新年あけましておめでとうございます。
みんカラに集う皆様に、ご多幸に恵まれるようご祈念いたします。
また、本年も相変わらず、妄想おバカなちょいエロなワタクシですが何卒よろしくお願いいたします。
さて『門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし』と一休和上が詠んだように、正月とてガッツリ老境の域に入った我々には、日常が悲喜こもごもな日々。
今だと、尿酸値や血圧のお薬を服用しつつ、ついついビールやお屠蘇、高カロリー系のおせちやつまみに手が伸びる事なんかは考えさせられます(笑
そんな新年に沁みる映画のご紹介。
今回は役所広司主演の『PERFECT DAYS』です。
もちろんクルマも3台ばかり出てきます。
そもそもヴィムヴェンダース監督は、初めてパリテキサスを観て以来の大好物。駄作も数々あれど、日本の小津安二郎に通じる淡々と日常を追うドキュメンタリー風な視点が独特の魅力です。
このPERFECT DAYSも好き嫌い、というか魅力が伝わりにくい一本。
ディズニー・ハリウッドの喜怒哀楽・起承転結なドラマが好きな方には、退屈でつまらない、盛り上がりに欠ける…という作品かも知れません。
内容は?というと、まぁ、いろいろあって役所広司演じるトイレ清掃員・平山の泣き笑いでフィナーレを迎えるという、竹中直人の「笑いながら怒る人」にも通じる(いや違うか:笑)深~い演出です。
その平山が普段乗っているのが、ダイハツの青い『ハイゼット・カーゴ』
日々のトイレ掃除アイテムがぎっしり詰まっていて、バイザー上の棚(コンソール)にはお気に入りのカセットテープが詰め込まれていて、まさに相棒といった普段着仕様。内側が白い事から、塗り直された一台なんでしょう。
ココで流す曲、一曲一曲が素晴らしい…つーか若い頃の愛聴盤ばかりで捻じれたオッサンのハートに刺さりまくりです。
今ならきっと、いわゆるコジラセ系・サブカル系にジャンルされるんじゃないでしょうか。レコードは残していてもCDでは買い直さない…そんな音楽たち。
そして助っ人清掃員が使うもう一台が赤い三菱『ミニカトッポ』
・・・・久しぶりに見ました、つーか残ってたのかよ!?(笑
現代ルノーカングーにも通じる伝統の乗用カーゴ、エクスプレスをオマージュした日本の軽カーゴです。昔はミラとかもあったなぁ(懐
一瞬だけ登場する安藤玉恵さんにピッタリな一台ですね。
ぁ、その前に出てくる柄本時生が乗る青いスクーター、2輪に詳しくないのでどなたか教えてください。アレもコアな感じでした。
そして最後の3台目が運転手付きのレクサス(たぶんLS)
今の平山がこちら側だとすると、未だに向こう側で生きている麻生祐未扮する妹(?)が娘のニコを迎えに来る場面。
果たして平山(役所)と麻生の関係はホントに兄妹なのか、変わり果てて施設に入った父親との関係、そしてニコと平山(役所)との関係が憶測を生むシーンです。
ちなみに平山という名字は、小津安二郎の東京物語の主人公から。ニコは音楽も使われてるヴェルヴェットアンダーグラウンドのミューズ名から借りているらしいけど、まぁそれは判る人だけ判ればいい話でしょう。
この淡々とした日々の移ろいが、東京スカイツリーを中心とした亀戸~桜橋~浅草、そしてトイレのある渋谷界隈で過ぎてゆく。ワタクシにも多少馴染みのある場所も出てきたりして没入感ハンパない一本でした。
桜橋でニコが尋ねます…「今度っていつ?」
それに対する平山の答えが「今度は今度、今は今」
今その瞬間、そして日々一日一日を大切に慈しみ幸せを感じている、平山の心境が滲み出ていたセリフだと思います。
セリフが少ない映画なので、いちいち刺さるセリフで引っかかるシチュエーション、そして沁みる音楽。何度見返しても深い…。
もし余力があれば西川美和さんの「すばらしき世界」を併せてご覧ください。
同じ役所広司主演で、元ヤクザの社会復帰がテーマになっていて、寡黙で一途な性格はそのまま、環境も似たり寄ったりで好対照になってます。
そのうえで『PERFECT DAYS』を見返すと、ラストシーンの表情がホントに胸に残ります。嬉しくもあり悲しくもあり、悔しくもあり清々しくもあり、有難くもあり邪魔でもある…感情が交錯する凄いシーンだと脚本にも役所広司の演技にも感心させられます。
現在アマプラで配信中ですので、もしご興味があればぜひ。
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映画のクルマたち | 日記
Posted at
2025/01/02 23:28:29