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2022年04月24日 イイね!

ありがとう、エリーゼ −⑥エリーゼの査定編—

ありがとう、エリーゼ −⑥エリーゼの査定編—「これが最後の洗車かな…」

寂しさをこらえつつ、今までの感謝の気持ちを込めてボディはもちろん、車内の隅々まで丁寧に洗車をした。
普段乗り込む時には、なるべく靴をドアに当てないように注意して乗り込んでいた。それに加えて、他のユーザーさんならカーボン調シートやアルカンターラを張るカスタムをしているサイドシルには保護用のフィルムを自分で張り付けたので、サイドシルカバーのパーツには傷がほとんどない。ドアには新車時の保護フィルムが付いたままだ。そして仕上げにキーパーラボで汚れ落とし(と査定アップの下心もw)も兼ねて、ホワイトキーパーを施行。しかし、その際リアボンネットの塗装面にクリア層の剥がれを発見…。作業した方曰く、「ボンネットの熱などで塗装にダメージがだんだん及んだのではないか」とのこと。しかし、オーナーである自分にはもう一つ原因が思い当たった。それはボディカバーをかけていると、エリーゼのデザイン上の特性としてボンネットあたりに雨水が溜まりやすいのである。砂埃が含まれた雨水が太陽に照らされ、汚れとして付着する。また、ボロボロになったカバーのために、さらに雨水が通りやすくなっていたことも、拍車をかけたと思う。これはますます早く手放さなくてはならないと感じさせられた。

準備を整え、いよいよ査定へ。
まずは家から一番近い距離にある英国車専門店へ。事前に電話した際には今一つ買い取りに積極的な感じは受けなかったが、訪れると丁寧に話をしてもらえた。査定もさすが専門店という感じでポイントを押さえた査定だった。そこでは中古車相場自体が上がっていることに加えて、2021年でエリーゼが生産中止になったことでエリーゼの相場全体が上がり、それにつられて1ZZのマイエリーゼも上がっている、と知った。そのような中ではあるが、店としても在庫を抱えてリスクを負うよりも販売しやすい「委託販売」を勧められた。こちらの提示した額の10%を委託手数料として店側がもらい、客はこちらの提示金額に整備費用を上乗せした額を支払って購入する、という内容だったと記憶している。「今なら強気で、400〜500万円の間でいっても売れると思いますよ」と言われた。新車で購入した額を知っている自分からしたら「本当か?」と疑いたくなるような額だが、実際に中古相場では自分のエリーゼよりも、もっと年式も走行距離も悪い車両がさらに高い額で売られているので、そういうものかと思い、まず1つの基準となった。

2店目は以前から名前は知っていて、一度くらい店の前を訪れた程度の店だ。事前に査定したい旨の電話をしたところ、折り返し電話をもらった営業の方は「ぜひともうちで買い取らせてもらいたい」と熱意を感じる対応に好感を抱いた。実際に店舗を訪れた際も営業トークもあると思うが「ボディ、色が濃くてきれいですね〜」と開口一番。以前、他店で指摘されたリアフェンダー周辺に縦に走っている塗装の盛り上がりが「事故車扱い」と言われたものを「これはエリーゼにはたまにある、塗装の縮み(だったような?)です」と、数多く扱っているからこその知識も豊富で、ラジエターのファンの回転音の微妙な異常にも注意を払っていた。何より「オーナーさんが大切に乗ってこられたクルマを次のオーナーさんに引き継いで、1台でも多くエリーゼを長く乗られ続けるようにしたい」という考えや「車を仕入れて販売して終わりでなく、売ったクルマをうちでメンテナンスしてもらい、手放す時にまたうちの店に持ってきてもらえるようなお付き合いをしたい」というお店や営業さんの経営理念に共感することができた。
「あぁ、このお店ならきっと次のオーナーさんも大切に使ってくれる人を見つけてくれそうだな」と思えた。
もちろん査定金額も大切だが、やはり自分が大切に所有してきたクルマへの想いを理解し、次のオーナーさんの下で幸せな人生(車生?)を送ってほしいと思うのは当然のこと。そこを理解してくれる進め方に安心感を覚えた。実際、買い取り額として提示されたおおよその額にも、誠意と販売力を感じるものであった。

