
久々に子供らを連れて先頭車両の風景を見ながら電車で帰宅。
京急線、逗子と金沢八景間。線路に目をやると、ここの区間は線路が変な形になっている。
40年ほど前だろうか。自分自身その疑問を祖父に訊ねた時のことを思い出す。
「電車の線路って普通は2本なのに、どうしてここは3本なの?」
普通、電車は2本の線路の上に跨るものだ。
だが、ここの区間だけは3本ある。
祖父の回答はとても長かった。
幼少期の私にとっては、朝礼の校長先生の話みたく退屈な語りだったが、何故か印象深く感じられた。
朧げな会話の記憶をかいつまんで辿ると、金沢八景駅近くの東急車輌(現:総合車両製作所)で作製した車両を、国鉄逗子駅へと運ぶ為のものだとか。
ただし、京浜急行と東急(JR含む)とでは線路の幅が違う為に、京急用の線路(1435mm)でそのまま東急を走らせるのは不可能。
東急に合わせる幅の線路を一本、内側に並行させる(1067mm)ことで、走らせることを可能にしているのだそうだ。
さらにその背景の運用として、大戦当時の日本海軍の工場だとか池子の弾薬庫との関係だとかを、ものすごく詳しく説明された気もするが、その辺は全く覚えていない…。
長じてから少し調べてみると、これは三線軌条といって、鉄っちゃん界隈でもマニアックな線路らしい。
さらにこの京急の逗子線に存在するそれは、
(正式名称:総合車両製作所横浜事業所専用鉄道、と言うそうで。長いわ!)
前述の海軍工廠からの軍用路線を経ての成り立ちや、途中に米軍管理下の路線が一部介入していたり、停車する駅での分岐器の動きが他に例のないものだとか、超マニアック路線ということらしい。
横浜市大の隣の工場で造られたJR車両は、工場内から敷かれる線路で金沢八景駅付近にて京急の線路に合流。
六浦、神武寺と京急の駅を通過後に分岐し、そこから単線でJR逗子の車両基地へと伸びている。
神武寺駅から分岐してJR逗子へと至る線路の雰囲気は、夏場になると草が生い茂りスタンドバイミーに出てきそうな様相で、昼間は地元民が線路内で犬の散歩をさせていたりする。
一見すると廃線跡だ。
ただ、地元民は日中にこの線路を車両が通過しないことを知っているだけで、深夜になれば不定期だが稼働する。
京急の終電がとうに終わった深夜の時間帯、この区間の踏切で警報器が鳴りはじめると、普段この路線では絶対お目に掛かれないマニアックな電車が、ディーゼル車両に引かれてのんびりと通過していく。
この状態で通過待ちにハマるとなかなか遮断機が上がらないが、レアな光景に立ち会えたと思えば悪い気分でもない。

月に3〜4回くらいは通るのかな?
夜中ということもあり、走行音はなかなかうるさい。
運行日は不定期なのに、動画に収めたマニアなお方がいらっしゃいました。
https://m.youtube.com/watch?v=3wn5QBv6ZYU
Posted at 2023/05/09 05:03:52 | |
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