2021年12月08日
試乗から帰るとお店の営業が出迎えてくれた。
「どうでした?」という問に「このエンジンすごくいいですね」と興奮しながら答えた。
それくらい直6のN52エンジンはよく思え、実はこの時はもう130iに気持ちは固まっていた。
それくらいの衝撃をN52は私に与え、120iの印象を消しとばしてしまった。
ただ、その場で即決はせず、一旦冷静になって検討すると言って家路についた。
もうこの時は130iしかないくらいに思っていたが、もう一度120iに乗ってみたいという気持ちもあった。
現在は130iの印象でいっぱいになってしまったが、その状況で改めて120iに乗ることでその真価を測ろうと思った。
しかし、もう一度試乗に行くというのも気が引けた。
まず単純に神奈川県は遠いということ。
そして試乗は本来購入を前提にしたものであり、ヘタをすると引き立て役にしかならないかもしれない状況で試乗をお願いするのはお店に対して失礼ではないかという思いだ。
その時ふとレンタカーはないだろうかと思い立った。
レンタカーであるならば試乗よりも長い時間をじっくり乗ることができる。
ただ高級輸入車のレンタカーが果たして近場にあるのか、あったとしてその料金はどうなのか、という事が気になり検索をしてみると、オリックスレンタカーで輸入車の取り扱いがあった。
オリックスレンタカーであるならば支店が近所にある。
BMWの1シリーズ、それも2Lのモデルが果たしてあるのかと危惧したが、検索するとあっさり見つかった。
それも購入候補の120i Mスポーツ。
料金は6時間で14000円ということだったが、あろうことか、キャンペーンをやっており、6時間8000円となっていた。
8000円ならば中古車の店舗のある神奈川県往復よりもずっと安く、また6時間も走れるのであるならばじっくりと車に向き合うことができるだろう。
あとは近所のオリックスレンタカーで取り扱いがあるかどうかであるが、実際に支店に訪問し、話を聞いてみると取扱い可とのこと。
その場で予約をとりつけ、店を後にした。
このような経緯で、120i に再び向き合う機会を得ることができ、開店と同時に車を借り受け、店を出発した。
目指すは磐梯吾妻スカイライン。
高速道路で現地に向かう事で、試乗では試せなかった高速道路での走行も試しつつ、走り慣れたワインディングで車の挙動のチェックをした。
まず乗り始めての第一印象は初めて乗ったときよりも動きが軽いということ。
ブッシュのヘタリ等で車の挙動が重く感じることはあるが、レンタカーの方が年式も古く、走行距離も多いので原因はそこではないだろう。
恐らくはBMWの重厚感に私自身が慣れたということだろうと思う。
高速道路に入り、まずは流す。
2000回転程度で100km/hを維持し、このペースでは特段スピードを出しているという感じは一切ない。
EK9やMR-Sで100km/hで巡航しようと思えばギア比の問題だが3000回転近く(EK9は3500)を必要とし、速度感もそれなりにあった。
120iはこれらの車よりもローパワーで、車重も400kgほど重いが、断然100km/h巡航は楽である。
これはアウトバーンで一般人が普通に200km/h巡航をするのが前提で設計されているBMWの車作りの賜物であり、日本車とは根本的に設計思想が異なるのを強く感じる。
EK9やMR-Sは140km/hを超えたあたりからジャダーが出始める。
エンジンパワー的には余裕があり、リミッターにあたる180km/hまで速度は出るはずだが、その速度域の巡航を楽しめるかと言うととてもじゃないがそうは思えなかった。
私が今回試したかったのは、ベンツ、BMWは200km/h巡航が可能な車という触れ込みであるが、それが果たして1シリーズにも同じことが言えるのかという事である。
1シリーズは3シリーズと比較するとホイールベースを始めとして一回り小さい。
多くの機構を共有しているとはいえ、1シリーズと3シリーズではその価格は100万円近い差がある。
この弟分が同じように200km/h巡航が可能なのかどうかという興味があった。
前方の視界が開けたのを確認し、ギアをスポーツモードに切り替え、キックダウンをするとあっという間にエンジンはリミットの7000まで駆け上がる。
吹け上がりの良さはホンダのタイプRのエンジンにも引けを取らない。
ただ吹け上がりは良いが、鋭いと言う感じはしない。
もっと角が取れている感じで、タイプRの回転感を鋭いと表現するのであれば、BMWエンジンはなめらか、スムーズである。
