第4ステージ
日付 | 2021年10月24日(日) |
スタート | 犬戻トンネル |
ゴール | とにかく峠を越えること |
距離 | ? |
高低差(累積) | ? |
特徴 | オリンピック道路から18号を上田までは、ほぼ下り。その先は、最大の難所の峠越え。 |
ゴール目標 | 日没まで |
攻略法 | なし |
本日が文字通り最後の山場。長い長い一日になりそうだ。
03:30 マイナストライバーとモンキーレンチ
一番鳥の鳴き声で目が覚める。なんの鳥かは分からないが、とにかく鳥の声であることは確かだ。しかし、その後、「グゴゴワグワグワー」ちょっと文字で表現できない鳴き声がして飛び起きた。何かの動物のうなり声であることは間違いないが、いままで一度も聞いたことのない声であることは確かだ。なんだなんだ?野犬だと面倒だが、いや絶対犬ではない。(後日Kさんより、熊じゃなかったの?というコメントを頂いた。しかし、真実はわからない)
とっさに道具箱から、マイナスドライバーとモンキーレンチを取り出し手元に置いた。別に戦いたくはないが、いざとなったら自衛しなくてはなるまい。とにかく長野新聞のヘッドラインに載ることだけは避けたい。発電機の音で敵が逃げるかもしれない、と思い、あわてて発電機を回す。こんな人里近い場所で人間が襲われた、というニュースは聞いたことがなく、それほど心配は要らない、とは思ったが、明るくなるまではまんじりともできなかった。幸いにその鳴き声は1回きりで、それ以降2度と聞こえることはなかった。
05:30 一番トラック
一番列車ならぬ、一番トラックが目の前をブーンと通行止めがけて走り去った。あれ、30分早いがもう通れるのかな?プロドライバーがポカするはずないので、早めに開通するのかもしれない。そそくさと出かける準備を始めると、続いて2番トラックが同じように走って行った。しかし、長野側からくるはずのクルマが全くやってこない。どうなってるの?トラックも戻って来ないし、まさか全員ブラックホールに吸い込まれているのかも。
06:15 出発
開通時間の06:00を過ぎ、しばらく様子を眺めていると、来ました、来ました、やって来た。対向車線のクルマの行列が。総勢100台以上いただろうか、とにかく長い長い車列が連なって、白馬方面に走り去っていった。あ、6時前から皆並んでて、今やっと開通したということか。納得。
状況が飲み込めたので、さっそくコムスで走り出す。案の定、日曜の早朝、道路はかなりすいている。すぐに18号に到達する。天気は快晴で、順調に距離を伸ばす。山がきれいだ。右手に千曲川が見えてくる。川中島ってこのへんだろうか。合戦の跡見たかったな~。次第におなかが空いてきたので、開いてたデニーズにすべり込む。よし、ここで朝食だ。
08:00~11:00 開いててよかった、デニーズ
まずは、家族にメールする。内容は「無事であること。いろいろとあって、どこかでもう一泊するかもしれないこと」。返事は意外なものだった。「あれ、いま上田のデニーズにいるの?朝食中?今日帰れないんじゃない?」いやはや、全てお見通しである。
実は、今回旅に出るにあたって、家族からひとつだけ出された条件があった。それは、GPSをオンにして、いつでも移動している様子がわかるようにすること、という条件である。アプリの設定をしたのは自分だが、これで行動を逐次監視、いや、いつも見守られること、となった。家族はこのアプリを使用して、メールする前から、自分の状況を正確に掴んでいたのである。おそるべしハイテクの世界。
ちょっと脱線、駐車法
コムスの全長は、トレーラーを加えても3.8m。ヤリスより少し短い(!)ので、一台分の駐車場に難なく収まる。しかし、駐車場でバックするのは、ちょっと大変、というより、不可能だ。
では、どうやって入れるのかというと、方法は2つある。
①まっすぐ後退法
止めたい駐車場(この図では8番)の前方に、トレーラーを後ろ向きにしてコムスを止める(この図では4)。
コムスから降りる(赤が人)。
トレーラーの角度を微調節する。
右手でハンドルを持ち、左手でコムスを後ろ方向に押す。
これを繰り返す。
いや、笑ってはいけない。やってみるとわかるが、コムスは軽く手で動く。
②トレーラー分割法
どこでもいいので、止めたい場所以外にコムスを止める。
コムスから降りる
トレーラーを分割する
トレーラーを押し、止めたい場所に移動する。
コムスをバックさせ、トレーラーの直前で止める。
トレーラーを結合する。
どちらも、決め手は、手である。ちなみにこのデニーズでは、②の方法でバック駐車を行った。
さて、朝食で英気を養った後は、そろそろ先送りしていた「帰れないかも宣言」問題に決着をつけなくてならない。
闘いの準備
フリードリンクを何杯もおかわりしながら、この後のルートを検討した。
18号をこのまま走って碓氷峠か、254号に迂回して内山峠か、どちらかでも県境を越えないと、家には帰れない。このほか、18号新道というかバイパスもあるが、大型車が多い。嬬恋村から草津温泉(温泉、入りたいなあ)を通り、渋川に抜けるルートもあるが、こちらもかなりの山道だ。
標高は、碓氷峠は956m、中山峠は1066m、ほとんど違いはない。上りの傾斜は18号の方がきつい。254号の方が若干ゆるやかだが、ただ最後の最後で急坂となる。
考えること5秒…えい、254号ルートで行ってみて、上れなかったら引き返そう。ということで、最終的に254号ルートに決定。
上田で3L給油し、18号に別れを告げ、小諸に向かってハンドルを切る。中込まで直進し、左折するとそこは254号だ。
(11:45-13:30 来たとき寄った西原交差点わきのブックオフで充電休憩)
14:00 中込通過
254号の道路は割と広く、交通量も少ないので思いのほか走りやすかった。普通車、バイク、トラック、後続車がバックミラーに出現すると、ハザードを出して、全員先に行ってもらった。
Google Mapで見つけた長野県の最後のガソリンスタンドで給油しようと思ったが、行き過ぎたのか見つからない。はじめての給油ミス。ガス欠の恐れはあるが、しようがない。そのままつき進む。
頑張れ、コムス!
