
2018年10月にもDVDを借りて観たのですが、是枝裕和監督の映画が観たくなり再び観てしまいました。
タイトルは「三度目の殺人」と言う2017年に公開された法廷心理サスペンス映画です。
是枝裕和監督・脚本・編集で映画化。
ストーリー&私見:(2018年10月時の備忘録に記した内容を転記しました)
重盛(福山雅治)は裁判での勝敗に拘る弁護士で、依頼人の要求が減刑であれば、事件の真相よりも減刑する事に重きを置く調査や法廷戦術を優先させる。
前科のある三隅(役所広司)がクビにされた食品会社山中社長を殺した容疑で起訴されていて、同僚弁護士である摂津大輔(吉田鋼太郎)に頼まれて重盛が担当する事になる。
三隅は今度の事件が2度目の殺人で、既に容疑を認めている為に死刑判決は確実視されていました。
それを重盛は無期懲役に減刑出来る様な証拠集めの為に調査を始めます。
三隅は金銭目的で社長を襲ったと供述していましたが、その後、週刊誌に社長の妻の山中美津江(斉藤由貴)に頼まれて保険金目的で殺害したと独占告白していました。
三隅へのメールには証拠とも受け取れる内容が残っていました。
しかも、犯行前の報酬と思われる50万円の振り込みもありました。
後に三隅が重盛に供述していますが、食品会社では食品偽装を行っており、その証拠をバラされない為の口止め料としての振り込みだったらしい。
重盛は三隅のアパートの大家さんを訪ねて話を訊きます。
すると三隅の許を頻繁に足の悪い女子高生が訪ねて来ていたと云います。
三隅は自分が予め捕まる事が判っていたかの様に身の回りのもの、例えばカナリア5羽を処分等して整理していました。
咄嗟の強盗殺人ではなく計画的な殺人事件である様で、最初の三隅の供述が信憑性のないものだった事が判ります。
その後の調べで三隅のアパートによく訪ねていた女子高生は被害者の娘・山中咲江(広瀬すず)である事が判りましたが、何故なのか?
第1回公判が開廷します。
重盛は最初の段階で、三隅の恨みによる殺人の後に偶々財布を盗んだと云うシナリオを立てます。
金銭目的の殺人よりも恨みのある殺人の方が罪は軽くなる場合があるからです。
ところが、三隅が週刊誌に独占告白した内容だと三隅は社長夫人の美津江からの依頼による殺害で、美津江が主犯格と云う戦術に切り替える事にします。
第2回公判後に被害者の娘・咲江が法律事務所を訪ねて来て、父親から幼い頃から性的暴行を受けていたと告白し、それを救ってくれたのが三隅だと云います。
三隅と咲江は後に殺人現場となる多摩川の河原で出会い、2人は心を開いて行き、咲江は父親に性的暴行を受けている事実を明かしたそうです。
咲江は重盛達弁護士が問い詰めると、三隅が唯一心を許せる間柄だったと認め、自分の証言が三隅の助けになるなら法廷で証言したいと云います。
重盛は三隅に咲江が訪ねて来て、法廷で証言したいと云っていた事を告げると、三隅は咲江には虚言癖があって云っている事は嘘、自分は実は殺人を犯していないと今迄の証言を覆してしまいました。
そして第3回公判で三隅は、それ迄争点になっていた犯人性を否認した為に法廷が一時休廷になります。
検察官、裁判長、弁護人のみで話し合い、裁判は強殺であるか?と云う争点に犯人性を加えて続行される事になりました。
第5回公判で、三隅の否認には合理性がないと判断され、死刑の有罪判決を受けます。
真実に迫ろうとする弁護士重盛が迫れば迫る程逃げて行く真実を描き「犯人は誰なのか?」「真実は何なのか?」「三度目の殺人の意味とは?」多くの謎を視聴者に託したまま終わります。
推測ですが、犯人は咲江の境遇を慮った三隅だと思います。
途中で三隅は社長夫人の美津江からの依頼による殺害と供述していますが、それは嘘で、咲江が父親から性的虐待を受けていた事を知っていたにも関わらずに、その蛮行を許していた事に対する償いを美津江にさせたかったのでは?と思います。
裁判で咲江が性的虐待されていた事を弁護証言すれば情状酌量で無期懲役に減刑されたかも知れませんが、それを敢えて拒否する為に三隅は自分の供述を翻した訳です。
三隅は自分を犠牲にして迄も三隅の実娘をイメージさせる咲江を守りたかったのでしょう。
食品会社山中社長の殺害が2度目の殺人ですから、3度目の殺人の犠牲者は三隅本人だったと云う事なのだと思います。
「法廷は真実を解明する場所ではない」それが真実!と云う結論です。
不要不急の外出を控えたお家時間にDVD、ネット配信動画の映画観賞をみんカラの皆さんにもお勧めします。
Posted at 2021/06/06 08:17:42 | |
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