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2020年12月01日

ポルシェPDK 対 M DCT <その5>最終回

ポルシェPDK 対 M DCT &lt;その5&gt;最終回 前回の記事で、お話したとおり、
『ポルシェPDKは、クリープ現象のある変速機だ。AT車と同じクリープ現象を意図的に、作出している。これは、多層クラッチ盤をヤスリがけしているようなもの。。
そう、PDKは、クラッチ消耗について、最初から確信犯なのである。』

PDKは、傑作ATであるZF8HPのように、早めのミート(とくにシフトアップ時の)が特徴で、
そのため、シフトアップ時に顕著に観察されるのですが、
M4よりシフトスピードが速いように感じやすい!という結論です。

ポルシェは、PDKのクラッチを滑らすことを厭わない設計方針で、さらに、シンクロナイザーを一部トリプル仕様にしたりして、クランクシャフトとトランスミッション間の多少の回転差ありきでも、早めにミートしていく前提の設計仕様です。
ただ、素早く且つスムーズにという矛盾する性能を手に入れるためには、
何かを犠牲にしなければならない。

犠牲の代償は、クラッチやシンクロナイザーの寿命。
シンクロは、真鍮合金やカーボンで作られているので、どうしても使用に伴い磨滅しやすいのです。

どちらが、より高性能というより、設計デザインの違いなのですね。
M4は、なるべく回転差を減らしてから、変速完了する設計です。
したがって、ポルシェのトリプルシンクロよりも、慣性質量の軽いシンクロナイザー(ダブルとシングル)で構成されてます。ドライバーの技量で回転数は合わせてあげると、より気持ちよく変速できる余地が大きいですね。

それは、シフトデザイン等にも、両者の設計方針の違いは明確に表れています。
ポルシェのPDKは、ATデザインが基本のPRNDポジションがメインで、+-のシーケンシャルは、シフトゲージを横に倒す(つまり、センターラインからオフセットする)オマケ的なポジションです。

あらためてポルシェのパンフレットを確認してみると、「オートマチックとマニュアルモードを備えます」と記載。先ずはATがあって、その次に、マニュアルモードもあるよね、という位置付け。

PDKシフトの形状も、かなり大きく長いです。M4の倍近い高さがあって、いかにもATのシフトデザインしています。
さらに、シーケンシャル操作にしては、ちょっと重すぎるのが問題。
特に、右ハンドル車の場合は、PDKの+-のシーケンシャルゲートが、人間工学的に残念なことに。。
(ポルシェに限らず、右ハンドル車はマイノリティですから、同様な差別が、よくありますね。。。)

しかし、美点もあって、操作フィールは、高粘度のギアオイルをスプーンでかき回すような、ねっとりした感触を演出しているのは素晴らしい。
最初は、軽い抵抗を感じて、だんだん粘着的な重さを感じる上質なシフトフィール。
それだけに、手首+「肘」の力を使わないと自然にシフトできない重さは残念な限りだ。




この点、M4は、MT基本のRND/Sポジション(Pは無い)ですが、+-のシーケンシャルは、シフトのセンターラインど真ん中にあります。
あくまでも、メインが自動クラッチのMTシーケンシャルであって、ATモードはオマケであることが、設計デザイン的にも貫徹されています。

パンフレットにも、自動MT と書いてあった。そう、DCTは、「MT」なんです。どこにも「AT」という表現が無い。
さらに、
ご丁寧にも、ブレーキペダルも、3ペダルMT車と同じパーツです。
PDKと違い、基本姿勢がマニュアル車なのだ。


なお、
DCTのシフトフィールは、ポルシェに比べて、電気スイッチ的で感銘は少ない。最初に抵抗感がマックスで、それを通り越すとスコーンと抜けるシフトイフィーリング。

この点は比べてしまうと、ポルシェPDKのほうが高級感あると個人的には感じる。(機会があるならDCTシフトレバーの可動部に、高稠度グリースを塗って、適度に抵抗力をあげたいぐらいだ)
その代わり、手首+「指」の力だけで、ショートストローク且つスマートにシフト出来る点は、M4の美点だろう。
(長時間ドライブした場合、ポルシェでは素がATシフトなので、シフト操作が大振り&重すぎる。。・°°・(>_<)・°°・。
パドル操作は重くないです。)



