
前回の<その1>のブログでお話しした通り、
ポルシェ911(991)の7速PDKは、そのスムーズさと変速スピードで、M DCTを凌駕すると思われた。
しかし 1935年創業の名門ゲトラグ社がBMW社と共同開発した自信作の DCTが、ポルシェPDKに顕著に劣後するとも信じ難い。
いったいどういうことなのだろうか?
ところで、
何度かポルシェに乗って気づいたのだが、ポルシェ911 エンジンの吹け上がりはBMW M4 エンジンと大差ない。
両者とも いいエンジンだ。
迫力あるエンジン音はM4のほうだが。
両者とも
シフトダウンの時の変速スピードも大差ないが、なぜかシフトアップの時の変速スピードがポルシェの方が明らかに 速く感じる。
例えば
2速から 3速へ シフトアップすると、M4 BMWもポルシェ911の両者とも瞬時に変速する準備は整っている。ツインクラッチだから当然だけど。
ポルシェ911は シフトアップ操作と ほぼ同時に 次のギアにエンゲージメントしているような感覚で、エンジン回転数がスッと下がる!

エンジン回転数とは別にタコメーターの針が機敏に動くように、電子的ギミックがメーターに仕込まれているのか?と思うぐらい速い。(さすがに、それはないだろうが。)
一方で、
BMW M4は シフトアップ操作から コンマ数秒後に 次のギアにエンゲージしている。
一瞬だけ、コンマ数秒の間があるのだ。
シフトダウンの時は、M4は速いが、
シフトアップは一瞬遅れる! とは どういうことか?
はじめに、
クランクシャフトやフライホイールの重量差からくる慣性質量の差?
を疑ってみた。
直列6気筒の方が ややクランクシャフトが長く、重量が増えるぶんだけ、クランクが短い水平対抗エンジンよりも回転モーメント力が失われにくい。
だから、シフトダウン時の回転数上昇時でなく、回転数ダウン時(シフトアップ変速)が 回転数合わせの時間分だけ 間があるのだろうと。
先ずは、そんな風に妄想したが、
すぐに
その考えでは説得力があまり無いことに気づいた。
というのは
慣性力の差では 説明出来ないぐらい ポルシェPDKは速く変速している。

一方、BMW M4のS55B30Aエンジンだって、量産ファミリーカー向けのモッサリしたパワーソースではないのだから、愚鈍なクランクシャフトを搭載しているとは到底思えなかった。
S55B30Aのクランクは、完全バランスの直列6気筒用にカウンターウェイトも最小限度に抑えられ 且つ、窒化クロームモリブデン鋼でできている軽量仕様!なのだから。
シフトアップ時にエンジン回転数を落とすことに寄与するであろう、摩擦抵抗力となるエンジンオイルの粘度も両者とも似たようなものだ。
ポルシェの方がやや粘度が高めだが決定的な差では無い。
もちろん
DCT動作の油圧レベルを上げるチューニングをしたり、シーケンシャルモードをS3にすれば M4 BMWの「油圧クラッチ」切替え速度(「変速速度」ではない。)、はより速くなることは知られているが、そういう問題ではないと感じた。
PDKに比べてシフトアップが相対的に遅いのは、トランスミッションのクラッチ切替え変速自体に原因がある訳じゃないんだ。
何か別の理由があるように思えて仕方がなかった。
<その3>に続く
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2020/11/28 06:24:45