
皆さんは、「メタ認知機能」という言葉をご存知でしょうか?
私は現在、自動車学校に勤務しており、当校には毎月約200人、年間で2000人以上の高齢者の方が運転免許更新のための講習を受講しに来られますが、この時、75歳以上の方を対象に検査を行う「認知機能」と先述の「メタ認知機能」はまったく別のものです。
「メタ認知機能」とは、心理学において
自らの機能低下を客観的に把握できるか
というもので、機能低下を客観的に把握できており、それに基づくリスク補償が出来る人は「メタ認知機能が高い」、把握できない(機能低下を自覚はしているが認めない)ため、リスク補償が出来ない人は「メタ認知機能が低い」ということらしいです。
そして、免許更新のための認知機能検査の結果、認知機能が低下している方々に対して、さらに「メタ認知機能」を測るテストをし、「メタ認知機能が高いグループ」と「メタ認知機能が低いグループ」に分けて運転技能試験を実施したところ
⚪︎ 認知機能は低下しているものの、自らの機能低下を自覚し、それに基づいて適切なリスク補償を行うことが出来る人は、認知機能が低下していない人たちに近い好成績であった
⚫︎ これに対し、認知機能が低下している上、自らの機能低下を自覚出来ていない(自覚はしているが認めようとしない)人たちのグループは、運転技能試験の成績が低かった
という結果になったそうです。
これは実際の免許返納の実態にも少なからず反映されているようです。
具体的には、「自分はそろそろ免許を返納しないと危ないかも?」「事故を起こしてからでは遅いので、今のうちに免許を返そう」と考える自らの機能低下を自覚している=メタ認知機能の高い人は免許返納に応じる可能性が高いが、「自分はまだまだ大丈夫」「私はまだ若い」と思い込んでいるメタ認知機能が低い人は免許返納に応じる可能性が低いということです。
結局、そうなると「安全なドライバーは早めに道路から退場するが、危険なドライバーはなかなか退場しない」ということになります。
※ 免許返納に応じない人=危険なドライバーという意味ではありませんので、そこは誤解のないようにお願い致します❗️
私は自動車学校で、高齢者講習を受講する方たちを毎日のように目にしておりますが、年齢が高くてもシャキッとしておられ、運転も非常にしっかりしている方もおられますし、まだ70歳そこそこなのに、もうあなたは運転はおやめになった方がよいのでは?と言いたくなるほど非常に危なっかしい運転の方もおられます。
要は、
⚫︎ 返納時期を年齢だけで一律に判断するのは難しく、あまりにも大雑把過ぎる
⚫︎ 安全なドライバーは運転を継続でき、危険なドライバーには運転を諦めて頂く仕組みを確立し、「高齢者の免許返納」ではなく「危険なドライバーの免許返納」に取り組んで行かなければならない重要な時期に来ているのではないか
ということであります。
これには非常に難しい問題である上、私自身もあと8年足らずで高齢者講習を受講しなければ運転免許の更新が出来ない年齢です。
私のような脳味噌の少ない人間には考えを纏める能力はありませんので、有識者と言われる偉〜い方々によるご検討に期待しております😆
Posted at 2023/12/01 22:16:16 | |
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