レスポンスと言う点ではどちらも大きな差はなく、レブリミットまでの到達時間についても大差はない。
BMWの凄いと思う点はロングストロークのエンジンでこのレスポンスを実現しているところである。
Posted at 2021/12/08 11:33:57 | |
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E87 | クルマ
2021年11月16日
さて、次は130iである。
店員に購入を前提とはしているが、実際に120i と迷っている旨を話すと、断然130iがおすすめであると言う。
なんといってもBMWの直6は最高であり、3LNAで258psとストリートでは十分なパワーがあり、それをコンパクトなボディに押し込んだのだから楽しくないはずがない。
是非とも試乗してエンジンのよさを味わって欲しいと鍵を渡された。
ところで、あくまで私のイメージであるのだが、普通試乗って店員さんが隣に座ってアレコレ説明してくれながら走るものなんじゃないだろうか。
実は私今まで購入にあたって何回か車の試乗をしたことがあるが、店員が隣に座ったのはホンダオートテラスでEK9の購入にあたって試乗をお願いしたときだけである。
DC5のインテRが出たときに、その時お世話になっていたホンダディーラーに興味本位で試乗をお願いすると、「この辺りの道は御存じですよね?じゃあ好きに乗ってきてください」と言われて鍵だけ渡されて困惑したのを覚えている。
じゃあお言葉に甘えてと1時間ほど思い切り走らせてもらった。
さすがに乗り過ぎかと思い、特に言われていなかったが満タン返しでディーラーに戻った。
「随分乗ってきましたねえ」と本当に笑っているのかそうでないのかわからない笑顔で迎えられた。
店員が隣にいたらこんなにぶん回す試乗はできなかったなと思いながら、この時K20Aのすばらしさに触れ、いつかK20Aが搭載された車に乗りたいと強く思った。
この試乗がなければMR-Sの購入はなかったであろう有意義な試乗であった。
そして次のMR-Sと今回の2台の試乗はまたもやどうぞと鍵をただ渡された。
DC5は地元民だからでまだ理解できるが、MR-Sは東京、120iは神奈川県、130iは千葉県の店舗であり、「いや、鍵だけ渡されてただ行ってこいと言われても、道が全くわからんのだけど」と困惑しながら好きに走らせてもらった。
今思うと「スポーツカーの試乗は大人しく走ってもわからないでしょ」という店員の気遣いなのではという気もするが、VTECのDC5はともかく、BMWはそういう扱いじゃないだろうとも思う。
閑話休題
さて、130iを走らせてみると「この130iのエンジン凄いよぉ!さすが120iのお兄さん!」と、どこぞの御大将が私の頭の中で絶叫していた。
130iに搭載されているエンジンはN52B30Aエンジン。
長年にわたって世界中で絶賛されたBMW製直6NAエンジンの最後のモデルであり、その集大成となるエンジンである。
120iの直4が振動が少なくスムーズで、さすがシルキーシックスを作るメーカーが作った直4はちがうな、こういうのをシルキーというのだろうな、などと思っていたのだが、この直6に乗ってしまうと、直4はシルキーでも何でもないことが分かる。
アイドリングは極めて静かで、排気音はするものの、本当に振動が少ない。
神経を集中してわずかに振動しているなと感じるレベルである。
カウンターウェイトやバランサーシャフトを用いずに1次振動と2次振動
及び偶力振動を打ち消せる構造のため完全バランスなどと言われているが、それでもこうまで振動を感じないエンジンとは一体なんだろうか。
3Lの大排気量による低速からのトルクの余裕さは120iを大きく上回る。
公道にでて、前の車についていくが、流れに乗る程度だと1500も回せば十分である。
googleマップを頼りに幹線道路から外れ、ワインディングを目指す。
そこでアクセルを開けてみると、軽快に回り出す。
この回転感はなんとも言えない快感である。
直6は32RのRB26で経験済みではあるが、フィーリングは全く異なる。
RB26はドキドキ、わくわくするような高揚感があったが、このエンジンから感じるのはまさに快感である。
前者はアドレナリン、後者はドーパミンでも出ているのだろうか。
4000~5000辺りで走ると、あっという間に100km/hを超えるペースとなる。
同じ250psのNAというと、S2000のF20CとRX-8の13B-MSPを思いつくが、あれらとはトルクの太さが全く違う。
