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日本の小説は推理小説や刑事事件を扱った警察小説が多い様な気がします。
その警察小説の第一線で活躍している作家が今野敏です。
初期の小説には、琉球空手や武道を扱った格闘小説やそれらを融合させた警察小説も目立っていましたが、最近は生粋に警察組織を扱った小説が目立ちます。
今野敏の著書は私の知る限り、警察小説に於いて日本一の著書数を誇ると思います。
優に100冊以上出版している筈（正確な数を調べるのも面倒臭くなる程多いの）です。
今野敏の作品の中で、私が特に好きなのは「隠蔽捜査シリーズ」や「安積班シリーズ」。
そこで今年の1月20日に発行された「清明 隠蔽捜査8」をやっと読みました。

物語の概要
『警視庁大森署所長だった警察官僚で主人公の竜崎伸也は異動し、神奈川県警刑事部長に着任します。
着任早々、都内ではあるが神奈川に囲まれた地域で死体遺棄事件が発生、警視庁主導で神奈川県警を含む合同捜査本部が設置されます。
そこで指揮を執るのが竜崎の幼馴染みである警視庁の伊丹刑事部長。
竜崎は神奈川県警刑事部長として伊丹をサポートします。
その頃、竜崎の妻の冴子がペーパードライバー実技教習で交通事故を起こしたと一報が入ります。
自動車教習所所長の滝口は神奈川県警OB風吹かせて、教習所の債務不履行を揉み消そうとします。
竜崎は教習所の落ち度を指摘し、冴子の物損事故を起こした落ち度と相殺されると主張します。
竜崎は始め反目していた滝口を懐柔し、神奈川県警OBとして捜査に協力して貰います。
捜査を進めて行くと被害者は中国人と判明し、被疑者は中国の政府関係者らしい。
合同捜査本部へ公安から応援に来ている公安員は被疑者を逮捕すると国際問題に発展すると忠告します。
伊丹は逡巡しますが、竜崎は伊丹に公安部長に会って協力を仰ぐ様にと助言します。
伊丹と竜崎の説得を公安部長は聞き入れます。
原理原則主義、本音と建前で言うところの建前が本音である竜崎のブレない信条が合同捜査本部の明確な指針になって事件が解決します。』

主人公の竜崎伸也は魅力的な人物ですが、それは彼を支える冴子の存在が大きいのだと思います。
それは「清明 隠蔽操作8」を読んで頂ければ理解出来る筈です。
やはり、夫の活躍は好い妻の支えがないとね！

タイトルの清明は杜牧の七言絶句の漢詩「清明時節雨粉粉…。」から取られたもの。
「清明に季節（春）雨がしとしと降っていて、道行く私はひどく落ち込んできた…。牛飼いの牧童にちょっと尋ねる。どこか酒が飲めるところはないだろうか?と。牧童は、遥か向こうの杏の咲く村を指差す…。」と言う意味らしいです。
これが事件解決にどう結びつくか？も本書を読んで確かめてみては如何でしょうか？