2009年05月20日
ウィルスの拡散とマスク
先日のブログで紙マスクなんか効かないと書いたので補足事項を。
インフルエンザウイルスの感染形式としては3つあります。
接触感染:ウイルスを含む飛沫物の付着した物に触れる手を介して感染
飛沫感染:ウイルスを含む飛沫物を吸い込んで感染
飛沫核感染(空気感染):空中を漂うウイルスを含んだ飛沫核を吸い込んで感染
インフルエンザウイルス粒子の大きさは直径0.08-0.12ミクロンと細菌(1~5ミクロン)と比較するとかなり小さいです。
ウイルスを含む気道からの飛沫物質(くしゃみなど)は5ミクロン以上
ウイルスを含む気道からの飛沫核物質は0.3ミクロン程度です。
とくに、飛沫核物質(ウイルスを含む飛沫粒子が直径2ミクロン以下になると、空気中で水分が蒸発し乾燥縮小した飛沫核)は長時間空気中に浮遊し、これを吸入したり、髪の毛や服などに付着し多数の人に感染させるわけですね。
さて、各マスクにおける粒子の透過性ですが、
通常の花粉症や外科用マスクの不織布製マスク(市販製品の主流)で5ミクロン以上の粒子
N95(医療用):0.3ミクロン以上、
ナノフィルター(市販されている):0.03ミクロン以上の粒子、
であり、従来型のガーゼマスクや紙マスクはかなり大きな飛沫の拡散を防ぐ程度しかなく、隙間だらけで、フィルター効果もないのではしてないのとほとんど同じです。
N95規格とは、米国 NIOSH(National Institute of Occupational Safety and Health)が定めた9種類(後述)の基準の中で最も低いもので、Nは耐油性が無いことを表し、95は試験粒子を95%以上捕集できることを表しています。NIOSH規格で用いる試験粒子は、おおよそ0.3μmの粒子です。
N95規格のマスクは、元々製造現場等のマスクとして使用されていましたが、結核、SARSなどの感染防止に効果を上げたことから、N95マスクは医療関係でも用いられるようになってきました。
手術用のサージカルマスクなどとは区別し、レスピレータ(呼吸用保護具や防じんマスクとも呼ばれる)と呼ばれています。サージカルマスクは装着者の側から発する飛沫の拡散を防ぐために用いるが、レスピレータは装着者を空気中の微粒子(有害物質やウイルスなど)から防ぐために用います。
NIOSH分類
N:Not resistant to oil (耐油性なし)
R:Resistant to oil( 耐油性あり)
P:Oil Proof( 防油性あり)
N95/R95/P95:0.1~0.3μmの微粒子を95%以上除去できる性能
N99/R99/P99:0.1~0.3μmの微粒子を99%以上除去できる性能
N100/R100/P100:0.1~0.3μmの微粒子を99.97%以上除去できる性能
というわけで、本気でウィルス感染予防、拡散予防をするなら、N95以上のマスクが必要です。外観はアヒルのくちばしみたいで、一般の人がこれをつけるとそのフィルター効果のため、逆に息苦しいので、まず、緩めたり、はずしたり、ずらしたりするでしょうから、有効性には疑問視されています。
また、マスクをしていれば大丈夫と考え、外出する人間が増え、先述した飛沫核物質をばら撒きかねません。
まぁ、ここまで拡散してしまったら、現在マスクで防御しても、ずっとしているわけにもいきませんから、今年の冬にはまた多数の人が発症するでしょう。
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Posted at
2009/05/20 21:29:08
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