温泉に行くと「成分表」あるいは「分析書」といった掲示物を目にすることがあると思います。
そこには温泉の生命線である、含有成分やその効き目などが記されています。
あなたが気に入っている、効果があると感じている、入ってみたいと思っているetc・・・温泉がどんな泉質なのか、是非関心を持って読んでみて下さい。


温泉の泉質
1978年に示された「鉱泉分析法指針」により、温泉の泉質は10種類に分類することができます。
(1978年以前は15種類に分類されていました)
それぞれの泉質について、簡単に特徴を紹介します。
◆単純温泉
含有成分が少ないので、刺激が少なく【湯治】に適しており、昔からの名湯と呼ばれる温泉地が多い。
PH値(水素イオン濃度)が8.5以上のものを『アルカリ性単純温泉』という。
◆二酸化炭素泉
二酸化炭素(炭酸)は温度が上昇すると気化して遊離してしまうため、この泉質の温泉には冷泉・低温泉が多い。
入浴すると体毛に気泡が付着するので、【サイダー泉】とも呼ばれている。
炭酸ガスは体内に取り込まれると、毛細血管を拡張させるため血圧を下げる効果がある。
◆炭酸水素塩泉(重炭酸土類泉)
消化器系・循環器系の鎮静作用があり、飲用では利尿作用がある。
この泉質のお湯では石鹸・シャンプーなどが泡立たないという特徴がある。
◆炭酸水素塩泉(重曹泉)
料理などで使用する重曹を主成分とする温泉のため、アルカリ性でヌルヌルとした感触のする温泉もある。
重曹により、皮膚の角質を乳化分解する作用があるので、【美人の湯】【美肌の湯】とも呼ばれている。
◆塩化物泉
地中に封じ込められた太古の海水が源泉で、舐めると塩分が強いのですぐに判る。
日本で一番ポピュラーな泉質です。
塩分が保温効果を高めるので、温まり易く、湯冷めし難いという特徴がある。
◆硫酸塩泉
1978年の「鉱泉分類法指針」が示される以前は、芒硝泉・石膏泉・正苦味泉・明礬泉の4種類に分類されていた多様な成分を含む泉質です。
飲む(舐める)と苦味があるのが特徴で、動脈硬化・糖尿病・痛風・胆石他、【万病に効く】といわれる温泉です。
旧芒硝泉はとくに動脈硬化・切り傷に効果があるとされています。
旧正苦味泉はとくに脳卒中の予防・後遺症に効果があるとされています。
旧明礬泉はとくに女性外性器病に効果があるとされています。黄褐色の湯が特徴です。
◆含鉄泉
文字どおり鉄分を多く含む泉質で、造血作用を促すので貧血症に効果があるといわれています。
湧出時には無色透明でも、空気に触れ酸化することにより茶褐色に変色することが多いです。
◆硫黄泉
1978年の「鉱泉分類法指針」が示される以前は、硫黄泉と硫化水素泉に分類されていました。
硫黄と硫化水素が混同されることが多いのは、この辺りが由縁するのかも知れません。
【卵が腐ったような臭い】【湯の華】と呼ばれる黄白色の沈殿物や白濁したお湯が特徴で、温泉の典型版といえるかもしれません。
日本では昔から硫黄採掘の歴史がありますが、硫黄と健康・療養の科学的根拠はまだまだ未知の部分が多いそうです。
◆酸性泉
文字どおり酸性の泉質で、舐めるとかなり酸味を感じます。有毒ではありませんが飲用不適です。
殺菌力が強いため、水虫・湿疹など細菌性の皮膚病に絶大な効果があります。
但し、長時間の入浴は湯ただれ・乾燥肌になり易いので注意が必要です。
肌の弱い人は、入浴後に真水で洗い流すことをおすすめします。(効果は消えません)
◆放射能泉
ラドンを一定量以上含む泉質で、日本には数箇所しかない貴重な温泉です。
ラドンとはラジウムから放出される放射性同位元素で、自然界に存在する物質の中で最もイオン化作用が強いそうです。
このラドンを肌や呼吸によって取り込むことにより、血液中のコレステロールや中性脂肪といった老廃物の代謝を活性化してくれます。
【癌に効く】といわれる温泉はこの成分を多く含むところが多いのですが、実は病原菌を根絶するわけではなく、代謝を活性化し免疫力・治癒力を高めることで回復に作用するといわれています。
Posted at 2008/12/26 20:26:45 | |
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