そもそも排気量が1L(13Bは1.7L !?)も違うので比較にすらならないが、F20C や13Bが250psを絞り出して出しているのに対し、N52は相当余裕を持って出している。
M3に搭載されるS54が3.2Lで343psなのを考えれば、N52の3Lで258psはかなり抑えた数値である。
その分全領域に渡ってトルクフルで、本当にどこからでも加速できる。
このストレスのなさは本当に気持ちがいい。
N52のトルク曲線を見てみると、0スタートから急激にトルクが立ち上がり、2750回転で最大トルク32.1kgmを発生させ、その後ほとんどトルクが落ちずに着いていく。
最大パワー発生回転数の6800でのトルクが29.3kgmであり、最大トルクとほとんど変わらないまま7000でレッドゾーンを迎える。
高回転型のエンジンは最大トルクを迎えた後は回転数が上がるにつれてトルクがあからさまに落ち込んでいき、レッドゾーン付近ではパワーが着いてこず空転感が漂う。
N52はレッドゾーン寸前までトルクの落ち込みがほとんどないため、レッドゾーンぎりぎりまでパワーが上がり続ける。
そのフィーリングが実に快感なのである。
RB26のトルク曲線が0スタートからじわじわとトルクが上がり始め、4400で最大トルク36.0kgmを発生させるが、その後はガクッとトルクが落ち込み、最大パワー発生回転数である6800では23.5kgmとなる。
そのため5000から8000の後半は思ったほどパワーが着いてこない。
RB26のレッドゾーンは8000と超高回転型のエンジンであるが、実はそれほど高回転域での伸びを楽しめるエンジンではない。
ただRB26は本来600psを想定されたエンジンであり、市販モデルは車全体を使ってデチューンされた状態。
チューニングの伸びしろと言う意味ではRB26の潜在能力が計り知れないのは周知であり、RB26が大したことないなどということを言うつもりは毛頭ございません。
実際にストリートでは高回転領域の使用はほとんどなく、大事なのは中間加速と言える。
その点で言えば市販状態のRB26は中間加速こそを得意としているので、メーカーの意図としてはよくできた味付けと言えるであろう。
Posted at 2021/11/16 20:01:00 | |
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E87 | クルマ
2021年11月10日
さて、実際にそれぞれ試乗をさせてもらったが、まずは120iからである。
試乗一番に思ったことは無っ茶苦茶重たいである。
なんというずっしりとした重厚感。
本当にこれでスポーツカーと言えるのかという気もしたが、ベンツやBMWが重厚感あふれるフィーリングであることは百も承知なので、とりあえず乗り続ける。
ちなみに速度自体はでており、重たくて加速しないわけではない。
メーカー公表値だと最高速度は220km/hであり、実際にちゃんと出ることを後ほど確認している。
まずエンジンに関してであるが、BMWの直4はホンダの直4とは全く異なるものだった。
年式が比較的新しく、同じ2リッターNAであるK20Aとの比較になるが、BMWのN43B20A(以降N43)は明らかに振動が少なくスムーズに回る。
K20Aはレーシーなイメージであり、i-VTECとスクエアストロークで低速とのバランスが改善されたと言えども、6000回転以上が本番のエンジンであり、そこから8000付近まではストレスなく回る。
対して、N43はレッドゾーンが7000からとK20Aと比べると1000回転少ないが、パワーバンドが広い。
低回転域でも、もたつくことなくどこからでも加速できる。
馬力はN43が170psでK20Aが220psとK20Aの方があるが、N43は低速にかなり振っており、3000あたりだとN43の方がトルクの厚みを感じる。
とは言え、さすがにMR-Sとは400㎏の重量差があるため、加速力は比較にならないほど鈍い。
しかし、ストリートでの運用を考えると、鋭すぎる加速は逆に使いづらかったりもする。
サーキットと峠ではスピードレンジがまず違う。
日本の峠はサーキットのように道幅が広くはなく、コーナーはタイトであり、ストレートは短い。
仮にビッグパワーがあったとしてどこでそのパワーを解放できるのか。
使えないパワーはデッドウェイトであり、使い切れるパワーというのは運転を楽しむ上で非常に重要なファクターであると感じている。
そもそも公道を100km/h以上で走るのも大人気ないし、その程度のスピード域で必要以上にブォンブォンいわせながら駆け抜けるのもいい大人のすることではないと思う。
