでのレスポンスは鈍重である。これはE320 CDIでもエクストレイル20GTでも同様の傾向を示す。これをターボラグと解釈する人が多いのに驚くのだが、ターボラグの原因の一つである圧縮比の低さはディーゼルエンジンには無いし、第一加給という条件であれば今回取り上げている308も同じだ。それでもディーゼルだけ低速トルクが薄くなってしまう理由は、おそらくエミッションだろう。超低回転ではEGR等の排ガス対策装置が機能を発揮できず、それゆえ多くの燃料を噴くとエミッションにパスできなくなるのではないか。
とにかくこうして現代のクリーンディーゼルはむしろ低速トルクが弱くなってしまったが、それとは逆に、ガソリンは加給によって低速トルクのカタマリとなった。都市部でストレス無く使いたいなら、これからはガソリンターボを選ぶべきであるという、一昔前の常識からするととんでもない時代になってきた。
一方、燃費に関しては相変わらずディーゼルの方が良好。しかもベンツの新しい2.1Lディーゼルは、E320CDIの3Lディーゼルに肉薄するトルク/パワーを出している。パフォーマンスに対する実燃費が良いというディーゼルの優位性は相変わらず続いていくだろう。
Posted at 2009/09/05 16:19:37 | |
トラックバック(0) | クルマ