2009年06月11日
AP通信の記者が、『Facebook』の自分のページに当たり障りなく見えるコメントを投稿し、それが原因で懲戒処分を受けた。労働組合は激怒し、倫理規定を明確にするよう経営側に要求している。同時に記者たちにも、誰をFacebook上の「友達」に加えるかに気を付けるよう呼び掛けている。
労組のトップKevin Keane氏は6月第1週、組合員に通達を出した。「この2カ月で、Facebookにかかわる問題が6件ほど起きている。従業員が、正確に言えばおそらく"友達"になっている上司が、問題の種となり得ることを経営者に報告している。友達に加える相手には注意しなければならない」
騒動のきっかけを作ったのは、フィラデルフィアの記者Richard Richtmyer氏だ。同氏は5月下旬、Facebookのプロフィールに、一見害のないコメントを投稿し。その内容は新聞社、米McClatchy社の経営陣に対する批判で、同社は2006年にサンノゼのKnight Ridder社を買収してから、株価が急落していた。[Knight Ridder社は、SanJose MercuryやMiami Heraldなどの大手新聞社を抱える業界2位だったが、2006年、業界8位のMcClatchy社に買収された]
「混乱を起こした人物は職を失うか、小さな部署に追いやられるべきだ。しかし、そうはなっていない」と、Richtmyer氏は5月28日に投稿した。
実生活でこのコメントを口にしていたら、フィラデルフィアのジャーナリストたちが集まるバーのむさ苦しい空気に溶け込むだけだっただろう。しかしRichtmyer氏は、AP通信の同僚51人ほどをFacebookの友達にしており、何人かは上司にあたる存在だった。Richtmyer氏によると、そのうち1人が「スパイ」だったという。(AP通信がニュースを配信する新聞社は数え切れないほどあるが、McClathy社もその1つだ。)
同氏は経営陣から大目玉を食らい、経歴に戒告処分が付け加えられた。戒告処分は[解雇対象として考査される場合などに]不利になるものだ、と労働組合のKeanes氏は指摘する。
AP通信の広報担当者は、TwitterやFacebookへ参加する場合も、AP通信の倫理規定に沿わなければならないと説明した。同社の倫理規定とは、APの偏らない報道姿勢に関する評判を記者は傷つけてはならず、議論のある公共的問題についての個人的な意見は、いかなる形でも公にしてはならない、というものだ。
米国のAP記者約1000人が加盟する労働組合News Media Guildは、AP通信の倫理規定は、Facebookのような「セミ・パブリック」な場に関して曖昧だと批判している。今回問題になったRichtmyer氏の発言のようなコメントは、デフォルトのプライバシー設定で、限られた人数の「友達」にのみ読めるようになっているからだ。News Media GuildはAPに対し、規定をより詳しくすることを求め、Richtmyer氏の処分取り消しを要求している。
SNSでの発言を理由にした処分は、最近頻発している。今年3月には、『Philadelphia Eagles』[アメリカン・フットボール・チーム]のスタジアム職員が解雇された。同チームがスター選手のトレードで「ぐずぐずしている」と、Facebookに投稿した後のことだ。
2月には、ニューヨーク州ハリソンの警官3人が、Facebookで市長に失礼なコメントを投稿したという理由で停職となっている。
ノースカロライナ州では2008年11月、「生徒たちが嫌い」とFacebookで発言した教師が停職処分を受けた。
ニュージャージー州では、レストランの従業員2人が元上司を訴えている。『MySpace』で経営者への不満を漏らしたという理由で解雇されたためだ。この上司が別の従業員になりすましてログオンしたことが、訴訟の争点となっている。
AP通信の一件も含め、これらのケースで問題を引き起こしているのは、扱いにくい社会的、政治的な礼儀だ。その礼儀とは、実生活で友人関係になくても、上司から友達に加えてほしいと頼まれたら応じざるを得ないことだ。
しかし、アメリカン大学のWendy Seltzer氏(言論の自由を専門とする法律家)によると、民間の労働者は、オンライン、オフラインにかかわらず、自身の発言によって解雇や懲戒処分になることをほぼ避けられないという。
「『Twitter』やFacebookのページに何かを投稿し、雇用者の耳にその情報が入れば、それだけで解雇の可能性がある。電子通信は永続性があるため、その分、上司のところまで届きやすい」
連邦職員は、言論による解雇に関して、民間に比べれば言論の自由条項による保護があるが、その場合も条件があるという。
[米国の大企業308社を対象に2007年に行なわれた調査によると、過去12カ月以内に、電子メール関連の規定違反で従業員を解雇したとの回答は27.3%。SNS関連で解雇した企業は5%、ブログを理由で解雇した企業は9.1%に上った。ブログによる解雇についての日本語版過去記事はこちら]
Posted at 2009/06/11 22:58:26 | |
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2009年06月11日
今日でも聖地であることを実感させる紀伊の国(和歌山県)の熊野古道。その熊野本宮近くに小栗判官が蘇生したという伝説でも有名な「湯の峰温泉つぼ湯」があります。
その名のとおり、壷のように小さな湯船で、2~3人も入ればいっぱいになってしまうような温泉。(隣には整備された公衆浴場があります)しかしこの温泉、実は小さな大物。なんと平成16年7月に「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録されたのです。
世界遺産と聞くとちょっと腰がひけてしまいそうですが、750円(平成18年現在)という料金で誰でも入ることができる、身近な「世界遺産」です。
松尾芭蕉も湯に親しんだ?