N43というエンジンを総評すると、非常に振動が少なく、スムーズに吹け上がり、中低速でトルクがあるのに、上がかったるくない。
レッド付近でも苦しさがなく、むしろ心地よいので積極的に回したくなるエンジンである。
しかも適度にローパワーなので多くのステージで高回転領域を使用できる。
K20Aがサーキットベストの基に設計されたのに対し、N43はストリートベストを本当に考えて設計されたのだと感じる。
そしてハンドリングであるが、重たいなりには素直なハンドリングであった。
ただし、重いと言っても重さに振られるようなことはない。
あくまで走行感が重いのであって、車の姿勢変化や挙動そのものは車重を考えた
ら軽快と言える。
ハンドリング特性は始終弱アンダーで安定している。
弱アンダーなのでリアタイヤを巻き込むような挙動はしないが、一方でアンダーで曲がらないということもない。
正にオンザレールとはこういうことかというフィーリングであった。
MR-Sであったならば滑り出しを考えて構えなければならない速度域と横GでもE87のボディはびくともしない。
むしろまだまだ全然余裕であり、そこからさらに踏んで行ける。
そんな安心感があった。
装着されていたタイヤはブリヂストンのプレイズであり、それほどハイグリップではないはずだが、これでハイグリップのタイヤを履いたらどのようなコーナーリングになってしまうのか。
車雑誌の評論で、日本の車作りはコーナリングをタイヤグリップに頼り過ぎているというような記事を見かけるが、タイヤのグリップに頼らない車作りとはこういうことかと、しきりに感心しながら日本車とのシャシー性能の差を噛みしめていた。
気になった点はステアフィールの初期応答性の鈍さだ。
大分まったりとしており、スポーツカーとして考えるのならばもう少しダイレクトでクイック感が欲しい。
というか全体的にまったりとしており、基本的にダイレクト感に欠ける。
そもそもBMWは200km/hでアウトバーンを巡行するための車であり、そんな車のハンドリングや挙動があまりにクイックではどこに吹っ飛んでいくかわからなくなってしまう。
本来の使用目的を考えれば当然のセッティングである。
しかし、素性と言う意味で言えば実にハイレベルな素材と言える。
総じて車の挙動は穏やかだが、ちゃんとドライバーが入力してやればその挙動を示す。
ここらへんが同じドイツ車でも、ベンツとの最大の違いである。
ベンツはベンツの挙動しか示さない。
変な入力をドライバーがしたとしても、ベンツはそれを抑えてフツーに走ってしまう。
これがベンツ最大のメリットでもあり、デメリットでもある。
ベンツの運転は本当に何も考えなくてよい。
テキトーにハンドルを切って、テキトーにアクセルを開け、テキトーにブレーキを踏んだとしても、ベンツはそれで実に程よく走ってくれる。
逆にこちらがベンツに細かく指示を与えてもガン無視である。
ベンツの電子制御の凄いところは、抵抗されている感がないこと。
それこそドリフトをさせるようなあからさまな入力に対してはあからさまな制御が入るが、細かい入力に対しては電子制御に抵抗をされている感を感じない。
なので、ドライバーは電子制御に抵抗されているではなく入力を無視されていると感じる。
その結果、ベンツに乗った時の感想はものすごく安定しているが、動きは鈍いとなる。
その点BMWは穏やかながらもこちらの入力に対してちゃんと答えてくれる。
それが今回BMWを選んだ最大の理由である。
ダイレクト感、クイック感あたりはブッシュ周りや足回りのセッティング次第でどうとでもできるし、シャシー性能が高い分、仮にかなり固めに振った足回りに変更したとしても快適性がそれほど犠牲にならないだろう。
120iに試乗した感想として総じると、すばらしいエンジンにシャシー、弱アンダーで極めて挙動は安定しているが、ドライバーの入力に対してはきちんと答えてくれる基本特性。
走行感は重たいが、セッティング次第で改善可能。
ただしその完成形がどのようになるのかについては自分の今までの経験の範疇にないので予測不能であり、それが面白くもあり、気に入らなかったらどうしようという不安でもあった。
Posted at 2021/11/10 10:10:48 | |
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E87 | クルマ
2021年11月04日
さてさて、件のATの出来についてであるが、このBMWのATが素晴らしかった。
