こちらのテントの中に日産アリアの特別仕様車(バーガンディ)が設置してあります。
一人ずつテントの中に入り、専用スマホアプリとの連動、内装についての説明。
運転席に座ってのナビやモニターの説明などを受けます。
アレクサとの連携も試したりなど実際にやってみました。
マーケティングの方、日産アリア開発部の方などが説明してくれます。
試乗会
5台の発売前のアリアがコースのスタート地点に並んでいます。いずれもB6 2WDの試作車ですが、まだ正規の市販車ではないのでサスの制御やモーターのプログラムなどは市販車と異なります。
プロパイロット2.0も装着されていません。
パイロンが立てられた専用コースを個別に走ります。
日産アリアB6 2WDバーガンディを試乗しました。
コースは決して狭いわけはなく最高で60km/h程度は出すことができます。
様々なRを組み合わせ一部はスラローム走行などもできるように設定されており、車体剛性や足回り重心の低さなどが十分に体感できるように作られていました。
本日、私の参加した時間帯は参加者数は6名程度でしたので二組に分かれて3台が同時にコースを走ります。
インストラクターの方が助手席に乗車され、説明をしていただきながらの運転です。
【操作性】
操作性は最近の車という感じで、私のTT8Nとは全然違いますね。
ビシッ、バシッとコンピューターが介在して来ます。
しかしながら流石に自動車のメーカーです。自動車の運転を楽しめるような味付け、つまり電気モーター車を意識させない自然な味付けに仕上がっています。
例えば、ほとんどの車は内燃機関たるエンジンがフロントボンネットに収まる訳ですが、この重量による操作系への影響は大きなものがあります。操舵輪の上に重量物があるわけですから当然です。この操舵性はフロント荷重により変わるわけですが、アリアはボンネットにはそれほどの重量物がないのです。
(ボンネット内部 かなりスペース的には余裕があり重量物は少ない)
一番の重量物は燃料電池であるわけですが、燃料電池はフロアー近くに配置されていますから操舵性は普通の車とは異なります。しかしその味付けは、恐らくわざとだと思うのですがクイック過ぎずかといってダルにならないように設定されていて、違和感を感じません。パイロンで作られたS字カーブを走ってもロールをそれほど感じません。また、これもわざとだと思うのですが、S字カーブのアスファルト路面はやや不整。それでも不快なロールを感じません。かといって足回りが固いわけでもないので、欧州車SUVを意識して開発にしているのではないかと感じられます。
たしかに冒頭の開発の方のプレゼンテーションでも電気自動車の比較としてポルシェ社のマカンを例にとり、日産の開発部門が実測した加速性能、静寂さなどを数値として提示し、アリアとの違いを述べていました。もちろん、テスラ社のモデルXも比較対象としてデータを示してはいましたが・・。いずれにしても、徹底的に他社同種車両を研究して開発しているのでしょう。
また、ヘッドアップディスプレイは従来の日産車で設定されているサイズの1.6倍に大きく設定されており、明るい日中でもきれいに表示されるため、視認性は大変良いと感じます。ステアリング周りも乗用車のそれであり、SUVを意識させない作りになっているように感じました。フロントウインドウから見える景色も車両感覚もつかみやすく視界は良好です。
バックミラーはバックモニターからのカメラ映像を移すこともできますし、リアルな光学的な鏡として使うこともできるように設定されています。試乗の際にはカメラモードで運転してみましたが、特に違和感は感じませんし、むしろ視界が広く視認性は極めて良いと感じます。
エアコンのスイッチなども必要に応じて浮き上がるディスプレイタイプのスイッチであるものの、操作するとそれが受け入れられたとわかるような振動が伝わる設定になっており、大変わかりやすいです。
【動力性能】