3店目は燃料ポンプの修理でもお世話になったお店。以前に200万の査定を出した店でもある。新車、中古車ともにそれなりの販売数もあると思われるし、正規ディーラーらしい店構えや対応は、ある意味一般的な外車ディーラーの雰囲気があった。逆に前の2つの店は趣味性や、クルマを愉しむライフスタイルを提供する、という雰囲気が全面に出ていた。この店ではエリーゼをリフトに上げて隅々まで点検していた。当然といえば当然だが、この車の良さを評価したいというよりも、マイナス査定になる要因を必死に探しているようにも感じた。当然自覚していたマイナスポイントも指摘された。点検の後、商談に入ったが、エリーゼの中古を欲しがっている客がいるが400万くらいの予算らしく、どうもその客に自分のエリーゼを売ろうと考えているらしい。店長がいないとかでその場での提示はなかったが、仮に400万で販売するなら買い取り額はもっと低いはずであり、正直この店には期待がもてないと感じた。何より、大切なエリーゼを(営業トークだけであったとしても)大切に扱うというよりは、一つの商品としてしか見ていないように感じ、額の高低に関わらずここでは手放したくないなと感じた。

何人かの営業の方と話し、思い至ったことは「金額も大切だが、あなたを通して買ってもらいたいか。次のオーナーさんに大切に引き継いでくれるか」ということだった。

3店目で査定した段階で、自分の心は決まっていた。
2店目で売却しよう、と。

後日3店目から「驚きですよ、○○○万円で買い取ります。いかがですか?」と電話があった時には、すでにその店で契約をしようと訪れた時であり、その額も自分が売却した額よりもはるかに低い額であり、その程度に見られていたのか…と思わされるものだった。

Posted at 2022/04/24 01:20:59 | コメント(0) | トラックバック(0) | エリーゼ | クルマ
2022年04月24日 イイね!

ありがとう、エリーゼ −⑤手放す決断—

ありがとう、エリーゼ −⑤手放す決断—“大事なものは大切にしまっておきたい”
“大切なものはなるべく買ったままの状態にしておきたい”

今も変わらずある自分の性癖だ。多少は緩くなったが、今でも箱にしまったまま大切に保管して(放置して笑)いるものもある。そのような性格だから、エリーゼをとことん使い倒す、ということはなく、ボディカバーをかけ、乗る度にバッテリーを外し、雨の日は乗らず、無駄に距離が延びるからと通勤にはほとんど使うことがなかった。また、エリーゼにはスタッドレスタイヤ買わなかったので、冬で雪の可能性がある時は余計に乗ることが少なかった(しかし真冬でもチャンスがあればオープンにして楽しんでいた)。

そんな性格なので、所有した初期は毎週のように乗り回していたエリーゼも、所有する年月を重ねるとともに、乗る機会が減っていった。クルマのもつ性格としてロングドライブにはあまり向かず、「走ることを楽しむクルマ」なので、近場を流して走ることが多く、1回の走行距離は長くはなかった。1年で数100キロしか走らない年も多かった。だんだん、乗ること自体が車を維持するための義務のような感じになっていった。でも、乗れば楽しさはあるので「やっぱりエリーゼはいいなぁ」と思い、なかなか手放すという決断には至らなかった。1回目の燃料ポンプの故障で修理に持ち込んだ際、軽く査定してもらったら「200万円くらい」という額を提示され、その程度ならまだ所有していたいと思った。
しかし、2回目の燃料ポンプの故障を経験したことで、自分の心境にも変化が起こった。何回か買い替えたボディカバーも年数とともに劣化して朽ちていき、裂けてボロボロになるだけでなく、何層かになった生地の細かな毛が抜けてボディから幌から至る所にびっしりと付着し、「これはマズイ」と重い腰を上げた。このまま所有していてはエリーゼをダメにしてしまう。貴重なライトウェイトスポーツカーの1台を自分の手で朽ちさせてしまうのはあまりにも忍びない。じゃあ、大切にしまいこまずに普段から通勤車として乗り倒せばよいではないかと、ほとんどの方は思うであろう。しかし、毎日乗るにクルマとして自分にはスパルタン過ぎること、毎日のアシとしてただただ距離を延ばしていくことには最後まで抵抗があった。