まず変速だが、ノーマルモードとスポーツモードが用意されていて、ノーマルモードはあまり引っ張らずに早めのシフトチェンジ、スポーツモードは上まで引っ張ってのシフトチェンジと言う制御だった。
そしてどこまで引っ張るかはアクセルの開度で変わってくる。
半開くらいであるならば、それなりの早さでシフトチェンジをしていき、全開のようなベタ踏みでは上まで引っ張る。
特にスポーツモードのベタ踏みではキッチリレッドまで引っ張ってくれる。
その気ではないそれなりの踏み方をしている時は淡々とシフトアップをしてくれて、その気でアクセル全開のような時はレッドゾーンまでキッチリ引っ張って加速してくれる。
何より驚いたのはシフトダウンだ。
昔のAT制御で一番どうしようもなかったのがこのシフトダウンである。
例えば低速コーナーで5速から2速にシフトダウンし、速度を落としても回転数を維持しつつすぐさま再加速したいというような場面で、旧ATは4速のままコーナーに突入するか、4速から3速にしかシフトダウンせず、回転数がパワーバンドから外れてしまい、そこは2速まで落としてくれよと、結局スムーズな再加速ができずに動きもギクシャクしたものだった。
また4ATでは1ギアあたりの守備範囲が広すぎて、最適なギア比を選ぶことができずにパワーがもたつき、シフトチェンジ時の回転数の変動も大きすぎてダルさが際立っていた。
BMWの新ATは6ATと多段化されており、スポーツモードでは常に高回転域を保とうとする変速をする。
それも速度やアクセル開度にあわせてかなり細かく常に変速し続けているという感じである。
手動の変速ではここまで細かい変速は行わない。
またこのATにはMTモードもついており、2ペダルMTとしての変速も可能である。
この手のMTモードはダイレクト感と変速のダルさがつきものであるが、このATに関してはほとんど気にならない。
むしろ私の3ペダルMTの変速よりもうまいとすら感じる。
燃費もタイムも素人の変速では太刀打ちできないというのは本当だった。
車の購入後しばらくはMTモードで運転していたが、ATに任せた方がスムーズなので、今ではATに入れっぱなしである。
そしてノーマルモードとスポーツモードに分かれているのが助かった。
ノーマルモードでスポーツドライビングをしようとしても、回転が上がり切らない。
踏み続けても、一体いつになったらレッドに当たるのかという具合である。
それを逆手にとって、ワインディングをそれなりで流そうというのならば4000~5000辺りをメインにしながらノーマルモードで走るのも悪くない。
逆にスポーツモードで街乗りをしようとすると、40~60km/hあたりで走っていても高回転を保とうとして、逆にギクシャクしてしまう。
それぞれに適したモードを選択できるのがよい。
なにより、ATで乗っていて、ストレスを感じなかったことが自分にとって一番の救いであった。
そしてワインディングなんかで自分で変速したいなと思ったらMTモードがある。
MTモードは国産車にも搭載されている車もあるが、シフトアップとシフトダウン時のシフトの操作方向が違う。
国産車の多くはシフトを前に倒すとシフトアップで、後ろに倒すとシフトダウンである。
私の感覚では逆であり、マツダのCX-5でMTモードを使ってみた時にどうしてもなじめなかった。
BMWは前でシフトダウン、後でシフトアップであり、私の感覚と同じである。
実際に使ってみると違和感なく操作することができた。
変速ショックも少なく、変速にダルさも気にならない。
3ペダルで2速へのシフトダウン時にブレーキングで回転数が落ちた時にヒールアンドトゥーでブリッピングし、回転数を合わせてからスムーズに2速の加速に繋げるなんてシーンも、スポーツモードなら回転数を保ってくれるのでブレーキング時に回転数が落ちずにスムーズに2速に繋がってくれる。
どうやらスポーツモードで高回転域を使用していると、アクセルを離してもすぐには回転数が落ちないようになっているようだ。
これは高回転時のみで、3000、4000あたりだとすぐに落ちる。
私の感覚だとアクセルを踏んだら即座に回転が上がり、離したらスッと落ちる、そのようなレスポンスの良いエンジンが好みなので、この点に関しては違和感がある。
ただ回転を保ってくれることにデメリットはないので問題はないと言えばない。
ちなみにMTモードで踏み続けたとしてもオーバーレブはしない。
レッドに当たったら自動でシフトアップをする。
逆に6速で止まってもエンストはせず、スピードが落ちてくると自動でシフトダウンをする。
MTモードでこちらにギアの選択権を与えてくれても完全に与える訳ではなく、裏でこそこそと補正のAT操作をしているようだ。
