


最近早朝に高速道路を2区間ほど往復するということを何回かしています。
発端は先日のLDSオイル漏れで、修理完了後にサスペンションに負荷をかけてオイルが漏れてこないか確認したいためです。
途中パーキングエリアで止まって該当箇所を見ますが幸い修理自体に問題はないようでオイルは漏れてきません。
というわけでオイル漏れに関してはとりあえず解決を見ました。
そんな早朝のプチドライブを微かな心配と共に楽しんでいるのですが、高速道路なのでアベレージスピードは一般道よりも高く、少しスピードを出したくなります。
私の今までの車はローテク車両ばかりでアクティブサスペンションの車は初めてです。
ビートルのタイプ1はもちろん、ユーノスロードスターもアルファロメオのスパイダーもアルファロメオ33ワゴンもランチアテーマV6も、ニュービートルも、みんな電子制御のハイドラクティブとは縁遠いサスペンションを持つ車でした。
対して高速道路をスポーツモードで走らせるC6は制限速度+αくらいの速度域までは滑走感が素晴らしく快適なグランドツアラーであり、陸の巡洋艦とは良く例えたものだと思います。
しかし、道路の曲率を覚えている辺りで+αα程のスピードを出そうとすると少しずつ怖くなってくるのです。
この怖さは今までのどの車でも感じなかったもので、特にニュービートル との違いは顕著だと思っています。
ニュービートルの車台はゴルフですからその性能を発揮する速度域は日本の高速道路の速度域よりもはるかに高いはずです。
実際スルスルっと速度が上がるのは110km/hからだと思います。
C6でスピードを出す時のこの怖さは、ひとつは私が実装備で2tを超える車が初めてなので、この慣性重量が巨大な車が高い速度で走る時の感覚に慣れていないということがあると思っています。
現時点の感覚では、+αα位の速度域ではニュービートル の方が安心感がありました。
実際に安心かは別として。
怖さのもうひとつの原因は、当たり前ですが今まで経験したことのないサスペンションであるからだと思っています。
シトロエンのハイドロサスペンションはホントに素晴らしくて、単なる移動の時間をこんなに癒される時間にしてくれるこのサスペンションは唯一無二のものだと思っています。
が、山間部のドライビング時には今までの感覚が全く通用しない、ように思えて戸惑いがあるのも正直なところです。(山梨県はどこに行くのも最低1回の峠越えを伴います)
FFですから、コーナーリング時はブレーキを当てて前荷重を作るとともにステアリングを切っていく。
という動作が必要と思っていますが、この前後の荷重移動がきちんとなされているかが分かりづらい。
これはピッチングモーションを制御するアクティブサスペンションによるものなのか、それとも私の運転の仕方が間違っているのかヘタなのでしょうか。
同様に左右のロールも制御されるのでタイヤがどれくらい追い込まれているかも分かりづらいです。
姿勢のフラットさがある程度保たれるので曲がっていない気もしてしまう。
これも私の運転のヘタさかもしれないのですが、今までの、特に同じFFでV6で3Lのランチアテーマと比べるとホント分からないです。
そもそも論を言ってしまえばクネクネ道を走ることを楽しむ車ではないし、日本の高速道路の曲率の道をハイスピードで走ることも違うとは思います。
アウトバーンのような所を180km/h以上で安楽にずーっと走り続けるみたいな走らせ方がポテンシャルの発揮という点ではベストなのでしょうか。
シトロエンがアイデンティティと言って良いハイドロサスペンションを二度と作らない方向に向かっているのは、あまりにも異なるこのフィーリングが今の世代では顧客を獲得する足枷になっているというプジョーの判断なのでしょうか。
少なくともドイツ車から乗り換えた方は相当な違和感、もしくは頼りなさを感じるに違いないと思います。
単にコストも高いと思いますが。
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C6のデジタルスピードメーターなのですが、私個人としては、かつてのシトロエン各車のボビンメーターのデジタル解釈だと思っています。
そしてこのデジタルメーター(多分ボビンも)はスピードを出すという行為における高揚感には乏しい、と思っています。
アルファロメオ105系各車の大きなスピードメーターとタコメーターの針がガバーッと回って右半分域に入り、ドライビングアクションにより上がり下りすれば排気音と共にある種の情熱をかき立てます。
タルガフローリオをTIPO33で走ったバッカレラの見た景色が見えるかもしれません。
そんな高揚感は、私はC6のデジタルメーターとHUDからは感じられないんです。
でも、私はそれがいやではない。
ハイドロサスペンションのシトロエンは接すれば接するほどかつてのシトロエンというメーカーのスタンスが見えてくる気がします。
強烈な個性と静かな主張。
その車造りの信念は巨大自動車産業グループの中でこれからどれだけ発揮できるのでしょうか。
C6はシトロエンの思惑と業界人の評価程は売れず、ハイドロサスペンションは過去のものとなりそうです。
シトロエンというメーカーが単なるプジョーのある一部になってしまわないことを心から祈るこの頃です。
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2020/10/05 20:53:31