「もう手放すしかないな…。」

自分の中で決断した。

細かな毛が付着したエリーゼに謝るような気持ちで洗車をし、何とか目立たないところまできれいにすることができた。ボロボロのボディカバーは捨て、次のカバーは買わず背水の陣とした(大袈裟)。そして、クルマが痛む前に、早く売却先を決めようと誓ったのが2021年の11月上旬となった。

Posted at 2022/04/24 00:21:15 | コメント(0) | トラックバック(0) | エリーゼ | クルマ
2022年04月23日 イイね!

ありがとう、エリーゼ −④エリーゼのトラブル&メンテ—

ありがとう、エリーゼ −④エリーゼのトラブル&メンテ—トラブルについては、エリーゼを知らない方が想像するであろう「外車、しかもイギリス車=壊れる」というイメージとは違い、所有している間に遭遇したトラブルはそれほど多くはない。

初期に経験したものでラジエターのコアが破裂した(実際はヒビが入りそこから冷却水が漏れてオーバーヒートしかかった)ことがあった。通常ならアルミや鉄で作られるであろうラジエターのコアが、なぜかプラスチック製。当然いつか割れるであろう代物で、対策品のラジエターも出ていた定番トラブル(ほぼリコールなのでは?)だった。真夏に山へドライブに行き、標高を徐々に上げる登り道路が渋滞で流れが遅くなり、水温が上昇し、窓に突然水滴が飛んできたので「トンネルから雨水でも落ちてきたか?」と思ったら水温が急上昇。これはラジエターが破裂したと判断し、偶然あった喫茶店の駐車場に停車。ラジエターから冷却水がどんどん漏れていき、初のレッカー手配となった。本当は社外のアルミラジエターに交換したかったが、メーカー保証で修理するには純正品が条件となり、またパンクする不安を抱えつつ交換することとなった。結局、その後はラジエタートラブルもなく、走ることができた。
また、エアコンコントロールユニットのバックライトが点かなくなったが、ギリギリ期限内の保証修理ということで対応してもらった。
トラブルではないが、所有した前半にバッテリー上がりを起こした。原因はバッテリーをつないだまま、1か月弱(?)くらい放置したこと。エリーゼには標準でセキュリティアラームが備わっているが、それが駐車中作動し続けることで電力を比較的多く喰うらしい。それ以来、すぐに乗る用事がない時は、走り終えたらバッテリーを外して家の中で保管するようにした。
また、屋根付きシャッターガレージなど我が家にはなく、月極駐車場で青空駐車なので、幌や塗装への影響を考え、購入当初からボディカバーをして保管していた。「ボディカバーは砂埃がボディと擦れて傷付くから良くない」と言われたりもしたが、何もしないよりは良いだろうし、背に腹は代えられない。

また、エリーゼには初めてホイールアライメントの調整をした。それにより走りが劇的に変わり、気持ちよく走れるということを知ることになった。エリーゼでレース活動をしていたK-one瑞穂店に持ち込み、ベテランメカニックの方に調整していただいた。エリーゼは調整箇所が多いらしく、調整前は各部がだいぶ狂っていたようだ。時間も手間もかけて頂き、調整後は真っ直ぐに走るようになっただけでなく、タイヤがスッと転がり始め、左右どちらにハンドルを切っても同じ感覚で気持ちよく向きを変えるようになり、明らかに乗りやすく曲がりやすい車になった。それまで左右で曲がり方が違うなどエリーゼの走りのネガティブな部分がスッキリ解決された。まさに車の整体のようである。

