
また説明書の順番を飛ばして、私にとって不安の大きい作業を先に潰していきます。
私の苦手な作業トップ3。それは塗装、接着、カットです。
まず塗装は、いまひとつ正解がわからないし、均一に仕上げるのは至難の業。ひとたび傷がついたら、大規模に塗りなおさないと復旧できない。手間はかかるわ耐久性は低いわで、あまりにも割に合わない感じがストレスなのです。
次に接着。やっぱり正解がわかりにくいし、やり直しも困難。成功したように見えても後から剥がれてきたりするので安心感がない。
そしてカットは、手の動きの正確さが切り口の綺麗さに直結するシビアさがつらいです。ノコギリやヤスリでじわじわ「切断」するのは苦にならないんですが、薄くて柔らかいものを綺麗に「カット」するのは腰が重いです。
これらの作業が詰まった工程、それがボディ製作です。今回はクリアボディなので塗装が必要なのはもちろんのこと、マスキングテープやデカールの接着もあり、そもそもボディ本体を切り出すためにカットが必要です。これらの作業を残したままでは、楽しいシャーシ製作に集中できません。というわけでこのタイミングでボディ製作を片付けておきたいと思います。不安をできるだけ解消するため
きてガレージさんの動画で何度も予習しました。
今回の製作手順ですが、結論から言うと洗浄→カット→塗装→穴あけの順番で実施しました。よってまずは洗浄ですが、せっかく風呂まで持っていって中性洗剤とスポンジを用意するので、上の画像に写っている
PANDORA RCのR34ボディもついでに洗うことにしました。コイツは10年ほど未製作のまま埃まみれで眠っています。R34はスポーツカーとして最推しの車種なので、完璧に作ろうと意気込みすぎた挙句に作る機会を失ってしまったという経緯があり、この姿を見るたびに複雑な心境になります。とりあえず洗うだけで、作る決心はまだできていませんが、今回のBUFFALOボディ製作で自信がついたら一歩踏み出せるかもしれません。
洗ったらよく乾かします。キッチンペーパーで拭き取った後、エアコンの効いた部屋でサーキュレーターの風を当てておきました。
暇つぶしにマスキングシートの準備をします。各パーツはカットされているのですが、大きいパーツを貼るときのセオリーとして中央部の台紙を剥がすためのカットを追加します。このカットは、貫通しないようにだけ注意すればいいのでそこまで苦ではありませんでした。
各パーツの切れ目に沿って台紙ごと切り出し、貼る準備ができました。
ちなみに、さっきのR34のマスキングシートは印刷だけでカットが全くされていない上級者向け仕様でした。しかも窓しか用意されていないので、ヘッドライト等は汎用のマスキングテープでの処置となります。このことも、あのボディの制作をためらう一因となっています。
位置決めのため、中央部台紙の一部を剥がし、
目的地にあてがって調整します。
決心がついたら、残りの台紙を剥がして貼り付けます。よく伸びそうな素材であることもあり、貼り始めた時点でやり直しは困難です。緊張します。
なんとか、気になるズレもなく貼り終えることができました。
カットはまずボディ下部のラインを切り出していきます。動画で予習した通り、直線区間はカットラインに沿ってカッターで切れ目を入れたあと、
区間の前後に切り込みを入れて折り取っていきます。サイドシルと、前後バンパー部の正面はこの方法により私でも綺麗な直線でカットすることができました。
コーナー部分は深めに切れ目を入れ、曲げ伸ばしを繰り返して疲労させてから引きちぎりました。
ホイールアーチは、カットラインに沿って切れ目を入れること自体が難しいので、曲線バサミでダイレクトに切り取っていきます。こういう作業がまさに苦手なのですが、
なんとか無事故で切り終えました。
前後バンパーにはこのような凹みを設ける必要があるので、これらも曲線バサミでカットしておきました。ヘッドライト部分も切り抜く必要があるのですが、細かい切りくずでボディを汚すことが予想されるので、ここは塗装後にします。
意を決して塗っていきます。塗料はタミヤのポリカスプレー。まずは
PS-32 コルサグレイを均一っぽくなるまで。やはりすぐムラが生じてしまって、均すにはどんどん塗っていくしかないので、ほぼ2本使いました。このボディ、大きくて四角いので片手では持ちにくいのですが、塗装面を触るわけにもいかず、支えるのに苦労しました。
