
世の中のコンパクトカーが次々とFF化していく中、最後までFRとして残ったのがBMWの1シリーズ。
しかし、その1シリーズも最新モデルはFF化してしまった。
FRはどうしても後部周りがかさばるので、少しでも居室効率を高めたいコンパクトカーがFF化されるのは仕方がない部分もあるが、みんな同じじゃなくてもいいじゃない。
ベンツが98年にAクラスを投入してから遅れること6年。
BMWも1シリーズを投入。
当時のAクラスが価格を抑えるために明らかなコストダウンをしてきたモデルであったのに対し、1シリーズは3シリーズをそのままコンパクトカーの形にしたようなモデルで、それこそ昔のベンツ190Eのような車である。
Aクラスが明らかな品質のダウンによってコストダウンを図ったのに対し、1シリーズは3シリーズと機構を可能な限り共用することでコストダウンを図った。
そもそもE87の1シリーズはE90の3シリーズと並行して開発を進められ、3シリーズよりも1年早くデビューを果たし、そのデータを収集するためのプロト3シリーズとしての役割を負っており、そのデータが3シリーズにフィードバックされたと開発陣は語っている。
また、大きくなった3シリーズに対して小さな車を望む客層の受け皿としての役割もあり、3シリーズと同様の車づくりをしているため、車としての質感は低くはない。
特に走りを見れば、3シリーズがセダンとしての穏やかさを前面に出しているのに対し、1シリーズはスポーツに振った味付けが成されている。
また、設計段階から直6エンジンを搭載することが盛り込まれていたため、そのパワーに対応したボディ剛性、シャシー性能が与えられている。
日本のコンパクトカーではまず味わえない領域である。
1シリーズはこの後2代目、3代目とモデルチェンジをしていくが、その度にプレミアムでラグジュアリーな方向に向かって行った。
スポーツという視点から見れば、初代のE87がもっともスポーティと言えよう。
走りのコンパクトなBMWが欲しいのならばE87に決まりですぞ。