日本で最も有名な紀行文といえば、やはり松尾芭蕉の「奥の細道」でしょう。
でも私たちがイメージする奥の細道は、侘び、さびを大切にした芭蕉の旅の記録。温泉でゆっくりなんてしていないと思いこみがちです。ところが、芭蕉はしっかりと温泉地を回っているのです。芭蕉もなかなかヤルな!と思いませんか?那須温泉や飯坂温泉などにも投宿した記録がありますが、とくに山中温泉(石川県)では、温泉を句に詠んでいます。
「山中や 菊はたおらぬ 湯の匂」
これはその昔、菊侍童が菊の露をなめて八百歳の長寿を保ったということから、菊も手折らなくてもよいくらいに、山中の湯は効能がある、といった意味。たった5・7・5の世界なのに、湯煙の匂いがしてきそう感じがしませんか?
さいはての温泉でしみじみ
風光明媚な島国日本に生まれたならば、温泉マニアならずとも、東西南北、さいはての温泉へ一度は入ってみたいもの。さて、平成18年現在のさいはての温泉は・・・。
最北端は、もちろん 北海道。稚内温泉は宗谷半島の最先端の納沙布岬の西側に湧き出ています。最南端は沖縄県の西表島温泉。温泉メカニズム体験記第7回でもご紹介しましたが、1998年にオープンした比較的新しい温泉です。
最東端は北海道の相泊(あいどまり)温泉。羅臼から知床岬へと通じる道の先端に位置しています。最西端は最南端と同じ沖縄県の西表島温泉です。
どこもほとんど「海辺」や「断崖」に位置しており、この記録を破るのはなかなか困難かもしれません。
Posted at 2009/06/11 22:30:08 | |
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2009年06月11日
台湾を走る鉄道「集集線(しゅうしゅうせん)は、台湾の彰化県二水駅と南投県車呈駅
を結ぶ、全長30キロにも満たない、駅の数もわずか7つの可愛らしいローカル線です。
この路線になんとその名も「源泉」という駅があります。
ちなみに、7つの駅の名前は、
二水、源泉、濁水、龍泉、集集、水里、車呈。
なんと、水に関わる漢字が、5つもでてくることに驚かされます。もともと、水力発電の資材を運搬するために敷設されたそうですから水が豊かな土地であることがうかがえます。日本の温泉地でも目にするような漢字が登場し、親しみを覚えますね。
庫裏の中に温泉が湧く
日光湯元輪王寺の別院の名前は「温泉寺」。日光を開山した日光開山「勝道上人」(しょうどうしょうにん)が、延暦7年(788年)に、温泉を発見し、「薬師如来」を祀ったのが始まりとされています。江戸の昔は、日光奉行の許可がないと入れない厳しい霊場の温泉として保護されてきました。温泉は境内に別棟があるわけではなく、なんとお寺の庫裏の中!にあるというから驚き。永く大切にされてきたことがわかりますね。現在では入浴料を払って一般の温泉のように入浴できます。また登別の報徳寺にも敷地内に温泉があります。こちらの歴史は新しく1990年ごろからということですが、地元の人に愛されている温泉です。昔からお寺は信仰だけでなく地域の人々の集会場のような役割も果たしてきました。温泉はもしかしたら、そんなお寺の役割にぴったりの施設なのかもしれません。
温泉から広がった日本の名産
一昔前までは、女の子向けの旅行みやげといえばこけしが一般的でした。このこけし、もともとは、東北地方を中心に子供の玩具として、轆轤(ろくろ)をつかった民具をつくる職人が作ったものとされています。いわば産地限定品。それが、湯治が広く一般的になり、湯治客がみやげものとして、ご当地のこけしを買って帰るようになったことから、温泉みやげといえばこけし、といわれるほど全国に広がりました。もし温泉の利用客がみやげに買わなければ、こけしはこれほど有名にはならず、ひっそりと郷土玩具として愛されていたのかもしれません。今日では収集マニアが存在したり、たいへん高価なものがあったり、こけしは温泉の思わぬ効能?の恩恵にあずかったのですね。
Posted at 2009/06/11 21:27:38 | |
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2009年06月11日
その名前からなんとなく温泉の特長や泉質、効能がわかるという温泉はたくさんありますが、群馬県吾妻郡六合村には、その名もズバリの「尻焼」温泉があります。その効能は・・・そう、ご想像どおり「痔」に効果的といわれています。
長笹川の川底から温泉が湧き出しており、堰をつくって湯がたまるようにして使用するという野生的な温泉ですが、昔は、河原に穴を掘って、お尻だけを入れて浸かる「簡易入浴」(?)方法だったとか?非常にわかりやすくていいですね。現在は、河原はもちろんですが、簡単な浴槽も用意されているようですので、お悩みの方はぜひ。
露天風呂天国!