一応、裏打ちというものをやってみたいと思い、
PS-12 シルバーを塗りました。コルサグレイの厚塗りで既にほぼ透けなくなっていましたが、やはりシルバーはレベルが違います。ちょっと塗っただけで、塗った部分は完全に透けなくなりました。ここでも均一に塗るのに苦労し、全体が透けなくなるまで約1本使いました。
最も気の重かった塗装を終えることができました。しかしまだまだ不安な作業が残っています。
前提として、私はこのボディのモールドをあまり信用していません。これまでも現物合わせで手直しした部品が多数存在することから、申し訳ないですがキット全体を通して部品の精度はそこまで高くないものと認識しています(タミヤとかの精度が異常なのかもしれませんが)。そのためこのボディ製作においては、もともと苦手意識のあるカットだけでなく、穴あけ作業も大きな不安要素となっていました。
ホイールアーチとかはボディだけで完結するので疑うことなくカットしましたが、これから行うカットや穴あけは他の部品を取り付けるためのものなので、モールドを鵜吞みにした結果うまく嵌らなかった、ということは避けたいです。モールドに従うのは最小限にし、現物合わせをしながら実際に加工すべき位置を見極めていきます。
いかにもシビアそうな感じがするグリルから着手します。グリル含め外装パーツはこの袋にまとまっていました。
まず、さすがにセンターは出ているだろうと信じることにして、3つの取り付け穴のうち中央だけを開けました。グリルをあてがって、それに合わせるように左右の穴を少しずつ広げていきました。穴あけには
イーグル模型のボディリーマ―を用いました。
やはりモールドと少しズレがあったため、左右の取り付け穴はやや横長の楕円になってきました。ヘッドライト部はどうせ切り抜くので、とりあえず凸部が干渉しないようにだけ雑な穴を開けておきます。
まだ少しキツめの状態で仮組みし、グリルが左右対称になるよう微調整を繰り返して取り付け穴の完成です。
ヘッドライト部は、グリルに合わせてサインペンで目印をつけます。やはりモールドよりやや中央よりになりました。四隅の角になる予定地に穴を開けておき、それらをつなぐように直線でカットしていきたいと思います。
一辺にカッターで切れ目を入れ、その両端の穴に向かってハサミで切れ込みを入れました。
これでできた三角形の部分をペンチで折り取ります。残りの三辺も同様にしました。
ただ、そもそも四隅の穴が内側すぎたようで、カット完了した時点ではグリル側の形状が嵌りませんでした。デザインナイフで少しずつ広げていき、ヘッドライト穴の完成です。
ワイパーは穴が一つずつしかなく大した精度が求められないため、シビアな作業の中で一服の清涼剤のようなものでした。
ドアノブはパーツが柔らかいのでモールド通りの穴あけで問題ありませんが、ミラーはもっと慎重にしたかったです。取り付け穴と、回転防止の凸部が嵌る穴の2つで構成されているのですが、とりあえずモールドを信じて穴を開け、ピッタリ嵌るまで回転防止穴を広げるという手順で施工しました。しかし、回転防止の凸部が小さいのでピッタリ嵌っているかどうかなかなか自信が持てず、結局回転防止穴を広げすぎて回転方向のガタが少し出てしまいました。こういうことがあるので、穴あけは塗装前のほうが良かったかもしれませんね。
まあ、そもそもゴムのOリングで取り付けるので自然に回転するものではありませんし、本気で回転防止したければミラーの土台裏側にも穴を開けて短いタッピングビスでも入れればいいので、この穴あけの結果だけで憂う必要はないでしょう。
次はボディマウント用の穴を開けていきます。この製品のボディマウントはステルス仕様で、ボディ側にもマウント用パーツをネジ止めし、ピンの付け外しはボディ裏で完結するようになっています。よってこれから開ける穴はこの袋に入っている3mmタッピングビスを通すためのものです。
フロントのマウント用パーツは2点ずつで止めるようになっているので、2つの穴の距離を現物合わせするよう気を付けて施工しました。完成してから気づいたのですが、左右のパーツ間の距離を現物合わせすることを忘れていました。取り付け先に仮組みした状態で穴の左右を微調整すべきでした。結果として取り付けに支障はなさそうなので良かったのですが。