ゆっくりとだが、じりじりと標高を上げていく。次第に気温が下がって寒さを感じてきた。もう少しだ。
そして、目の前に出現した滑走路のような長い直線。ここから傾斜はさらに激しさを増す。登坂車線に入り、最後の力を振り絞るコムス。しかし、保護回路が落ちるので、思いっきりアクセルが踏めない。しだいに速度が落ちてくる。がんばれコムス!負けるなコムス!!我々の勝利は目前だ!!!
とうとう時速10Kmまで速度は落ちた。亀のようにのろのろ進む。碓氷峠の1/2のスピードだ。速度計も気になるが、それ以上に目の前のアナログメーターに視線が釘付けになる。モーターの電流は20Aを前後している。発電機はきっちり16Aとなるようにアクセルを微調整する。バッテリーはほとんど空なので電圧は下限のぎりぎりだ。つまりほとんど発電機の力のみで登っていった。しかも、燃料が残り少ない。給油をミスっているので、これでガス欠したら、全く動けなくなる。絶対絶命の大ピンチ。コムスが止まったら、携行缶をかかえて何キロ先にあるかわからないガソリンスタンドまで歩かなければならないのだろうか。いやそれより、夜になったらどうしよう。頭の中を2度目の野宿の文字がよぎる。
14:50 ついに本当の「勝利宣言」
最悪の事態を頭から追い出しながらとにかく走り続けると、永遠に続くと思った上り坂もついに終わり、峠の頂上へ。やった。これで家に帰れるぞ。えらいぞ、コムス、よくやった。コムスを道路のわきに止め、しばしの感慨にふける。振り返ると、コムスのはるか後方で、誰もいない上り坂が、「負けました」とつぶやいたような気がした。
15:15 また来ます、長野県
県境の内山トンネルを抜けると、長野県に別れを告げ、群馬県に入る。白馬と長野にさようなら。いいところでした(峠以外は)。また来ます。
そこからは、ずっと長い下りがはじまる。ほとんど空になったバッテリーを回復するため、回生電力最優先で、スピードをあまり上げないように走る。しかし、やっと下りになったのに、今度は時折バックミラーに写る長距離トラックが気になってしかたがない。
皆さん、法定速度+20Kmくらいで快調に下っていくので、コムスをちょっと左に寄せて先に行ってもらうのだけれど、しかし、「あのトラック、何キロでてるだろう」「あのトラック、何トン積んでるだろう」「あのトラック、まさか居眠りしてないよね」。とにかく別な心配が頭を支配して、気が休まる暇がない。「どうか追突されませんように」と祈りながら慎重に下る。結構スピードは出ていたが、トレーラーは安定してついてきてくれた。
15:45 やったー、温泉だー
途中で、荒船の湯、を発見。やった温泉だ。勝利を祝うと共に疲れた体を休ませるのにちょうどいい。寄っていこう。かくしてこの旅初めての温泉へ。
のんびりとお湯につかり、やっとリラックスできた後で、今後のことに頭をめぐらせる。調べてみると、ここから24Kmのところに快活クラブがある。なんとラッキー。よし、今夜はそこに泊まろう。もう到着は一日遅れの月曜日だ。
17:35
温泉を出ると、もう薄暗くなっていた。254号をひたすら下り、最初のガソリンスタンドで、給油3L。ふう、これでガス欠の心配も解消した。実は下りはずっと発電機オフだった。その後、快活クラブ富岡店に無事到着。チェックインして個室に入ると、やっと余裕が出てきて、ひたすら月曜日の言い訳メールを送信する。「ちょっと都合が悪くなって…すみません」(コムスで長野まで行き、遊ばれているうちに帰れなくなった、なんて、死んでも言えない)。とばっちりを受けた方、申し訳ない。
24:52
またポカをして、フル充電になったのが、深夜を過ぎてしまった。発電機を止める。明日こそ我が家に着けるだろう。長い長い闘いの一日が終わった。
第4ステージリザルト
走行距離 | 115.6Km |
時間 | 12時間30分 |
走行時間 | 6時間00分 |
停車時間 | 6時間30分 |
充電時間(停車中) | 6時間00分 |
給油量 | 3+3L |
到着後充電量(フル充電まで) | およそ3時間(データ不足) |