
4/24のブログ「小説『小隊』を読んで…」で紹介させて頂きました小説「小隊」の作者は砂川文次さん。
その砂川さんが小説「小隊」以前に書き上げ、第160回芥川賞候補になったのが、今回紹介する小説「戦場のレビヤタン」です。
本書は2019年1月に文藝春秋より発行されていました。
書籍の帯のキャッチコピー:
戦争とはまるで巨大な生き物だ。
武装警備員としてイラクに赴いたKに、さまざまな思いが去来する。何が日常で何が非日常か。日本と戦地を隔てるものは。誰が敵で誰が味方なのか。荒涼とした紛争地、資本主義社会の裏側を乾いた筆致で描き出す。筆者デビュー作「市街戦」も併録。
作品紹介:公式サイトより
風が吹いている。おれは、その風を肌でしっかりと感じながら、レンジローバーの後部座席で揺られている。
英国系の石油プラントを守るため、イラクの紛争地帯に進んで身を投じた武装警備員のKは、キルクークからアルビルへ伸びる国道を北上していた。
荒涼とした紛争地。戦火はおさまったかに見える地で、わき上がる問いに答えは出ない。
なぜこの地にやってきたのか、戦争とは何か、何が戦争を作り出すのか。敵は誰なのか。
大義なき戦争、警察国家が撤退した後の世界の風景を淡々と乾いた筆致で描き出す21世紀の戦争文学。著者デビュー作「市街戦」を併録。
私見:
民間警備会社に就職した主人公日本人Kは石油プラントを守る為に武装警備員としてイラクの紛争地に赴く。
それは、他国の傭兵となったって事では、日本人は他国の傭兵になれない法律では?と思って調べたら、日本人で傭兵になった人は結構いると知ってビックリしました。
もし、戦闘になって誰かを殺めたら、日本の法律では殺人罪が適用されて罰せられますよね!?
日本の地は二度と踏まないと言う覚悟なのかも知れませんが…。
傭兵になると決断した理由は人それぞれなのでしょうが、命を大事にとしか言えません。
小説タイトルにある「エビヤタン」は旧約聖書に登場する「海の巨獣」の事、ある文献では「国際的な規模の組織の象徴」として用いられている様です。
小説「戦場のレビヤタン」の作家である砂川文次さんは元自衛官だそうですから、ある意味「戦場での魔物」と相対し疑似体験されているのかも知れません。
しかし、日本人の多くは「戦場での魔物」を知る事なく、自分の一生を終えるのでしょう。
小説「戦場のレビヤタン」を読んで追体験する事もなければ…。
Posted at 2022/05/03 14:17:45 | |
トラックバック(0) |
読書 | 趣味