リヤはバンパーがマウント用パーツを兼ねています。仮組みしようとして気づいたのですが、ビス穴の部分がやけに引っ込んでいます。これではビスを最後まで締め込んだらボディが歪んでしまいます。バンパーをボディに密着させるための工夫なのかもしれませんが、ボディをマウントする負荷がかかるパーツであることを考えると、歪みなく取り付けられることの方が重要だと思います。
1mmもない程度の段差なので、適当なパッケージからアクリル板を切り出してきて、穴を開けてスペーサーを作りました。落として失くさないようグリスだけ塗って貼り付けておきました。
案の定というか、リヤバンパー取り付け穴のモールドも現物とは大きなズレがありました。特に下段は片側1mm程度ずつ内側にズレていたので、外側へ寄せるよう広げていった結果また横長の穴になりました。3mmの穴を開けるのに1mmのズレは大きいですよ。
次はアンテナの取り付け穴です。このアンテナはただの飾りで、何も接続しません。AMプロポの時代だったら、このアンテナを実際に受信機に接続していたのでしょうね。
アンテナの台座はカンガルーバーと同じランナーに付いています。また、その袋に入っている、
この小袋のタッピングビスが台座の取り付けビスです。これの取り付け穴は台座の穴とよく一致していたので、単にモールドに従って穴を開けました。
地味に大変なのがオーバーフェンダーです。大した精度は必要ないのですが、とにかく穴の数が多い。フロント4か所、リヤ5か所、それが左右で合計18か所も開ける必要があります。私が採った手順ではまず、フロントは両端のみ、リヤは両端+中央のモールドだけ穴を開けていきます。少しでも楽するために下穴はドリルです。
今さら気づいたのですが、穴の調整はボディ裏からやるようにすればバリ取りを兼ねられるので合理的ですね。最後にまとめてバリ取りすると、うっかり穴を広げてしまうリスクがあります。
両端の穴だけで仮組みしたいのですが、ネジを受けるパーツの穴がやけに小さい。これ、2mmのネジを受ける穴ですよ?タッピングビスじゃないんですよ?入りそうもないので、1.5mmのドリルを通したうえで、面取りカッターでテーパー穴にしておきました。ここは本来タッピングビスを使うべきだと思うんですが、デザイン上の都合(六角穴のタッピングビスが用意できなかった?)でこうなっているのでしょうか。
開いている穴にネジを締めて仮組みした状態で、残りの穴はオーバーフェンダーの穴に合わせてドリルを当てます。貫通させてしまうとネジ穴を壊してしまうので、位置決めになる程度の深さにだけ掘ります。
もう一度バラしてからリーマーで穴を開け、オーバーフェンダーの穴あけも完了です。
ところで、ここまでのボディ製作の手順ですが、下記の通り諸説ある状態になっています。
・説明書の推奨手順: カット→穴あけ→洗浄→塗装
・今回実施した手順: 洗浄→カット→塗装→穴あけ
・執筆時点での反省を踏まえた手順: 穴あけ→洗浄→塗装→カット
少なくとも、洗浄と塗装の間にカットはないでしょう。今回は、洗浄してから説明書の手順に気づいて方針転換したためこうなっていますが、やはり洗浄と塗装はセットで行うべきだと思います。穴あけとカットの位置は迷いますが、塗装時に持つところが無くて困ったのでカットは塗装後にしたいです。穴あけは、モールドが信用できればいつでもいいのですが、そうでない場合は透明なうちに済ませた方が現物合わせしやすくていいですね。もしくは塗装後に穴あけ予定地だけ
とれるやんで剥がすという手もありますが…うっかり垂らしたりするのが怖いのであまりやりたくない。結局一長一短あるので人によるといったところでしょうか。
というわけで、不安でいっぱいのボディ製作ですが、ひとまずボディ本体に対する加工を一通り終えました。車種が車種なので、使い始めてからの傷とかは気にならないと思いますが、製作時点でパーツがズレたりするのは我慢ならないので、概ね無事に完了してよかったです。しかし完成までにはデカール貼りやLEDパーツの接着といった苦手作業が残っているため、まだまだ気は抜けません。