
全18巻。
連載終了(完結)は2024年7月。
ずっとタイムリーに読み続けながらも、今になって最終巻をようやく読み終えたのは、壮絶な物語を消化するに際し、自分なりに頭の整理と心の準備が必要だったからです。
あくまでも主観ですが、この作品は「傑作」の部類だと思います。
この作品を自分なりに一言で表すならば、それは「狂気」以外ないです。
分類としては「恋愛物語」ですが、物語の主要人物全てが理性を失い、本能的な愛欲に犯されて狂気に蝕まれて破滅にまっしぐらな様は、読み手であるこちら側が「この先の展開は大丈夫なのか?」と要らぬ心配がつきまとうくらいです。
表面的に物語を語ると、、、
若くして他界した父親に変わり、女手一つで認知症の祖母、引きこもりの兄、そして自分を養う母親に対して負い目を感じつつ自身の存在価値を見失い始めていた主人公(命児という名の高校生)が、偶然(仕組まれたとも解釈出来る)消息不明のアイドルと出会い、心中を持ちかけられる、、、と言う、割と突拍子も無いプロローグで物語は幕を開けます。

※死ぬ事で全てを終わらせたい二人の出会いの図
そして主人公の男子高校生(命児)を巡って、まるで「死ぬ」事を求めるかの如く、主要人物達が連鎖的な狂気に蝕まれていくですよ。
まあ、狂気物語のプラットフォーム的役割はこの主人公の母親なんですけどね。
最初っから狂ってます(笑)

※超美人だけど頭おかしい母親の図
物語の進行上、唯一「正常」の立ち位置を取っていた幼馴染の女子高生(チャコ)でさえ、主人公を破滅の深淵から救い出そうと必死に試みながらも、その過程で密かに寄せていた片思いを爆発させ、自身が主人公以上に破滅への道をひた走ることになります。
何なら流れに巻き込まれて家庭も崩壊します。

※憔悴しきって誰だか解らない幼馴染の図
また、主人公の母親が「可怪しい」というのを薄々察知しつつ、主人公を救済せねばと言う担任の女性教諭(あだ名は柴ちゃん先生)が、救済どころか主人公に身も心も陶酔し、作中一番の狂気を纏うことになるです。
沸点を限界突破した恋心の狂気。
この「柴ちゃん先生」の救いようのない壊れっぷりは、連載当時ネット上でもかなりざわついていたと記憶してます。
清楚が故、状況に飲まれて止めどなくぶっ壊れちゃったとも言えるですかね。
でも、その壊れっぷりがファンの間では一番人気だったかもしれません(笑)
そうです!
まさに「最終兵器彼女」
元卓球国体選手が売りの「柴ちゃん先生」

※もはや猟奇的ストーカーをも凌駕する最終兵器彼女(柴ちゃん先生)の図
この物語はサスペンス的要素もいくつかあります。
その一つが「主人公の父親は誰なのか?」
これを語ってしまうと長い伏線台無しなので語りませんが、、、
育ての父親は過度な家庭内暴力者でありながらもある日突然死んでしまいます。
ネタバレなんですけどね、当時まだ幼かった主人公の友達によって殺害されています。
そのお友達は同じ幼い男子なんですけど、大切な友人である主人公達が無抵抗に乱暴されるのに耐えられず、頭のイカれた主人公の母親にそそのかされるまま犯行に手を染めてしまいます。
それは主人公を好きすぎたと言う説明しきれない想いと、「殺人」と言う極罪の対価として、主人公(命児)はずっと側に居てくれるはずと言う想いからの犯行。
しかしながら裏腹に「死」を求める主人公を見るにつけ、愛憎を深めて狂って行くです。

※主人公の母親の下着と口紅をつけて女装し、衝撃的な告白をしている、育ての父親殺しをした友人の図
こうやってストーリーを表面的に追っていくと安っぽい冗談ネタに見えますが、純文学的要素も多分にある重たいストーリーです。
故に、徐々に回収されていくサスペンス的伏線と、皆が皆、破滅へと真っしぐらに向う物語は、読んでいて「絶望的なバットエンド」の一択だと思えてなりませんでした。
こりゃあれだ、映画「セブン(七つの大罪)」並みの身悶えるバットエンドになるぞ、と。
これもあって、最終巻は発刊から2年も過ぎてようやく読む心構えが出来たという訳でした。
ところがですよ、なんとハッピーエンドで終わったです(笑)
個人的には拍手喝采。
いや、すげーぞ、この作品!
まさかの顛末!
怒涛の勢いで破滅へとラストスパートする最終巻は、想定外の展開(流れ)に置き変わるです。
読むとお解り頂けるかもですが、このハッピーエンドに流れを変えたのが、作中一番の狂人である柴ちゃん先生だったと言うのも、割と驚かされつつ納得な読後印象です。

※狂気のヒロイン「柴ちゃん先生」
完全に主人公を喰ってました
例えるなら、「ブラック・レインの松田優作」(笑)
ま、結局この人は救われないんですけどね、、、(ネタバレ、、、(笑))
小説にしても映画にしてもコミックにしても、最近「余韻」を楽しむ事が出来ていなかったので、この作品から得られる読後の余韻は収穫した。
この作品、コミックですけど谷崎 潤一郎賞あげたいです(笑)
Posted at 2026/08/14 18:48:49 | |
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