20:00
帰りのステージが始まった。のっけからあまり気が進まないが、今回唯一のナイトランで白馬を後にする。ここで距離を稼がないと、日曜日中に自宅にたどり着けない。目標行けるところまで。上田あたりにまでたどりつけるといいのだが。
気温は5度。走り始めて、まずい、と思った。フロントガラスが結露して、前が見えないのである。
早速トラブル発生
熱風のデフロスターがないのはコムスの欠点で、おいおい追加したいと考えていたが、こちらも、見切り発車となっていた。幌を全開にして、走行風を当てれば、少しはマシになるだろうが、拭いても拭いても、なかなか曇りはとれない。山の夜特有で湿度が100%近いのであろう。
いったん停止して、一計を案じた。あれをやってみるか。実は、曇り止めに関して、試したいことがあったが、実際やってみたことはなかった。それをここで試してみようというわけだ。
カセットボンベとバーナーを取り出し、お湯を沸かす。お湯が沸いたら、それをコムスのウインドウオッシャー液のリザーバータンクに注ぎ込む。ただそれだけである。(注意:温度50度くらいにしておかないと、タンクが溶けたり、ガラスが割れたりする恐れがあるそうです)
コムスお湯ウオッシャー
結露はフロントガラスを暖めれば改善する。フロントガラスを暖めるのは、温風でも、お湯でもいいはずだ。リザーバータンクにお湯が入れば、あとはワイパースイッチを入れるだけですむ。「コウスお湯ウオッシャー」の完成である。噴射して試してみると、うーむ、少しは曇りが取れていく。ウオッシャー液をぴゅーぴゅーかけならが、慎重に走る。これでOKだ。これから長野市に向けて、高度を下げていくわけで、高度が下がれば、気温が上がり、湿度はさがる。湿度がさがれば曇りも晴れる。なんとかなるだろう。とにかく走って高度を下げよう。
発電機、おまえもか
美麻トンネルへ続く上りにさしかかり、発電機を始動する。しかし、ここでまた。問題発生。リコイルをいくら引いても、発電機がかからない。10回くらい引いてもだめ。燃料は問題ない。急に不安に襲われる。「もしかしてこんなところで動けなくなる?」「いまからでも会場に戻ったほうがよくないか?」
呆然としていると、あれれ、発電機の運転スイッチが「停止」になっているのに気がついた。やはり人間余裕をなくすと何かポカをする。真っ暗の夜は特に危険である。懐中電灯を持ちながら、スイッチを「運転」にして、リコイルを引くと、一発で発電機は動き出した。危なかった、あのままリコイルを引き続けていたら、プラグがかぶって、始動できなくなっていたかもしれない。(この後は、「燃料キャップ」「オン」、「チョーク」「オン」、「運転スイッチ」「運転」、「エコスイッチ」「オフ」、「コンセント」「接続」、「マスタースイッチ」「オフ」、「ブレーカー」「オフ」と大声でやるようにした。まるで気分はA320のパイロットである)
つけて良かった、ハイビーム
しかし、このあたりの夜の道は暗い。ここは自作のハイビームライトが役に立った。ほとんど対向車も来ないので、つけっぱなしにして走る走る。しかし、21時を過ぎたころから、段々眠気が襲ってきた。急に気持ちもなえて来て、「やっぱり夜は無理はしないほうがよい。今朝出てきた快活クラブでもう一泊しよう」と目標を急に快活クラブ長野南バイパス店に変更し、ナビに向かって話しかける。「ねえヤフー、あと何キロ?」「目的地までの距離はあと8Kmです」。よしよし、このまま走ればもうすぐ暖かいねぐらにたどり着ける、はず、であった。し・か・し、ここでまた予期せぬ大問題が発生する。犬戻トンネルの直前でまさかの通行止め。21時から6時まで9時間も、夜間工事で、クルマは全く通れないという。そんな話は聞いてないぞ。目の前がまっくら。
21:30 まさかの通行止め?なら、強行突破だ!
「たった30分遅いだけじゃないですか。なんとかなりませんか」「この車小さいので、路肩だけで通れますからなんとか」「急いでいるんです」いろいろ交渉しても、答は一切「ダメです。通れません」
それなら強行突破しようかと思ったが、敵はヘビー級のダンプやブルドーザー、とてもかなう相手ではない。
さすがに、気の毒に思ったのか、「少し戻って、信号を左に曲がると、山道がありますから、そこを通れば篠ノ井までは出られます」と教えてくれた。しかし、山道と聞いて完全に戦意を喪失。どれくらい上らなくてはならないのかわからないし、もう時間も遅い、だんだん眠くもなってきた、たとえ篠ノ井まで行ってから快活クラブまで向かうにしても、そこは完全逆ルートで、帰宅方向からは遠ざかることになる。
苦肉の策の、車外泊
いまから夜知らない山道をうろうろするよりも、明日は日曜日、この最短ルートを早朝6時から気持ちよく走り出せたほうが良い。そう判断して、ここで野営を決意した。幸いにも、テント一式積んでいる。いまから設営すれば6時間以上は軽く寝られるだろう。
車両通行止め中なので、クルマが通らなくて、静かなのも好都合だ。そうと決まったら、すこし路肩が広くなった平らな場所に移動し、テントを引っ張り出す。もう早く寝たいし、朝は夜明けから出発したい。テントをちゃんと組み立てると、設置も撤収も時間がかかる。横着して、コムスの左面にロープとガムテープでテントをそのまま吊り下げる。できた。
睡眠を最優先、発電機は早朝回すことにして、そそくさとテントに潜り込む。一人がやっと横になれるスペースだが、なにより良いのは、これなら車道から見ても、クルマが止まっているようにしか見えず、人が寝ているとは気づかれまい。コムス車外泊の誕生だ。
ところで、コムスの車中泊については、いろいろ考えてみたが、リアボックスとシートをはずしてシェルを架装しない限り無理だろうと考えていた。それよりは、発電トレーラーの次に一人用のキャンピングトレーラー、でもつくろうか、とひそかに妄想を膨らましたりしていた。
しかし、その必要はなくなった。後日近所で「コムス車外泊」を実践してみたが、持ち物も少なく(つまり軽く済む)、設置、撤収が簡単で(つまり逃げ足が速い)、そしてなにより、普通自動車一台分の駐車スペースさえあれば全て収まってしまう手軽さがいい(コムスの横幅はたったの1.1m)。道の駅での仮眠も可能(かもしれない)。コムスの幌を外し、テントの入り口側と結合すれば、広大な二部屋スペースが出現するだろう(どこから出入りするというと、反対側の幌から入ればいい)。
心配しているKさんからメールが入る。「野宿ですか。寒いですから、十分暖かくして寝てください」。とんでもなくいいかげんな今夜の宿だが、思いのほか快適だった。しかし、この思わぬアクシデントにより、日曜日中に家に着くのは絶望的に。まあいい、明日は明日の風が吹くだろう。
第3ステージ後半リザルト
| 走行距離 | 33.8Km |
| 時間 | 1時間30分 |
| 走行時間 | 1時間00分 |
| 停車時間 | 0時間30分 |
| 充電時間(停車中) | 0時間00分 |
| 給油量 | 0L |
| 到着後充電量(フル充電まで) | 1.0KWh(2時間、但し10/24早朝) |