所有中期から後期にかけてはあまり走行距離も伸びない分、オイル交換やタイヤ交換などのメンテのみで過ぎていった。むしろ乗らないことが多いからこそ、乗ること自体がメンテナンスのようになっていた。
車検を自分で通していたが、ヘッドライトの光軸を調整するためにはホイールハウスからインナーフェンダーをあらかじめ取っておかないと調整できない。テスター屋に持ち込んで調整してもらったところ、調整の可動範囲いっぱいまで調整しても、まだ光軸が正規の位置にいかないということがあった。聞けば、エリーゼを持ち込む業者はヘッドライトユニットを外せる状態にして、必要に応じて取付位置(?)も含めて調整しているらしい。

そんな中、所有後期に起こったのは燃料ポンプの故障によるエンジン始動ができなくなったこと。ちょうどその頃、忙しさや他の趣味への傾倒することもあって、3か月から半年近く乗らないこともあった。そのため、ガソリンを入れた際には「ワコーズ フューエル1」を入れ、ガソリンが腐らないようにしていた。しかし、その時は切らしていたか何かでフューエル1を添加していなかったような気がする。それが原因なのかは分からないが、燃料ポンプの故障となり、修理代に20万くらいかかった。本来ならもう少し乗る頻度を増やしていくべきだったが、なかなかそれもできず、偶然かもしれないが、同じ燃料ポンプの故障が1年後にまた起きてしまった。その時は修理保証があり無償で修理してもらえた。何が原因かは分からないが、燃料ポンプの中がショートして溶けていた。

このトラブルが自分の心に「このまま所有していてはエリーゼをダメにしてしまう」と思わせたことの一つになった。

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Posted at 2022/04/23 23:45:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | エリーゼ | クルマ
2022年04月23日 イイね!

ありがとう、エリーゼ −③元オーナーのロードインプレッション—

ありがとう、エリーゼ −③元オーナーのロードインプレッション—前回の記事に加え、12年間所有し、手放した今、感じるエリーゼ(2008年1ZZモデル)というクルマのロードインプレッションを記したい。

私が感じるエリーゼとは、「最小限の実用性と引き換えに得られた、軽量な車体から伝わるダイレクトな運転感覚と対話する濃密な時間を愉しむことができるクルマ。さらに、流麗なラインと曲面でデザインされたボディがもつ独自の世界観を表現できるクルマ」である。

全長3800mm全幅1720mm全高1130mmのボディは伸びやかなスタイリングのため、写真ではそれなりに大きなようにも見えるが、実写を前にすると全体的に低く構えたようなスタイリングもあってコンパクトに感じる。それもそのはずで、ヤリスと比較して全長で-140mm、全幅で+25mmなのでコンパクトカーくらいの全長全幅しかない。
リアミッドシップレイアウトからくる、低いフロントノーズから流れるようなドアを経てリアウイングへ躍動感のあるサイドビュー。どこか昆虫のような印象を受けるヘッドライトやエアインテークの個性的なフロントマスク。リアエンジンであることを主張するリアボンネット周りと、LEDライトの間隔が若干広めな丸形デザインのテールランプや、純正でも主張するディフューザーと、そこから出るセンター2本出しマフラーなどが相まって、レーシーな印象のリアビュー。デザイン性と機能性のバランスが取れ、強い印象を放つデザインは、S3以降、ロータスの新型が発売されて時間が経っても色褪せることのない秀逸なデザインだと感じている。そして、どれだけ眺めても所有する満足感を毎回与えてくれる。エリーゼを趣味の写真撮影の被写体として撮ったこともあるが、どの角度から見ても、どこを切り取っても絵になるクルマだと感じた。また、光の当たり方の加減で彫りの深いボディに陰影が生じ、いっそうその美しいラインを際立たせていたのが印象的だった。

