2021年12月13日
さて、アクセルを全開にすると、スピードメーターはあっという間に150km/hを超えて、なお速度は上がり続ける。
この速度域に達してもボディはびくともせず、本当に安定している。
4輪の接地感は何も問題はなく、速度感もそれほど感じない。
EK9であれば、140km/hあたりからジャダーが出始め、150km/hとなるとボディがギシギシと言い始める。
160km/hを超えると、この車バラバラにならないか?大丈夫か?と言うくらいの振動となり、速度感も強烈で、ハンドルをしっかり握っていないと吹っ飛んでいきかねないと言う印象である。
サーキットなんかではこの様な感覚はあまりないのだが、実際にサーキットでも速度域が150km/hになることは稀で、長いストレートエンドに一瞬到達するかどうかである。
この速度域を維持して走るなんてシチュエーションはなく、ボディの軋みや振動にしてもサーキット走行中はあまり気にならない。
しかし、高速道路はあくまで巡航であり、そこには快適性が求められる。
EK9で150km/h巡航は可能であると思うが、快適性を考えたら全くする気が起こらない。
それに対してE87の高速安定性は桁違いである。
150km/hを超えて、160km/h、170km/hとなっても本当に何事も起こらない。
ああ、この車は本当に200km/hで巡航ができるんだと思ったその時、180km/hに達したあたりから、細かいジャダーが出始めた。
おや?と思いながらもそのままアクセルを開け続ける。
初めは小刻みなものであったが、200km/hに到達すると、はっきりとした振動として認識できる。
それもボディが軋むようなことはないが、不快と言えば不快な振動である。
そのまま踏み続けると220km/hで速度は頭打ちとなった。
後々調べてみると、最高速度は公式のリリースで224km/hとのことだったので、公式通りのスペックであると言える。
ただ快適性という事を考えると、この車の巡航速度は160km/hあたりまでとしておいた方が無難かと思う。
一応200km/hの巡航もできなくはないが、必ずしも心地よくはないというのが結論である。
実際に試したことはないが、DC5インテRが最高速度220km/hと公表されていた。
DC5が220ps、1190kgなのに対して、E87は170ps、1410kgと数字上は話にならないように思えるが、このスペックで実際に220km/hで走れたのは立派だと思う。
これまた国産車との比較になるが、ボディ、シャシーの差もあるがこの速度域で効いてくるのは空力である。
国産車と比べて一見なにかエアロパーツがついているわけではない。
大事なのは下回りである。
国産車でも最近は下回りのフラット化が進められてきているが、ドイツ車はこの下回りのフラット化が少なくても80年代から進められている。
E87においても排気管以外はアンダーカバーに覆われており、前後のタイヤには空気の流れを整えるストレーキが取り付けられている。
アンダーカバーもただのフラットなカバーではなく、複雑にラインが入っており、整流効果を向上させている。
この辺りが数字上のスペックからは見えてこない性能を引き出しているのではないかと思う。
どうせなのでブレーキングも試してみようと思う。
レンタカーのタイヤには申し訳ないが、160km/hからのフルブレーキングを敢行した。
もちろん停止するまでブレーキングするわけではない。
あくまでスピードコントロールのためのものであり、100km/hを割るくらいまで速度をダウンさせる。
ドイツ車のブレーキの良さはベンツで散々味わってきたが、BMWも劣ってはいない。
ブレーキペダルを踏み抜くと車は暴れることなく、ググっと下に押し付けられるような感覚で減速する。
これはブレーキのストッピングパワーに対してシャシー、ボディの性能が完全に勝っているためである。
これがブレーキが勝ってしまうと前につんのめる感覚になる。
この様な場合、足回りはバタつき、それを抑え込むステア操作を強いられる。
私は基本国産車派ではあるが、国産車がドイツ車に遠く及ばないと感じるのがこのブレーキ性能とシートの作りである。
ブレーキ性能とは、いかに止まれるかのストッピング性能だけではない。
安定して減速し、そしていかに次の加速に繋げられるか、そして耐フェード性能も重要である。
ストッピングパワーはパッドを変えるなりローターを変えるなり、最終的にはキャリパーを変えるなりすればいくらでも得られることができる。
しかし、ここに安定性を加味すると、そのストッピングパワーに負けないシャシー、ボディが必要になり、この改善は容易ではない。
限界まで引っ張ったフルブレーキングでもそこで姿勢を乱してしまえば、結局タイムにはつながらない。
日常的に高速走行をするということは、それだけ高速域からのブレーキングが日常的に行われるという事である。
そういう設計思想の基で作られた車は高速域でブレーキをかけるとはどういうことかという事を、本気で考えている。
それもその高速走行をするドライバーはレーシングドライバーではなく一般人である。
そのようなシチュエーションは国産車の基本設計には入っていない。
また、E87のMスポーツ専用バンパーにはエアダクトが設けられており、これがそのままタイヤハウスと繋がっていて、ブレーキに直接風があたる設計となっている。
国産車でも一部のスポーツカーはそうなっているが、この1シリーズはそのような扱いの車ではなく、一般車である。
その様な車にすら熱対策、フェード対策が施されている。
国産車だとスポ―ツカーですら、そのダクトはイミテーションで、実際には塞がっていることも珍しくない。
ここら辺からも意識の違いを感じ取れると思うのである。
シートに関しては変えてしまえばよいのでさしたる問題とはならず、ここでは割愛する。
そんなこんなを考えながら、無事スカイラインへと到着したのであった。
Posted at 2021/12/13 13:33:19 | |
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