第2ステージ
日付 | 2021年10月22日(金) |
スタート | 高崎 |
ゴール | 青木湖キャンプ場 |
距離 | 155Km |
高低差(累積) | 2632m |
特徴 | とうとう難所の碓氷峠を越える。軽井沢を越え、長野市から青木湖まではゆるい上り |
ゴール目標 | 日没まで |
攻略法 | 早朝に出発し、横川まではひたすら進む。横川駅で休憩。山上りに備えて、ほぼフル充電まで充電する。時間があるなら、釜飯で有名なおぎのやに寄ったり、鉄道文化むらに寄ってみるか。そこから一気に頂上アタック。途中のめがね橋で休憩。184個あるカーブに番号が書いてあるはずなのでそれを数えながらゆっくりゆっくり上るべし。途中の発電機のオーバーロードや充電器のオーバーヒートに注意。「16A(アンペア)まできっちり流せ。C=121のカーブの出口には注意しろ」。(あれ、それって上りでなく下りの話では…)
軽井沢の先は、中軽井沢を過ぎ、18号をひたすら走って、上田を通過、長野市内に入ったら、左折してオリンピック道路に入れれば、あとはまっすぐ青木湖までいける(はず)。 |
03:00
長い一日がはじまった。早起きしたのには訳がある。どうも長野の天気が下り坂らしい。予報は雨である。今回、見切り発車したものも多かったが、その中のひとつにトレーラーのフェンダー(泥除け)がある。そう、まだフェンダーを付けていないのだ。試走で一度雨の中は走ったが、見事に泥の二本のラインがリアボックスに引かれてしまった。今回もしやと思って、フェンダーの材料は積んである。これをなんとか完成させて装着しないといけない。
徹底した軽量化のため、フェンダーの材料はベニア板とプラダンである。はさみでちょきちょき切り、ガムテープでぺたぺた貼る。幼稚園児の工作並の精度だが、旅の終わりまではもつだろう。なんとか夜明けまでには間に合った。
06:00
夜明けを待って出発する。道はすいており、横川目指してすいすい走る。発電機は快調に回っている。
07:15~8:45
横川まであと4Kmのところで、眺めがよいセブンイレブンを発見。吸い込まれるように駐車場へ。1回目の休憩。妙義山を間近に見ると迫力満点である。それにしてもなんであんな格好しているんだろう。
駐車場の脇を信越本線が走る。高崎から横川へ向かう列車だ。残念ながら横川から先は廃線となってしまったが、いまや鉄道マニアの聖地であるらしい。幸運なことにかつて自分はこの線路に乗って軽井沢まで往復したことがある。トンネルばっかりだったような記憶があるが、あのときは貴重な経験をしていたのだった。(FE63の写真を撮っておけばよかった)1時間半充電して、充電が、橙LEDに切り替わるのを待って、出発。
09:00~09:10
横川駅に到着。2回目の休憩。駅前のおぎのやに行って見たが、店舗もおぎのや博物館もまだ開いていない。それならと横川鉄道文化むらに行くと、かろうじて9時に開いたばかりで入れそうだったが、先を急ぐので外から眺めるだけにする。そうだ、それより、峠越えだ。
横川駅を出て、18号の旧道への分岐を間違えないように、そろそろ進む。旧道に入ると、しだいに上りの傾斜となり、右へ左へのカーブがはじまる。ここまでくると、自分のペースで走れるので、ゆっくりと慎重に上っていく。スピードは時速20Kmくらい。モーターの消費電力30A,発電機16Aを保って上る。
9:40~10:20
めがね橋到着。ここで3回目の休憩。旧道はカーブばかりだが、道幅は広く傾斜はゆるやかで、トレーラーを引いたコムスでも、走りやすい。時折、後ろから速い車やバイクがやってくるが、ハザードを出して左に寄せると、すいすいと抜いていく。バイクのライダーは、ピースサインを送ってくる。皆それぞれのスピードで旧道ドライブを楽しんでいる。自分も記念撮影。
ついでなので、めがね橋に登って散策してみる。この橋は全部レンガで作られているが、さらにトンネルもレンガでつくられていた。いったいいくつレンガを積み重ねたのだろう。気の遠くなる作業だったに違いない。
C=121のカーブも自転車のようなスピードで難なくクリア(あたりまえ)、頂上までもう少しといったところで、突然発電機が停止してしまった。めがね橋から40分は走り続けたので、オーバーヒートだったのかもしれない。残りはバッテリーだけで上れそうだったので、発電機が止まったまま、頂上まで走る。
11:05~12:40
184個のカーブをクリアし、とうとう碓氷峠頂上に到着。長野県へ。やった、やった。上った、上った。道路わきのチェーン脱着所にコムスを止める。さすがに、標高を上げたせいか、寒さを感じる。たくさん着こんで、4回目の休憩。ついでなので、ここで昼食にする。このときは、12時前に碓氷峠に到達したということで、もう後は怖いものはないだろう、ガッツポーズの「勝利宣言」状態だった。1時間35分充電して、橙LED点灯までまでのんびりとすごし、出発。休憩した発電機も順調に始動した。
13:30
中軽井沢で1回目の給油。3L。中軽井沢までは順調だったが、その後、勝利宣言をくつがえす大事件が発生した。18号を追分を越えて走りつづけると、下り坂となった。それもかなりの下りである。ところどころにオーバースピード警告看板が出現する。
「え?ええ??えええ???なにこの下り!!!」。