リモコンキーでドアロックとセキュリティを解除し、プッシュ式のドアオープナーを押し込み、サッシュレスのドアを開く。エリーゼお約束の「幅の広いサイドシルをまたぎ、穴ぐらに潜り込むように体を屈めて」乗り込むと、着座位置は低く、足を前に投げ出すような姿勢で、ドアを開け手をおろせばアスファルトの路面を触ることができるくらい車高も低い。08モデルのエリーゼSの装備としては運転席・助手席エアバッグ、アルパイン製CDオーディオ、最低限の容量のエアコン、左右パワーウィンドウ、Probax製シート、momo製本革ステアリングホイール、アルミシフトノブ、アルミ製ペダル、プッシュスタートボタン、スタック製メーター、くらいであろうか。パワーステアリングなど便利装備、快適装備などはほとんどない。それでも、初代エリーゼやスーパーセブンのエアコンレス、ブレーキサーボ無し等に比べれば、雨風はしのげるし、決して快適な温度にならないがエアコンも付いているので、確実に不便さはあっても実用に耐えうるだけの装備が備えられていることが、前述の徹底的に走り以外の装備をそぎ落としたスーパーセブンなどのスパルタンなクルマとの違いである。

キーを捻る。エンジンに火はまだ入らない。開錠してから少し時間が経った場合はリモコンキーの真ん中のボタンを押すと再度セキュリティが解除され、フューエルポンプが「チュイーン」と音をたてて始動準備が整う。エンジンスタートボタンを押し、エンジンが息を吹き返す。少し重さを感じるシフトノブを1速に入れ、クラッチを繋ぐ。気難しいことはなく、890kgの軽量な車体はスッと転がり始める。大袈裟に言えば、そこからは様々な種類の音の洪水となる。やや事務的な感じもするエンジンからの音。高音で鳴り続けるフューエルポンプの「キーン」という音。ガチャガチャとした音色のシフト。段差の突き上げなどで体が動くとギシギシと鳴るシートレール。幌を固定する関係の部品や簡素な内装パネルが擦れる音。前輪が跳ね上げた小石が大きな一枚のアルミ製アンダーカバーに直接「カン!」と当たる音など…。音楽を積極的に聞こうという気持ちが起きないほど音で溢れている。
しかし、エリーゼはそんなところにこだわるクルマではない(気にはなるが)。

走り出すと、圧倒的な着座位置の低さによって、スピード感覚がとても速く感じられる。普通のミニバンがトラックの大きさに感じるくらい、低い車高だ。

交差点でステアリングを回すと同時に、感覚的には少し先を行くような反応でノーズが向きを変える。車体は安定し、いつもよりも速い速度で通過している。
動き始めこそ重く感じるステアリングも、いったんタイヤが回り始めれば、クルマ好きには好ましいと思える重さと共に、路面の荒れや傾き、タイヤへの荷重など、多くの情報が伝えられてくる。

