
ここで言う”安価な車高調”とは、大凡〜10万円台の車高調を意味します。
高いはそれ以上とします。
尚サーキット仕様の車高調キットはここでは考えないものとします。
ここへ来てどちらのタイプも経験することができたため、双方のメリットデメリットを改めて書き記しておこうと思います。
BKアクセラで使用中のZZ-Rは前者に該当します。
少し車高を下げた見た目にしたい方でコストを抑えたい方にはピッタリのモデルですね。
使用環境としては路面が比較的綺麗なオンロードで、飛ばさずに走る程度。
これが連続したアンジュレーションや大きな道路の繋ぎ目等に遭遇すると、このクラスの車高調ではダンパー特性が単純な構造なため、
路面状態が悪くなるにつれて比例するように乗り心地が悪化します。
そしてタイヤの路面追従性が悪くなることにより理想のラインをトレースし辛くなり、
ステアリングの小刻みな修正が起きます。
勿論スタビライザー等のサスペンション補助装置は適正位置で使われている前提でのお話です。
もっと言うと、スプリングの絶対硬さ(レート)やショックに装着されているバンプラバーの質によっても乗り心地が変わってきます。
ZZ-Rはワインディングを気持ちよく走ろうとすると、ショックはスプリングのレート不足によりショックが底つき、それが不快感になっていました。
つまりは
高負荷領域での使用を想定していない車高調ということになります。
これの対処法として考えられるのが、バンプラバーの材質を変えたり(ショックのロッド径にマッチするものを選ぶのは難しく、雑に選ぶとバンプラバーとロッド径のクリアランスが増大し、異物混入の可能性が増え、ショックの寿命を縮めるもととなる)、その他私が実践したようにスプリングを交換するという手法になってきます。
メーカーによって特性は様々ですが、スプリング界隈もやはり乗り心地や品質は基本的に価格に比例しています。
画像は吊るしの7kより1kレートを上げて装着したHYPERCO製のスプリングです。
ストロークし初めから安定したレートの立ち上がりがあり乗り心地がマイルドになると定評のあるスプリングメーカーです。(リアは諸事情でバネ特性の異なるSwift製)
ここまでやって更に減衰力を再調整、個人的には"そこそこ満足のいく仕上がり"になりました。
ただし、やはり
道路環境が悪いといくら減衰力を調整したところで多少は我慢を強いられていることには変わりありません。
そして高価な車高調について。
エイトに先日着けたKW V3です。
まず見た目からして質感が違います。
実際このKW車高調はドイツのサイト内で錆びませんと謳っているほど品質に自信を持っています。
高価な車高調は塗膜強度が高いです。
先日までエイトに使っていたAutoExe車高調(恐らくOEMのCU〇CO製)
前オーナーが茨城で使用していたことを考慮しても色褪せ、錆が酷いです。
そしてデフォルトでヘルパースプリングが搭載されています。
安定した走行をするのに
伸び側のストロークの重要性を理解しているからこそ、コストがかかっても採用するのでしょう。
実際これのお陰で、以前あったカーブでのインリフト状態は発生しなくなりました。
あるいはコンビニ等へ道路から入る際、歩道の高さがあると片輪が浮いてしまい、トラクションがかからないと言った症状も起きなくなりました。
そして乗り心地に関しても、ダンパー内のオイルの通り道であるバルブの制御が秀逸で、同じスプリング硬さ8k同士のBKアクセラとエイトのフロントを比べると、路面のギャップを通過後の収まり方が全然違います。
例えが難しいのでイメージで理解して頂きたいのですが、X軸を路面からの入力の大きさ、Y軸をドライバーが感じる乗り心地の悪さと仮定しますと、
安価な車高調はyがxに比例する直線グラフになるのに対し、高価な車高調は図で表されるような傾きがなだらかに下がっていくグラフ、即ち
入力が増えても身体への衝撃が緩和されるような感覚です。
安価な車高調はスプリングの性質等を変える方法で乗り心地を向上させることはできても、乗り心地への作用の多くを担っているのはあくまでも減衰特性であるということが明確になり、絶対に超えられない壁があることが身をもって分かりました。
複筒式強し。
Posted at 2024/05/23 09:16:40 | |
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