
DVDを借りて映画を観ました。
タイトルは「影裏」と言う2020年に公開されたヒューマンミステリー邦画です。
作家の沼田真佑のデビュー作で芥川賞受賞した短編小説「影裏」を原作にした映画。
ストーリー:
今野秋一(綾野剛)は盛岡にある会社の支店へ転勤しますが、慣れない土地で友人もいません。
そんな今野に物流課の日浅典博(松田龍平)は声を掛けて来ます。
同い年と言う事もあり、それ以来、二人は親しくなります。
ある日、今野のアパートに日浅が日本酒の一升瓶を持って訪ねて来て、一緒に飲みます。
その数日後、日浅は今野を釣りに誘います。
渓流釣りが初めてで釣り針に餌の付け方も知らない今野に日浅は親切に釣りの仕方を教えます。
会社ではパートの女性達から、段ボールの畳み方が上手なので段ボール課長と呼ばれている日浅でした。
夏の祭りの為にさんさ踊りを職場の仲間と練習する今野と日浅。
それからは一緒に映画に行ったり、喫茶店へ行ったりと次第に今野は日浅に心を許して行き友情を深めて行きます。
それはまるで、遅れてやって来たかの様な成熟した青春の日々に、今野は言い様のない心地よさを感じていました。
冬になり、今野は日浅の姿を見掛けなくなります。
心配した今野は物流課を訪ね、パートの西山(筒井真理子)から日浅が退職した事を知らされます。
年が改まり、夏になりました。
今野がアパートにいると、ベランダの窓を叩く音がしました。
いぶかしく思いつつも今野が見に行くと、サラリーマン然とした姿の日浅が立っていました。
日浅は「現在は保険のセールスをしている」と言います。
数日後、二人は今野の部屋で酒を酌み交わし、釣りの話等で盛り上がります。
酔った二人は、そのまま寝てしまいました。
夜中にふと目を覚ました日浅は寝ている今野の胸の上にいる蛇を掴んで外に放り出します。
動揺した今野は日浅を押し倒しキスします。
今野はゲイだった様ですが、日浅は拒否すると今野は気まずい様で非礼を詫びます。
翌朝、二人は何事もなかった様に釣りに出掛けて行きました。
数日後、今野がアパートへ帰ると日浅が待っていました。
日浅は「今日中に保険の契約を後1件取らないとクビになってしまう」と泣き付きます。
今野は「保険に入ろうと思っていた」と言い、契約します。
今野のケータイに元同僚の副島和哉(中村倫也)からメールがありました。
するとその時に日浅から電話があり「今夜、ガラ掛け(釣りの方法)するから行こう」と誘われます。
仕事を終えた今野はその足で待ち合わせの河原に行きます。
ガラ掛けをした後、2人は釣り上げた鮎を焚火で焼いて食べています。
日浅は今野に持参した地酒を勧めますが、今野は「明日、仕事になったので」と断ります。
些細な事で雰囲気が悪くなった二人。
流木の焚火に照らされた日浅は「知った気になるなよ。人を見る時はな、その裏側、影の一番濃い所を見るんだよ」と言い、突然の態度の変化に今野は戸惑います。
そんな出来事のあった日が、今野が日浅と会った最後の日となりました。
帰宅した今野が副島のメールを見ると「出張で盛岡に来ている」との知らせでした。
今野は副島が宿泊しているホテルへ行きます。
ホテルのロビーで今野は、現在は性転換手術して女性になった副島に再会します。
今野は副島をホテルの部屋の前迄送り、別れ際「ハグして欲しい」と言う副島の願いを叶えます。
その後に東日本大震災が発生し、その所為で今野の仕事が忙しくなります。
今野が帰ろうとすると、パートの西山が今野に「話がある」と喫茶店に誘われます。
西山は日浅が訪ねて来て家族の保険を勧誘され3人分契約した事や日浅の為に現金30万円用立て事を話しました。
その後、西山は日浅と音信不通になったので日浅の勤める会社に電話したところ「震災当日は釜石でセールスしていた筈だが、それ以来行方不明だ」と知らさ、「もしかしたら死んでしまったかもしれない」と言います。
心配した今野は日浅の実家を訪ね、日浅の父親の征吾(國村隼)へ「捜索願を出すべきだ」と進言します。
日浅の父親は日浅が大学の学位記を偽造したり、嘘を吐いて大学4年間の学費をせしめていた事で親子の縁を切っていました。
日浅の父親は「その様な息子の為に人様の手を煩わせる訳にはいかない」と捜索願を出さないと頑なです。
その後、今野は日浅の兄の馨(安田顕)に会い説得しますが、馨は征吾と同じ思いでした。
日浅の兄は「あいつは生きていると思う。あんな奴、どこでも生きていける」と言います。
それから暫く経ったある日、今野は渓流釣りをしています。
今野を川の向こう岸から煙草をくわえながら見ている日浅が、それは今野の見た幻視でした。
今野の傍には新しい恋人である清人(平埜生成)が釣りに興味なく河原に寝そべっていました。
私見:
映画ポスターのキャプションに「突然消えた親友。哀しみも、過ちも、失って初めて知る本当の姿。彼の“真実”は、何を照らすのか?」とありますが、今野と日浅は友人だったかも知れませんが、親友ではなかったと思います。
私なりの親友の定義からは親友だったとは認めらないなぁ~。
登場人物と私では、あまりにも置かれた立場や生活環境が違う為か?私には共感出来なかったけれど、本編の様な状況の人は世の中にそれなりの割合で居そうだとは思いました。
不要不急の外出を控えたお家時間にDVD、ネット配信動画の映画観賞をみんカラの皆さんにもお勧めします。