走りを愉しむために駆る。いつもの山へと向かう。
エリーゼを愉しむために、中速コーナーの多い道を求めて走る。

ワインディングロードに入ると、さらに軽さを生かした切れ味の鋭い走りを味わえる。コーナーが迫りブレーキングを開始。ストッピングパワーが自然に立ち上がり、ノーズが安定してダイブする。慣れればヒール・アンド・トゥも決めやすいペダルポジションで、スロットルの反応もよい。ステアリングを回し、片側のタイヤに荷重が載り、ノーズがコーナーを求めるようにグイグイと向きを変える。ハイグリップタイヤで重い車体を捻じ伏せるのではなく、軽くいなすようだ。アクセルペダルに右足を移し、徐々にペダルを踏み込むと、自分の意志に忠実にスロットルが開いて必要な分だけガソリンが送り込まれ、後輪に荷重を載せ、リアタイヤのグリップを感じながら、意志に合わせた加速を得ることができる。総排気量1794cc、最高出力136ps/6200rpm、最大トルク17.6kg・m/4200rpmを発生させる1ZZエンジンは、低回転域でのトルクもあり、街中でも扱いやすい。絶対的なパワーこそ高くないが、スムーズに吹け上がり、900kgを切る車体に搭載されることで、自分にとっては必要にして十分な加速性能を発揮する。高出力であるために、公道では恐る恐るしか踏めずに強大なパワーを持て余してしまう車よりも、気持ちよくアクセルを踏んで楽しめるのではないだろうか。高出力で圧倒的な加速感やトルクフルな余裕を愉しむのではなく、車体の挙動を感じ、コーナーを一つクリアするたびに爽快感を味わうことが最も楽しいと思える。
ビルシュタインダンパーとアイバッハのコイルスプリングを備えた前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションと、それを受け止める高剛性のアルミバスタブシャシーにより、走りの根幹部分が鍛えられている。ガチガチのバネやダンパーではなく、軽い車体を生かしたしなやかなセッティングは、良い意味で「柔らかい」と感じられるくらい、車体の挙動を受け止めてくれる。
ヨコハマADVAN Neova AD07前175/55R16、後225/45R17の前後で異なるサイズを奢るタイヤは、エリーゼの俊敏な運動性能を支えている。とは言っても、エリーゼでのタイヤ交換の経験は1回しかなく、社外ホイールに変更はしなかったため、ノーマルホイールに純正同サイズ同銘柄のタイヤに履き替えたのであった。多くのオーナーの報告にあるように、リアタイヤの減りが早く、フロント1回にリア2回交換くらいになる場合が多いと思う。そしてハイグリップタイヤのために、減り自体も早いと感じるが、そこはパフォーマンスや走りの楽しさとのトレードオフであろう。

ワインディングロードを走り込み、休憩する。
交通量が減り、空気がきれいな場所に行くと、オープンの解放感を味わいたくなる。

いったんエンジンを止め、車外へ降りる。あらかじめトランクを開けておき、運転席、助手席側の幌のロックを外し、車内へ落とさないようにして、クルクルと手で両側から巻き取っていく。幌をトランクへ入れ、次に幌布を支えている幌骨を外しトランクへ入れる。電動オープンでもなければロードスターのようにロックを外して後方へ放り投げるわけでもない。ひと手間かかるがトランクに収納できることもあり、自分にとっては苦にならなかった。それよりもオープンエアドライビングを楽しめることのワクワク感の方が勝り、かなりの真夏、真冬でなければ積極的にオープンにしていた。エリーゼはいわゆる“タルガトップ”形状になり、フルオープンに比べれば解放感は劣るのであろうが、後方からの風の巻き込みは少なく、左右のウィンドウを上げていることが多かった自分にとっては十分な解放感であり、快適に風を感じることができた。逆にフルオープンの車はフロントウィンドウ上端から入る風や後方からの風など、車種によって快・不快の感じ方が異なるものなのだと何台か試乗して理解することができた(その点、NDロードスターは長い歴史の中で改善を積み重ねてきたことで、風の処理が素晴らしいと感じた)。そして、オープンカー=スポーツカーでなくてもよく、むしろオープンにしている時はしゃかりきになって走るのではなく、ゆっくりと流しながら、景色や季節の移ろいを楽しんでいたくなるものだった。また、幌を外すことで車内に音がこもらなくなるので、ドライブも快適になるし、鳥の鳴き声、風で葉っぱがこすれる音、川のせせらぎなどが耳に心地よい。エリーゼから離れても、またオープンカーを欲しくなってしまうようになったのも、エリーゼの体験が気持ちよかったことにほかならない。

ちなみに積載性に関しては、MRスポーツカーとしては、個人的には問題ないと感じる。トランクはNDロードスターよりも若干狭く、深さはあるように感じた(1回の試乗で見た印象であるので正確ではない)。1人で走りを愉しむならば助手席にほとんどの荷物は置けるだろうし、2名乗車の際はトランクに入れればちょっとした出かけには工夫次第でソコソコ載せられる。しかし、(これも定番だが)エンジンのすぐ後ろにトランクがあるために、熱を受けてはいけないものを載せることができない。

