
コムス病
「コムス病」という病があるらしい。コムスに乗ると、たとえ他のクルマを持っていても、いつでも、どこに行くにも、コムスで出かけるようになってしまう。夏の冷房もなく、冬の暖房もない。ドアもジッパーで開け閉めする幌のみで、隙間風さえ入る。パワステもマスターバックもない。自動ブレーキなんてとんでもない。最高時速は60Km。高速は走れないし、みかけのせいか、無理な割り込みをかけられることもある。
しかし、【楽しい】のだ。これは実際に運転しないとわからない。この余計なデバイスが全く付いていない小さいクルマを、五感をフルに使って走る。4つのタイヤは手が届きそうな距離にあり、路面をがっちり掴んでいる。さらに言えば、ランクル譲りのラダーフレームに、ポルシェ911と同じリアエンジン(モーター)、リアドライブ=RRだ。コムスは、ハマる人にはとことんハマる。そして、離れられなくなる。不治の病、コムス病の発病である。もちろん自分の場合も、コムス病にかかるまで時間はかからなかった。
50Kmの壁
コムス乗りが誰でもぶち当たる壁が50Kmの壁である。コムスは、どんなに頑張っても50Km+α(気温で多少伸びる)しか走れない。帰りを考えたら、25Km以遠への場所には出かけられない。荷物のデリバリー、近距離のお使いマシンとして開発されたコムスは、旧世代の鉛バッテリーを積んでいることもあり、短距離走専門である。航続距離を伸ばそうとすると、どうしても発電機の追加を考える必要がある。
発電機
発電機は市販品があるので選択肢は多いが、停止して充電するだけなら消費電力900Wなので、最小クラスの900Wでも済む。重さは約15Kg(燃料込み)だ。
しかし、ぎりぎりで余裕がないのと、もっと大きい問題は、これでは停止して充電するにしても満充電まで最大6時間かかることだ。もちろん、必ずしも満充電にする必要はないので、実際にはそれよりは短くなるが、片道50Kmで往復100Kmの旅を考えると、2時間で走りきった後は、停止して4時間充電して、また2時間走って帰ってくるような計算だ。2+4+2で計8時間もかかってしまう。なので、もっと大きな発電機が必要だが、大きすぎると持ち運びが大変だし、発電量と重さのバランスをとる必要がある。
レンジエクステンダー
世にレンジエクステンダーという解決法があり(BMWのi3など)、これを真似しよう、と思いつくのにそうは時間はかからない。しかし、コムスの場合リアボックスに発電機を載せると、もうそれ以上荷物は積めなくなるし、何より熱の問題が心配だ。ガソリンの携行缶にでも引火したらえらいことになる。そこで、トレーラー。トレーラーに発電機を乗せて引けばいい、とここまでは誰でも思いつく話、だが…
トレーラー
小さなコムスで引くことを考えると、なるべく小さいトレーラーがいい。発電機専用とするなら、30Kgの荷物が載れば十分だ。坂を登ることと、ブレーキを省略したいことも考えて、自重は軽ければ軽いほどいい。
この条件で市販品のトレーラーを探すと、ひとつはバイクで引くリヤカーのジャンルから、もうひとつは車で引く軽トレーラのジャンルから探すことになる。しかし、結論からいくとどちらもNGだった。
リヤカーは、自重、積載量、はいいのだが、サスペンションがない。後からいろいろやってわかったが、サスペンションがない場合、20Km以上出すと荷台がはねてしまって使い物にならない。
軽トレーラーは、「英国製ミニトレーラー」自重45Kg,積載量250Kgで19万円というのがあったが、これでも重すぎるし予算オーバーだ。サスペンションがルーフスプリングなのも、発電機が止まらないだけの振動吸収してくれるか心配。結局無いものは自分でつくるしかない。
構想一瞬、製作2年
実は、途中熱中したり、飽きたり、の繰り返しで、トレーラーをつくるのに2年かかった。ミニトレーラーより小さなマイクロトレーラーは、あまり製作例がなく、作っては壊し、走っては壊れ、の繰り返しで、納得がいくものが出来るまで時間がかかってしまった。現在のは三台目。部品はほとんどホームセンターで調達できるものとし、走行中壊れても、ホームセンターに駆け込めば修理ができるようにと考えた。三台目は少し大きくして、天板にソーラーパネルを載せられるようにした。
Posted at 2021/11/06 22:28:08 | |
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