夏でも冬でも、露天風呂の心地よさは一種独特。露天風呂こそ温泉だ!というくらい露天風呂にこだわるファンの方もいるようです。
そんな方におすすめなのが、岐阜県の奥飛騨温泉郷。旧上宝村(現在は高山市に合併)にある平湯温泉・新平湯温泉・福地温泉・栃尾温泉・新穂高温泉を総称して奥飛騨温泉郷と呼んでいますが、この温泉郷の露天風呂の数は150を超えるというから驚き。一村の中にある露天風呂の数としては日本一ではないかといわれています。もちろん、数が多いだけではなく、様々な泉質や雄大な北アルプスの景観が楽しめますので、露天風呂ファンにとっては、まさに天国かもしれません。
温泉番付表はアンコ型が有利?
番付表といえば、真っ先に大相撲が浮かびますが、明治20年代には、日本の温泉番付表というものが発行されていました。大関(当時横綱という階級はありませんでした)や関脇といった上位には、草津、有馬、道後、那須などが、入れ替わり立ち代り登場しています。当時はまだ今のように掘削技術が発達していませんから、こんこんと自噴する湯量豊富な温泉地、力士で言えばアンコ型?が評価されていたようです。
面白いのは、なぜか勧進元や行事まで「紀州熊野本宮湯」「熱海温泉」といった温泉地であること。
この温泉番付表には今日では「大観光地」となってしまい、温泉マニアの方には物足りないといわれる温泉地もたくさん登場しますが、本来はそれだけ湯量も豊富で泉質もすぐれていたということ。ちょっと見直してみてはいかが?
Posted at 2009/06/11 08:40:12 | |
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2009年06月11日
徳川将軍が「御汲湯」と称して温泉地から温泉水そのものを樽で運ばせていた話はトリビア13でご紹介しましたが、この御汲湯はもちろん「献上品」。そこには御用達になるべく各地の熾烈な競争があったようです。徳川家といえば駿府、今の静岡が本拠地ですから、強いのは熱海の湯。ここに箱根が参入、さらに草津も名乗りを上げます。さらに箱根では、塔ノ沢や宮下などが細分化して競争を続けました。温泉水に不備があってはいけませんから、裃姿で汲み上げ、運ぶ人足も、健康で清潔な人が選ばれたといいますから徹底しています。そのお蔭?で将軍は、江戸にいながら湯治場と同じように、1週間、2週間という単位で新しい湯を満喫できたそうです。将軍が始めた「自宅で温泉」は、まさしく今の温泉由来の入浴剤の走りかもしれませんね。
湧出物台地
鍾乳石が作った美しい自然の景観では山口県の「秋吉台」が有名ですね。
規模では負けてしまいますが、その絶景では勝るとも劣らない風景を温泉が作り出している場所があります。それは、山形県の広河原温泉にあります。山奥の温泉地まで歩きで向かうと、目の前に茶褐色の「ミニ秋吉台」のような風景が広がります。これは温泉の湧出物が作り上げた台地だというからたいしたもの。その直径は100mあまりでしょうか。自然が作り出す造形美の美しさに驚かされます。もちろん、生きている温泉ですので、湯が流れています。ここは間欠泉でも有名で、かなりの山奥にありながら訪れる人はひきもきらないそうです。湧出物の台地や間欠泉など、まさしく自然の贈り物。大切に守っていきたいですね。
お風呂は仏教のPR?
仏教と温泉や入浴の縁については、このブログでも何度か触れてきました。もともと、お坊さんというのは教育を受けた、現代でいうところのインテリ層にあたりますから、一般庶民よりも温泉の効能についてよく知っていたということは想像できます。全国に「弘法大師発見の湯」とか「●●僧由来の湯」が多いのもそうした背景を物語っています。
しかし、ここでちょっと世俗的な眼で見てみると、入浴を勧めることは信者を増やすことにも繋がっていたのです。ライバル?の日本古来の神道では身体を清めるには「禊」(みそぎ)といって、冷たい水を浴びる方法を用います。これに対して仏教では温かい入浴を勧めています。寒いのより、身体が温かくなって楽なほうがいい、というのが人情。信者を集めるためにも仏教にとっては入浴を勧めることが大切な手段だったのです。
Posted at 2009/06/11 08:39:13 | |
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