2022/2/1に「シャープTVのソフトウェアアップデート後、テレビが映らないトラブル」(
https://jp.sharp/support/aquos/info/android10_update2.html) が発生しました。
ソフトウェアのアップデートが何らかの理由で正しく行われなかったため、システムが再起動を繰り返してしまいTVが使えなくなる、というトラブルです。
これを修復するには自力で以前のバージョンに戻す作業(多少コンピューターの知識が必要)を行うか、出張修理を依頼するしかありません。メーカー、ユーザー双方にとって多大な損害が発生します。
このニュースを聞いて自動車のソフトウェア・アップデートに思いを馳せました。
上記の不具合では多数の人がTVを長期間視聴できないという不便が生じますが、同様のトラブルがもし自動車で発生したら、より大きな問題 (運航できないための損害賠償など) が発生する可能性もあります。
このようなリスクがあるためでしょうか、ボルボでも地図更新はユーザーでもできるものの、システムソフトウェアに関しては(日本の)2021年モデルまでは「車載ソフトウェアは、ご使用のボルボ車をボルボ指定のサービス工場やボルボ・ディーラーで点検・整備する際に最新版にアップデートすることができます。」となっていました。もちろんスマホのように自分で更新できれば便利だなとは思っていましたが、アップデート作業を失敗して車が使えなくなったら代償が大きいため、安全なアップデート・ファイルが入手できて、トラブル発生時にも修復できる手順とツールを備えているサービス工場やディーラーでのみ実施という制限は受け入れざるを得ないと思っていました。
ところが、2022年モデルでは「車両のソフトウェアは、オンラインで、またはボルボ・ディーラーでのサービス時に、最新バージョンに更新することができます。」と変更されました。システムソフトウェアが新しいもの(従来のSENSUSからAndroidをベースとしたOS?)になって、ユーザーでも安全に適用できるように改善されたものと思われます。
システムソフトウェアを更新することにより、不具合の修正、コントロールの最適化、パフォーマンスの向上、新機能の追加や機能向上を、部品交換することなしに無料で実現することができるので、この変更は歓迎するものではありますが、一方で、オンラインで車のシステム更新ができるようになると、現在のPCやスマホと同じようにハッキングやコンピュータウィルス感染の危険性も増すことに不安も覚えます。
シャープのような問題が車では起きないように、何重にも安全策を取ってもらいたいと思います。
[技術的なバックグラウンド] 以前コンピューターの会社で技術員としてコンピューターのH/Wメンテナンスに携わっていました。不具合を修正するために H/W側のファームウェアやマイクロコード、並びにS/W側のデバイスドライバーを最新版にするのは問題解決のために最初に行うべき事でした。なお、それらの更新作業が失敗することが無いように、プログラムのデバッグ、あらゆる状況を想定した適用テスト、H/Wの二重化など何重にも安全策が取られていました。
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Posted at
2022/02/09 00:57:20