コース上で、一旦、停止して、「ここは60km/hまで一気に加速して良いです」というセクションが設定されています。ここで一気にアクセルべた踏みで加速をするのですが普通に速いです。比較をすると、同じSUVでいえば4モーターアリアはマカンより加速は良いとのプレゼンテーションがありましたが、2モーターの2WDはマカンと同じか少々下くらい、Q7やカイエン4.2リッターと比較すると少々もたつく感じです。しかし、スピードメーターで50km/hに達するころから素晴らしい加速を示すのです。モーターなら下もトルクは一緒のはずですから、最初からトルクがないのはおかしいと感じインストラクターの方に聞いてみました。モーターはトルクがリニアに出るので2WDはFFのためアクセルに対する出力制御プログラムにおいて最初のトルクの出方をマイルドに抑えているとのことでした。一方、4WDについては後輪も駆動するためプログラムは全く異なるとのことで、これは私見ですが4WDはトルクもリニアに立ち上がる設定になるのではないかと思いますし、かなり速いのではないでしょうか。動力性能を制御するプログラムは、スタンダードモードのほかに、エコモード、スポーツモードがあります。明らかにスポーツモードは制御プログラムの介在が減りますのでトルクはアップしています。現在のところ、スポーツモードでサスペンションまでいじる設定にはなっていないとのことですが、今後、市販車においては足回りの設定も変えていくこともあり得るとのことでした。特に4WDにはこちらの制御も期待したいところです。
【居住性・快適性】
走行時の騒音については、プレゼンテーションでも開発の方が説明していましたが、他車と比べて静寂性は高いものになっていると話していましたが、その通りで走行音は低い。高速走行をしていないので風切り音などについては検証はできていませんが、ロードノイズはかなり低いです。これはフロアに広く設置されている燃料電池も大きな防音の役割を担っているのではないかと想像できます。これはアウディでの比較になりますが、A4より静かでQ7よりやや劣る、BMW X5と同等かそれより静かという感じでしょうか。高速走行をした際の音などは形状からするとQ7より優れているように見えますし、エンジン音も低いでしょうから、全体的にはいい勝負のような気はします。価格が違いますから仕方ないと思いますが、カイエンなどのプレミアムSUVには及ばないのは仕方ないと思います。また、電気自動車であるがゆえ、フロアーパネルはフラットですから居住性は素晴らしいです。足元も広くぶつかるところはありません。後席も足元には余裕が十分にあります。
(運転席からみた足元の状態 シートは後ろに下げてあります)
(写真は全席を最大限下げた状態でのリアシートの足元の状態)
また、シートヒーターが全席に標準装備であるほか、シートベンチレーションもフロントシートに組み込まれているなどは夏期冬期を問わず快適に過ごせる装備であると思いました。ステアリングヒーターも装備されていますから寒冷地では重宝することと思います。
ルーフはパノラマルーフが標準装備となっており室内も明るい印象です。そのほか、スマホのワイヤレス充電スペースが設定されていたり、スピードメーター部分とコンソール中央のナビのモニターがすべて横長モニターでありつながっていることから、運転席前をスピードメーターをなくしてナビモニターにしてしまうなどカスタマイズができるのも重宝しそうです。
(コンソールの横長長方形表示部は横長一体型液晶モニターで表示内容をカスタマイズできる)
【総評】
TT8Nの対極にある最新の電気自動車を試乗しましたが、結局、こうした最新の車もその乗り味は従来車を模して、それに近くなるよう開発されていることがわかりました。つまり過去において積み重ねてきた自動車の技術やそのフィーリングは一朝一夕で別物に代わることはできないということを示していると感じました。
売れる車、つまり、万人に受け入れられる車にするために、特に私のような従来車に慣れきっている者がこうした車を受け入れていくためには、従来の車の乗り味、フィーリングを有していることが事実上は必要なのだと思いますし、その意味では十分に実績やデータの蓄積がある自動車メーカーに最先端電気自動車の開発を牽引していっていただくことは重要なのではないかと思いました。そして、さらに、今後の4WD B9などにも期待していきたいと感じました。
個人的には4モーターの4WDにはぜひ試乗してみたいと思っています。
(頂いたカタログ)
