一日往復100~150Kmの長距離通勤。その通勤快速を担っていたAudi S1スポーツバックから、この度ルノートゥインゴSに乗り換える事になった。S1は2Lターボ、最高出力231ps/6000rpm、最大トルク37.8kgm/1600-3000rpmをオンデマンドの4WDで走らせるパワーの塊の様なクルマ。対してトゥインゴSは1LのNA、最高出力73ps/6250rpm、最大トルク9.7kgm/4000rpmのエンジンをリアに積み後輪駆動させる「非力」なクルマ。そう、トゥインゴSは馬力もトルクもS1の1/3以下しかない。果たして、今まで何の不便も無く通っていた山間部の通勤路を、満足に走りきって行くことが出来るのか?不安でもあり、楽しみでもあった。
トゥインゴの試乗はマイナーチェンジ前後で1回ずつ。両者とも0.9LターボのEDCでSほど非力では無いし、実際に走らせながら遅いと感じる事は無かった。さて、納車後ディーラーさんから出発、公道に出た瞬間から「遅い(笑)」と実感。タコメーター無し、慣しの意識もあってアクセルをあまり吹かさないから余計に進まない感じが強い。そして直前まで3倍のパワーを動かしていた訳なので、その落差も凄まじい(笑)。今何回転なのかが不明で、エンジン音を頼りに…とするのであるが、予想外に静かな為にどれだけ回っているのか見当がつかない。前車比での圧倒的な低速トルクの無さを感じながらひとまず家に到着する事となった。
因みに、納車時からスタッドレスと社外ホイールに交換して貰っていたため、トランクから後席には純正のホイールとノーマルタイヤのセットを4本積んでの移動。元々リアヘビーなRRのうえに、さらに後輪への荷重が増していたため、RR(厳密にはリアミッドシップに近い)独特の後輪のトラクションを強く感じる事が出来た。
ホイールとタイヤを降ろして、素の状態となったトゥインゴSをあらためて連れ出す。慣しの意識を一回リセットして、アクセルペダルに伝わって来るトルク感を元にギアチェンジを繰り返してみる。なるほど!と思った。試乗レポートでは、非力なエンジンなのに、走らせてみると非力さをあまり感じないという記事を見かけたが、足裏に伝わる感覚に合わせて動かしていくと確かに過不足は感じない。今まではAudi S1の大トルクで随分とずぼらをさせていただいていた、そういう事なのだ。
過不足無く動くのが分かって来ると、車体の軽さと乗り心地に神経が行く様になる。はじめは少しコツコツしているかな?と思った乗り心地は、コシのあるふわりとしたものに徐々に変化。以前フェーズ3のルーテシアRSに試乗したことがあるのだが、それにも共通したゴムまり感。勿論RSの様にシャキっとはしていなくて、曖昧感はあるのだが、やや短めのストロークでバネの伸び側を上手に押さえているような感覚だ。前車ではガツっと来たような目地段差や不整もタタンッと上手にいなしてくれる。これは重量物が後方にあるメリットが大きい事もあるのだろう。リア回りの剛性感も想像以上にある。
ハンドルは軽く、最初はセルフセンタリングの強さと自分の感覚の差が違和感になっていたのだが、しばらく運転しているうちに慣れた。ペダル類の左側へのオフセット問題は自分にはあまり違和感として感じられなかったが、クラッチペダルとセンターの間に隙間が足りず、フットレストの付けようが無いのは仕方が無い所だろう。自分の場合はクラッチペダルに軽く左足を乗せて運転している。
インターフェースで気に入ったのはスマホと連動するEasy Linkだ。i tuneのプレイリストがそのまま使えるのは通勤時間の楽しみになる。そして期待していなかったオーディオの音も、凄くいいとは言えないまでも思った以上によかったのは嬉しい所。
長距離通勤のため、納車後1週間も経たずに走行距離は400kmを超えた。年間25000km以上の距離をこれからこのクルマと伴にするのであるが、まず、ファーストインプレッションとして挙げる言葉は「レス イズ モア」。
大げさに言うと、シンプルだからこそこのクルマを如何に使うか、自分の主体性がより大きな比重を占めるものになるのではないだろうか。
Posted at 2021/02/26 13:12:27 | |
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