本来コムスの下りはとっても楽しいのだが、このときは頭がパニックになりかけていて、楽しむなんてものではなかった。
「もしかして、帰りはこれを上るの?」「こんなに交通量が多くて、それなりのペースで流れているのに??」「帰れないかもしれない…」
峠は上りがあれば下りがあることを忘れていた、というより、長野に入ればそこは平らだ、という完全に間違った認識をしていた。実は、自分は今まで、中軽井沢より長野側は行ったことがない。なので、全くノーマークというか、全くもって長野をナメていた。
下りきらないうちに引き返そうか、と思っても、クルマは急に止まれない。それよりも恐怖だったのは、なかなか終わらないこの下りが、永遠に続くように思われたことだ。コムスは決して坂が上れないわけではないが、50Km制限の国道で、5%以上の坂を、普通自動車と同じようなペースで、上るのは不可能である。ましてや、今回はトレーラーを引いている。
14:00~14:55
流れに逆らわず、18号をひたすら下っていくと、やっと下り坂がゆるやかになり、平地のようなところに出た。ちょうど見つけたブックオフの駐車場にコムスを入れ、まずは充電。そして、混乱した頭をなんとか落ち着かせようと努力した。5回目の休憩。
しかし、悪いことは重なるもので、このころ、二つ目の大問題が発生していた。
(スマホに向かって)
「アレクサ、白馬の天気は?」
(一時間後)
「アレクサ、白馬の天気は?」
(さらに一時間後、祈るような気持ちで)
「アレクサー、おねがいー、白馬の天気はーーー?」
一時間おきに白馬の天気予報が変わるはずも無く、アレクサの返事は非情にも、今夜の天気は[雨、雨、雨]、そして明日(イベントの当日だ)の天気は[雪、雪、雪]である。
18号下り坂事件でショックを受けた身に、さらに難題がおそいかかった。
これから青木湖キャンプ場にたどり着いたとして、もう暗くなっているはず。そして雨の中でテント設営しなければならない?さらに翌朝は雪の中で撤収するということ??そしてさらに雪道を走って会場入り???どんどん気持ちが落ち込んでくる。キャンプが目的ならそれでもいいが、今回はその先に、行かねばならぬ場所がある。
回らない頭で必死に考える。思いあぐねて手前の長野市内の天気予報を聞いてみると、今夜「曇り」で明日は「少雨」。「なんで同じ長野県なのにこんなに天気が違うんだろう?」と思いながら、「そうだ!今日は、手前の長野市内に泊まろう。そして明日の朝行けそうなら、そろそろと走って会場入りすればよい。たとえ雪が降っても昼間のほうが気温が高いし他車も通るので、行けないことはないだろう、そもそも通行止めになるような雪なら、他の参加者のEV車も到着できるはずがない」
青木湖のボート遊びは残念だったが、急きょ行先を変更。青木湖キャンプ場にはキャンセルの電話を入れ(キャンセル料はお支払いしますと言ったが、大丈夫必要ありません。と言っていただきました。ありがとうございます)、アプリで見つけた快活CLUB長野南バイパス店へ向けてハンドルを切った。
16:40
途中、強力な助っ人、Kさんから連絡が入る。「仕事が終わったので、これからそちらに行きます」とのこと。ありがたい。Kさんは、某社のエンジニアで、いろいろ相談に乗ってくれて、今回心配して長野まで来てくれる、という。本当にありがたい。宿泊場所の変更を伝えて、一足先に快活倶楽部にチェックイン。走行距離は予定より減ったが121.9Km。Kさんを待っている間に、ガソリンスタンドへ行って2回目の給油。携行缶慣れていないので、ということで2.6Lしか入れてもらえなかった。そして、発電機を回してフル充電までひたすら待つ。充電時間は長めの4時間50分だった。
23:00
Kさん到着。高速をかなり飛ばして来たらしく、あっという間の到着である。ここまでの顛末を話すと、大笑いされた。とにかく、今日はもう休みましょうと話し合って、早めに個室に引き上げる。
23:30
とはいっても、帰りが心配でなかなか眠つかれない。ネットカフェの大画面PCで、地図をひろげてにらめっこ。Kさんは帰りは18号ルートでなく254号ルートを通ったらどうか、と言う。碓氷峠でなく内山峠を越えるわけだ。
確かに、上りの傾斜は似たようなものだが、内山峠の方が道は広くゆったりしている。がしかし問題は、頂上を越える直前に出現する急な長い坂。果たしてコムスでトレーラー引いて上れるのか?
ストリートビューで調べてみると、坂はきつそうだが、直線で登坂車線がずっと続いている。確かにここをゆっくり上れば無事に帰れるかもしれない。そんなことを考えながら眠りについた。長い一日が終わった。
第2ステージは、峠越えがあったので、第1ステージより休憩&充電時間の割合が多かった。基本的に早め早めの休憩。そして充電も橙LEDが点灯するまで十分行った。そのためか、休憩のリズムは取りやすく、時間の長さはあまり気にならなかった。精神的にはともかく、肉体的にはあまり疲れを感じない一日であった。しかし、第2ステージは完走できず、「勝利宣言」の後の「帰れないかも宣言」が、身にこたえた一日だった。
第2ステージリザルト
走行距離 | 121.9Km |
時間 | 10時間40分 |
走行時間 | 6時間20分 |
停車時間 | 4時間20分 |
充電時間(停車中) | 4時間00分 |
給油量 | 3+2.6L |
到着後充電量(フル充電まで) | 4.05KWh(4時間50分) |