以上、全5回にわけて、PDKとDCTを分析してきましたが、
最後にまとめるならば、

「ATであることを志向したPDKと、MTであることを志向したDCT」

であり、
それぞれの顧客(市場)の属性を鑑みたときに、
PDKとDCTでは、そもそも目指しているモノが違うのでした。


(終わり)


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Posted at 2020/12/03 13:18:09

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この記事へのコメント

2020年12月5日 12:43
とても楽しく拝読させて頂きました。
私もPDKに乗った際に、DCTより早いシフトチェンジに感じましたし、シフトチェンジが楽しく感じました。
あの針の動きの速さは930等の空冷もビンビンに動いて乗る楽しさを感じますので、ポルシェ独特で何かのギミックで演出しているのでは?と思った一人です。またタコメーターがポルシェはセンターに配置されているので見えることで針の動きをさらに感じてしまいますよね!

最終結論の回まで毎回楽しかったです!
楽しいブログありがとうございました!
コメントへの返答
2020年12月5日 20:20
ありがとうございます。

ほんと、PDKは素晴らしくスムーズな変速システムですね。ツインクラッチ分野でのポルシェの功績大きいです。
トルコンATみたいなクリープ現象まで演出しているところとかは、やり過ぎた感はあります。

でも、私は、ゲトラグの技術屋らしい実直な不器用さの方が好きなのです。(^^)
BMW社「シフトアップの時間が遅いんですけど。」
ゲトラグ社「そちらのエンジンクランクシャフト回転が落ちるのを待ってやってるだけだ。遅いのはミッションの責任ではない。それとも、P社みたいに、シンクロやクラッチ盤をヤスリ掛けするようなシフトプログラムを書くのか?」
BMW社「.....。いえ、この仕様で結構です。」

地味なブログが多いですが、何卒よろしくお願いします♪
2020年12月23日 23:41
はじめまして、こんばんは。

とても興味深く読ませていただきました。PDKもDCTも乗った事すらないし、走りにこだわりも強くないのですが何となく理解できました。特に「ATである・・・PDKと、MTである・・・DCT」の方向性に納得でした。
またポルシェの系列グループのVWがDSGでリコールし、湿式と乾式を使い分けてることにも合点がいきました。有益なブログありがとうございます。
コメントへの返答
2020年12月24日 19:44
コメントありがとうございます♪
効率は乾式ですが、冷却や耐久性を考えると液体冷却できる湿式にならざるを得ないのでしょうね。
もっとも、今は、ATの時代ですね。
ZFが開発中の第四世代8ATはトルコン部分に電気モーターを内蔵する設計です。
あと数年で、BMWに優先的に供給されることに。
2021年1月11日 15:00
初めまして。

楽しいブログありがとうございます。

私も、両者のシフトスピードの差に同様な感想を持っていました。3ペダルのMTにおいても。1速から3速までのシフトアップは、明らかにポルシェの方が早く完結する印象でした。

ポルシェのほうが、明らかにシフトアップ時の回転落ちが少なく、2ペダル車でもおんなじでしたので、ずっとギア比を疑っていました。

ところが、991.2GT3RSのPDKに乗りますとシフトアップ時にガンガンきますので(笑)どうしてかな?(演出かな?)と疑問に思っていました。

巷では、MDCTよりPDKのほうが、洗練されていて優れているという意見が散見されていますが、個人的には、DCT派です。

また、F90M5に乗った際、Mがどうして8HPを搭載したのか?よく理解できました。優れたATだと思いました。

コメントへの返答
2021年1月13日 13:04
そうですね。8HPは優秀ですね。
時代の流れを感じます。
はっきりいってDCTやPDKよりも速いです。
私も、
個人的にはDCTのフィーリングは好きですが。

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「コーディングで、オンボードコンピューターから、Daylightのオンオフを出来るように書き込みしてもらいました。」
何シテル?   11/20 14:06
修造 (Shuzo)です。よろしくお願いします。 BMWやAlfaRomeo、FIAT、citoroenは好きなメーカーです。 プロフィール画面の写真は、BMW...
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