高速道路では、エリーゼの良さを生かしづらいというのが正直なところだ。高速である程度一定速度で走っていると、車内の騒音や継ぎ目の通過時のダイレクトな衝撃が気になってくる。直進安定性もそれほど高くはないので、安心感という意味でも今一つ。車高が低い分、横風の影響を受けづらいのは美点。短距離走者が中・長距離を走っているような場違い感を感じることもある。そうなると遠出する時は別の車で…となってしまうことがほとんどであり、近場を走ることがメインになってしまう。

もちろん、実用のアシとして買い物等で使うことも可能だが、いくらか気を遣う。まず、その低い最低地上高で駐車場への出入りは場所を選ぶ。バンパーなどないフロントのクラムシェルを万が一でもぶつけて割れようものなら、クラムシェル全体の交換となり、塗装代も含めて100万円近い出費になると聞いたことがある。また、乗り降りの姿勢がかなり窮屈なことに加えてドアが長く、開く途中で止まることもないので、隣に車に当てないように気を付けながら乗り降りするのは、かなり辛いものがある。また、ショッピングセンターの駐車場などでは、ドアの開閉などで当てられたりしないよう、外れた場所に停めるように気を付けていた。用事を済ませてクルマに戻り、うっかりロックを解除する前にトランクを開けると、セキュリティが作動してけたたましいサイレン音が鳴り響く。2名乗車すると、途端に窮屈感を感じるようになる。同乗者にも大変な乗り降りを強いることに申し訳なさを感じることもある。
また、エリーゼは塗装が弱く車高も低いからか、前を走っている車が跳ね上げた小石や砂が当たることが多く、簡単に塗装が欠けてしまうため、なるべく前走車との距離を詰めないように気を付ける必要がある。

燃費は郊外中心でおおよそ15〜16km/Lを記録し、時々しか乗らないので、燃料代を気にすることはなかった。維持費に関しては、車重が軽いため重量税も高くなく、排気量も2000cc以下なので自動車税もそれほど高くはない。ただし、自動車保険に関しては車両料率が高く、購入してから何年かは車両保険にも加入していたため、年間で30万くらいかかっていた記憶がある。しまいには車両料率が高くなりすぎて車両保険に入ること自体もできなくなってしまった(某通販型自動車保険会社)。


エリーゼには様々な魅力があるが、それらはほとんどが「走りを楽しむため」であり、それらを高度に“調律”し一級のオープンスポーツカーとしてまとめ上げ、サラリーマンにもなんとか手が出る価格のクルマとして提供したことで、世界中で売れ続けることができたエリーゼとロータス社のもつ車に対する本質を突いた思想と、高度なエンジニアリング技術に対して驚くと共に、感謝の念を抱かざるをえない。
そして、なかなか日本車には感じられないヒストリーをも手に入れられることが、満足感をさらに高めている。ロータスであればレースでの輝かしい功績であり、常にライトウェイトなクルマ作りをしてきた歴史がある。数々の勝利を収めてきた葉巻型のレーシングカーがあり、エランやヨーロッパといった名車の系譜に連なる位置にエリーゼは存在する。

しかし、オンリーワンの個性があるからこそ、逆に走りを楽しむ以外の場面では、その性能を持て余している感覚が強くなることもある。正直なところ、エリーゼに乗る時は走るためだけに峠へ向かい、30kmくらい走り帰ってくる、ということがほとんどだったように思う。走りに特化したクルマを所有し、走ることを愉しむクルマ生活に満足できる人には、間違いなく多くの幸せをもたらしてくれるクルマである。しかし、その刺激的な走りに少々疲れた時や、走るためだけに時間を使うことができなくなった場合、その存在意義に疑問を感じてしまうことがあるのも、このクルマの個性ゆえである。
エリーゼの他のモデルはもちろんのこと、エキシージやエヴォーラなど、エンジンが強化され、様々な装備が追加されていったが、アルミバスタブシャシーを元に作られている兄弟車の基本形がエリーゼであり、その中でも素のモデルに最も近いものの一つがエリーゼSであると思う。インパネ等の造形を見ても基本は変わらない。ベーシックであり、ロータスが考える本来のライトウェイトスポーツの魅力が具現化されており、トヨタエンジンの堅牢性と安定感をベースにロータスECUによって秘めたる可能性を引き出したエンジンを備えた「エリーゼS」。ロータスの門を初めて叩く方から、レースベース車両など熟練者までを受け止める奥深い性能をもつ。車が電動化に向けて進めば進むほどその魅力は増し、長い自動車史の中で輝きを放ち続けるであろう。