高回転時に一瞬回転が落ちないのもその制御によるものだと思う。
ただ、ありがたいのがその制御をこちらにわからないようにやってくれること。
昔から思っていました。
余計なことをしてもいいが、俺にわからないようにやれと。
ダルい変速だろうが、的外れな変速制御だろうが、私にそれを感じさせるからそれをストレスと感じてしまうのである。
Posted at 2021/11/04 10:27:48 | |
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E87 | クルマ
2021年11月03日
E87の1シリーズは直4 1.6リッターの116i、2リッターの120i、直6 3リッターの130iの3グレードを展開しており、120iと130iにはスポーティなMスポーツが設定されていた。
Mの名前を冠しているが、M3のようなモデルとは完全に別物で、専用エアロと専用サスペンションを纏ったちょっとスポーツテイストなモデルである。
ベンツでいうAMGライン的なものだろう。
1シリーズはだいたい1400㎏前後の車であり(あと100㎏軽いと嬉しかったが)、ここら辺は狙った通りでもあった。
そしてどのグレードを買うかというところだが、1.6リッターでは車重を考えるとさすがに非力と思い始めから除外、2リッターの120iMスポーツか、3リッターの130iMスポーツのどちらかとした。
まず私の先入観として、コンパクトカーに3リッターは過剰ではないかと考えた。
日本車だとコンパクトカーのエンジンは1.5リッターあたりから2リッターぐらいまで。
巨大な3リッターエンジンはバランス的にどうなのかと言う懸念があった。
ただ130iの車重は1460㎏とコンパクトカーとは思えないほど重く、寸法も含めて実はR32GT-Rとほとんど変わらない車格である事に気が付いた。
ならば3リッターは十分にありだ。
なにより噂に名高いシルキーシックスと呼ばれるBMW伝統の直6NAエンジンである。
直6はRB26で経験しているが、大好きなNAで直6となれば俄然興味は沸く。
ネックは130iの方が車両価格が高いことだ。
そしてネットレビューではあるが、120iの方がエンジンがコンパクトでノーズが軽く、キビキビ走れておすすめというような記事を見てどちらにすべきか大いに悩むことになった。
あれこれ悩んだ挙句、最終的に155万の120iと、208万の130iに候補を絞った。
120iは走行距離2万kmで色は黒、130iは走行距離4.6kmでルマンブルー。
年式は両方とも最終年式である2010年式で修復歴はなしのフルノーマル、ミッションはAT。
130iがやや走行距離が多いが気になるほどでもない。
それぞれの中古車屋に赴いて試乗をさせてもらうことになった。
ここで気になっていたことが一つ。
実はATに挑戦したいという気持ちがあった。
90年代くらいであるならば、スポーツカーはATかMTかと言われればMT一択であった。
当時のATは本当にダメダメで、変速もダルく、変速制御も全然気が利いておらず、こちらの変速ポイントのイメージとはかけ離れたものだった。
なので当時のスポーツカーはGT-RやタイプR、ランエボのようにMTに限定された車種がほとんどで、ATが設定されていたスープラですら4ATであり、全く役者が不足していた。
現在のATは多段化され、その変則性能は格段に上がっていると聞く。
スポーツATともなれば変速もストレスなく行われ、変速制御も実に良好で、燃費やタイムも素人のMT操作では太刀打ちできないレベルまで来ていると聞いた。
もはや3ペダルMTはクラッチ操作とシフト操作自体を楽しみたい方向けと言うありさまである。
それでもやっぱりMTで乗りたいと気持ちもあったが、最近のATへの興味が勝っていた。
E87のミッションを見てみると、120iはATのみの設定で、130iだとMTの設定もあるようだ。
しかし、今回はATを選択しようと決めた。
MTを絶滅寸前にまで追い込んだイマドキのATを経験したいという思いが捨てきれなかったのと、大人のスポーツカーとしてみた場合、ATのスポーツカーと言うのはありではないかと思ったのだ。
とりあえず試乗してみて、もしATのフィーリングが自分にどうしても合わないというのであれば、その時は130iのMTモデルを買おうと決めていた。
Posted at 2021/11/03 14:21:39 | |
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E87 | クルマ