
ネット配信で映画を観ました。
映画タイトルは「祈りの幕が下りる時」と言う、東野圭吾の同名小説の映画化で「新参者」シリーズの完結編。
2018年に劇場公開されたミステリー映画。
私は2019年4月にDVDで観ていましたが、映画タイトルからストーリーが思い出せなくて、今一度観ました。
下記のストーリーは、以前に備忘録へ記したものを転記しました。
ストーリー:
東日本大震災が起きる10年以上前に日本橋署の加賀恭一郎(阿部寛)刑事へ仙台在住の宮本康代(烏丸せつこ)から田島百合子(伊藤蘭)が亡くなったが、加賀の母親ではないか?と連絡が入ります。
百合子は過去に夫と息子の恭一郎を捨てて失踪したのです。
百合子は仙台で宮本康代の経営するスナックで働いていましたが、病気で突然死してしまいます。
百合子には生前に綿部と云う恋人関係だった男性客がいたと聞きます。
そして現在、東京のアパートで押谷道子(中島ひろ子)の腐乱死体が発見されます。
アパートの契約者は越川睦夫でしたが消息不明でした。
警視庁捜査一課の松宮脩平(溝端淳平)は押谷道子の殺害時期と河川敷のホームレス焼死事件の関連性を疑いDNA検査を行いますが越川睦夫と一致しませんでした。
松宮脩平の従兄の加賀恭一郎のアドバイスでDNA鑑定を別の証拠品で実施すると越川睦夫と焼死体のホームレスが同一人物である事が判明します。
捜査の結果、東京のアパートで腐乱死体として発見された押谷道子は滋賀県在住で中学の際の同級生だった浅居博美(松嶋菜々子)を訪ねて上京していたのです。
丁度その頃、明治座で浅居博美が演出した「曽根崎心中」が上演中でした。
加賀恭一郎は浅居博美と知り合いであり、今回の事件は既に亡くなっている母親の百合子とも関係があるらしいと知り、恭一郎は事件の捜査に関わって行きます。
アパートの契約者であった越川睦夫と百合子のかつての恋人の綿部は同一人物である事が判ります。
恭一郎が調べると浅居博美は母親の厚子(キムラ緑子)が作った借金で父親の忠雄(小日向文世)と夜逃げして故郷を離れていました。
直後、父親は自殺した為に博美は施設で暮らし、その後大人になり女優を経て演出家になりました。
演出家に成り立ての頃に殺陣の勉強と云う事で剣道日本一の実績を持っていた恭一郎を訪ねていたのです。
恭一郎が調べると越川と博美の父親の忠雄が同一人物の可能性が出て来ました。
DNA鑑定で越川と博美が99.9%親子である事が判明します。
浅居忠雄、越川睦夫、綿部、原発で働いていた横山は同一人物である事が判りました。
事件の真相は?
夜逃げをした忠雄と博美(桜田ひより)はお金がないにも関わらずに高級旅館に泊まる事で博美は父親が自殺を考えているのでは?と不安になります。
夕食時に原発で働く横山と云う男性と知り合います。
横山は後でお小遣いを挙げるから訪ねておいでと博美に耳打ちします。
忠雄が温泉に入りに行っている間に博美は横山を訪ねますが、身体を求める横山を拒絶し、近くに会った箸を横山の首に刺して死なせてしまいます。
いなくなった博美を捜しに来た忠雄は博美から事情を訊き出します。
忠雄は亡くなった横山の代わりに原発事業に関わりながら、横山として生きて行く事にします。
横山の死体を偽装して、忠雄が自殺した様に見せ掛けます。
それからは、原発工事の渡り鳥として全国を転々としながら横山として生活する忠雄は時々博美と会う事は出来ましたが、公に会う事は出来ませんでした。
博美は忠雄から百合子の存在も聞いていました。
博美と忠雄は月に一度日本橋付近で会う約束をしていました。
そして、博美演出の明治座の公演初日が訪れ、忠雄も観覧していましたが、同じ客席に死んだ筈の忠雄が観覧している事を不思議に思う押谷道子がいました。
押谷道子は観覧後に忠雄に声を掛け、生きている事を口外されたくなければと強請ります。
それで忠雄は越川睦夫と名乗って借りていたアパートで押谷道子を殺害します。
その後、忠雄は他人として生きる事や逃亡生活に疲れたと云って焼身自殺しようとします。
その為に博美は泣きながら忠雄の自殺を幇助します。
真相を解明した恭一郎は明治座公演千秋楽に博美の許を訪れます。
博美は恭一郎へ忠雄からの手紙を渡します。
そこには、亡くなった母百合子の事が記されていました。
恭一郎の父親は刑事で捜査の為に家にいる事は少なかった。
百合子は鬱病を患っていて、ある日、恭一郎少年と2人きりの時に百合子は包丁を手に取って立ち竦む事があった。
我に返った百合子は自分が何をしようとしていたのか?自分で理解出来ないでいた。
もし、恭一郎を刺し殺そうとしてしたらと恐れた百合子は家を出る事にしたのだそうです。
百合子は恭一郎を捨てた訳ではなかったのです。
その後、恭一郎が剣道日本一になった事を喜んではいましたが、会わせる顔がないと連絡を取らず終いになった事が書かれていました。
恭一郎は今回の事件を解決した事で日本橋署から警視庁捜査一課へ異動する事になりました。
私見:
主人公の所轄署刑事の加賀恭一郎を演じる阿部寛さんは勿論の事、今回の事件のキーパーソンである浅居博美役の松嶋菜々子さんと博美の少女期を演じていた桜田ひよりさんの演技は出色の出来だと思います。
綺麗で演技が上手な女優さんに、観る側は魅了されてしまいます。
加賀恭一郎は幼い頃に母親の百合子に捨てられたと思っていましたが、当時既に百合子は鬱病を患っており、無意識の内に自殺するかも知れないばかりか、恭一郎を殺めてしまう事を恐れて百合子は家から去って行きました。
息子を愛しているが故に一緒に暮らせない母親の百合子。
浅居博美は少女期に原発労働者の横山を偶発的に殺してしまい、それを隠蔽する為に父親の忠雄がその後の人生を横山として生きて行きます。
横山の死体を忠雄自身の崖から海への投身自殺の様に見せ掛けました。
娘を愛しているが故に一緒に暮らせない父親の忠雄。
この百合子と(綾部と偽名を使っていた)忠雄が元恋人関係だったと言う事が切ない…。
東野圭吾さんの親子愛や家族愛に溢れる小説を題材にした映画が、私は好きです。
映画の原作になった小説「祈りの幕が下りる時」の物語が複雑なので、映画を2時間集中して観ないといけませんが、観るだけの価値がある映画だと思います。