“名車”と言っても過言ではないと確信している。







Posted at 2022/04/23 22:29:10 | コメント(1) | トラックバック(0) | エリーゼ | クルマ
2022年04月23日 イイね!

ありがとう、エリーゼ −②エリーゼとの愉しみ—

ありがとう、エリーゼ −②エリーゼとの愉しみ—2009年8月、エリーゼを愛車に迎え入れ、Lupo GTIと2台体制での生活が始まった。購入当初は忙しい合間を縫って、休日に時間があるとエリーゼを駆り出した。ステアリング操作に応じてスパッとノーズの向きを変える俊敏な運動性能、極端に低いポジション、ノンパワステで小径ステアリングホイールから伝わるダイレクトなロードインフォメーションに「これがライトウェイトスポーツカーなのか…!」と何度も酔いしれた。そして、ひとたび幌を開ければ程よく風が入ってくる爽快なオープンエアドライビングは、学生時代にバイクを乗り回し、風を切り、車では感じられない気温や匂い、自然の息吹を感じていた自分にとってはまさに「バイクのようなクルマ」であり、ただただあてもなく走っていた。
しかし、爽快・楽しいだけのクルマではなく、純スポーツカーとして切れ味や危なさも秘めており、それが走りこんでいった時の緊張感をもたらしていた。ミッドシップレイアウトはノーズの軽さと引き換えに後輪側がバランス的に重くなり、それは操作を誤ると後輪が流れてスピンしてしまうことにつながる。山道を走りこんでいた時、ふっと気が抜けてブラインドカーブに少し速い速度で進入し、思ったよりもRが深く曲がり切れなくなってやむなくブレーキをかけながらハンドルを切ったらリアが90度流れて車体が横に向き、あわや壁に激突する寸前にまでなったこともあった。また、スパ西浦であったサーキット走行会に参加し、数周して少し慣れたところでホームストレートエンドのコーナーへブレーキを遅らせて進入したが止まれ切れず、ステアリングを切ったらリアが滑り、コーナーをショートカットするようにグラベルに突っ込んだ。植わっていたツツジの木がサイドのエアインテークに突き刺さり、傍から見たら滑稽な状況だったが、本人は心臓バクバクだった。運良く周りに走っていた車が上手に避けてくれたが、あわや他車も巻き込んだクラッシュにつながるところで、自分の身の程を知った出来事であり、運転の仕方をエリーゼから学んだ。
また、時折職場に乗って行っては、「何この車!?」と驚かれたり、カッコいいと言われたり、自分の性格とクルマのギャップにいじられつつもクルマ談義をしたりしたのもかけがえのない思い出だ。買った当時は珍しく目立つこともあり、店舗や観光地の駐車場に停めていると「これはなんて言う車なの?」と知らない方から声をかけられることも珍しくなかった。オーナーズクラブや走行会などに参加することもほとんどなく、自ら横のつながりを求めることはなかったが、クルマ談義の中で話題にすると話が広がったり、エリーゼオーナーという一面が自分にあることで、自分の意外性に少し気づいてもらえたりするなど、クルマとしての楽しみだけでなく、人と人とを繋ぐ役割をしていてくれたということに改めて気づかされる。

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Posted at 2022/04/23 19:23:11 | コメント(0) | トラックバック(0) | エリーゼ | クルマ

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その時々で趣味やハマることがありますが、クルマやバイクはずっと好きで興味をもっています。 この度、久しぶりの車購入をきっかけに、クルマへの様々な想いや細かな経...
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