
明日から「悪夢の10月」と言われる消費税10%化がスタートしますが今日で米国・フォード・モーターの100%出資の米国法に基づく直轄子会社フォード・ジャパン・リミテッドの業務終了から3年を経過しました。
日本におけるフォードビジネス
日本のフォードビジネスは明治から始まり1925年(大正14年)に日本フォードを設立、神奈川県横浜市子安に製造工場を開設、フォード・モデルTのノックダウン生産(KD生産)を開始、満州への輸出が行われていたが1936年(昭和11年)に日本資本50%以上のみに生産を許可する自動車製造事業法が成立、100 %アメリカ資本だったフォードは第二次世界大戦開戦前の前年の1940年(昭和15年)に操業停止となった。
第二次世界大戦後は各地域代理店が米国製をはじめに英国製や西独製、豪州製のフォード車の輸入を行っていたが1974年にフォード自動車(日本 通称日本フォード)を設立、近鉄モータースや北海自動車工業などの各地域代理店が直輸入販売する車種を除きフォード自動車日本が総輸入元となって各地域代理店と本田技研工業の子会社ホンダインターナショナルセールス(HONDAHISCO 欧州製フォード車がメイン 現ホンダ中古車販売)がディーラーとなる形でフォード車の販売が実施された。
1979年(昭和54年)にオイルショックにより経営不振となった東洋工業(現マツダ)への米国・フォード・モーターの資本参加と同時にマツダ・新チャネル展開プランが持ち上がり、1981年(昭和56年)にマツダ製フォード車のディストリビューターとディーラー統括を行うオートラマを設立、1982年(昭和57年)10月にその後フォード店となるオートラマ店の展開をスタート、同時にBD系ファミリアベースのレーザー(BE末尾F系 豪州先行販売)とGC系カペラベースのテルスター(GC末尾F系)が発売、戦前設立も多い老舗系地域代理店の販売会社だけではなくマツダ販売会社や総合スーパー運営会社などもフランチャイズに参加、1986年(昭和61年 年度上は60年度)には日本フォード初のオリジナルモデル「フェスティバ DA系」を発売、1988年にはマツダが輸入するオートラマ初の輸入車「トーラス(TS300系)」とGD系カペラC2ベースのプローブ(1ZV系)、リンカーンコンチネンタル(LC381型)を発売 翌年の税制改革に向けて外車販売にも本腰を入れる、1992年にマツダと米国フォード・モーターのオートラマ対する出資比率の均等化、マツダクロノス兄弟の一員でGE系MX‐6ベースのプローブ(1ZVTB型)を発売、同時に輸入権をマツダからフォード自動車(日本)に移管、1994年に店舗チャネル名をオートラマ店からフォード店に変更、海外メーカーとしては異例の低価格で話題となったマスタング(1FA4P/TP系)と欧州製のモンデオ(WF0系)を発売、マツダだけではなく一部地域の日産ディーラーもフォード販売に参入、1996年に米国・フォード・モーターがバブル崩壊と5チャネルの失敗で苦しむマツダへの資本参加を強めマツダは米国・フォード・モーターの傘下に、1997年に一部車種を除くフォード車のディストリビューターとフォード店の統括を行うオートラマをフォードセールスジャパンに改称、1999年にフォード自動車(日本)とフォードセールスジャパンの業務を引き継ぐ、米国・フォード・モーターの100%出資の米国法に基づく直轄子会社フォード・ジャパン・リミテッド(FJL)が設立された。
2000年に世界戦略のCセグメントカー「フォーカス(WF0FY/ED系)」とマツダ・フォード共同開発車EP系トリビュートベースの最後の日本フォード車「エスケープ(EP末尾F系)」を発売、2002年にエスケープ(EP末尾F系)を除くマツダ製フォード車の販売終了、2007年に欧州製フォード車の輸入休止、2008年に大型プレミアムSUV「ナビゲーター」の正規輸入開始によりリンカーンの販売再開、2010年にクロスオーバーSUV 「クーガ (WF0HYDP)」の発売により欧州製フォード車の輸入再開、2015年に米国・フォード・モーターのマツダに対する資本解消、2016年1月に北米フォード・モーターの日本事業(フォード・ジャパン・リミテッド)か撤退すると発表され、3月をもって輸入打ち切り、9月30日にはフォード・ジャパン・リミテッドと直営販売会社フォード・ジャパン・ディーラー・リミテッドを含めたフォード店としての販売会社の業務終了、10月1日からVTホールディングス傘下のピーシーアイがアフターサービスを実施する「フォード・サービス・ジャパン」を開始、フォード店閉店によりかつてはフォード傘下だったマツダだけではなくボルボ・カーズの日本法人のボルボ・カー・ジャパンやジャガー・ランドローバージャパンの正規ディーラーに転換した店舗も多いようですが一部フォードサービス店を運営する会社についてはフォード車を並行輸入を行っているようです。
日本でフォードが撤退前に低迷が続いた理由
右ハンドル車が少ない
かつてはマツダとのアライアンスを生かし欧州製世界戦略車として発売された「WF0系モンデオ」をはじめに1994年6月以降の1ZVTB型プローブや1FASP系トーラスだけではなく1LNSM系リンカーンLSも右ハンドルのみ正規輸入されるなど日本向けローカライズに積極的だったが1FMWU74型エクスプローラー2006年モデルから左ハンドルのみにするなど欧州製フォード車の一時撤退後は 台湾製のLFA系エスケープを除き左ハンドルのみとなり、クロスオーバーSUV 「WF0HYDP型クーガ」の発売により右ハンドルのラインナップが増え、「ONEFORD」戦略に基づくアジア製フォード車は右ハンドルのみが正規輸入され、2016年には北米製FRスペシャリティのマスタングにも右ハンドルが導入される予定だったがフォード・モーターの日本事業(フォード・ジャパン・リミテッド)の撤退によりお蔵入りとなった。
エコカー減税対応車がない
1994年以降から一部の輸入フォード車もマツダ製フォード車同様に型式指定を取得する形で国内販売されるようになったが2代目のWF0F/A系フォーカスを最後に型式指定輸入車がなく、「PHP制度」と言われる少量輸入型式認定枠や並行輸入同様の型式欄不明が多く、エコカー減税認定を受けられないことから一部の海外メーカーも同様の話ですが拡販ができなかったと言えます。
販売・サービス網の低下
1990年代中半頃はマツダ製フォード車を販売する関係から47都道府県に海外系メーカー最大の300カ所サービス網を有したが旧オートラマのフォードセールスジャパンから米国・フォード・モーターの100%出資の米国法に基づく直轄子会社フォード・ジャパン・リミテッドへの移行と同時にディーラー運営会社とのフランチャイズ契約解除による店舗網縮小により日本事業(フォード・ジャパン・リミテッド)撤退時にはサービス網は全国55店舗のみとなった。
そのようなことにより長年低迷が続いたと言えます。
個人的にはフォード・モーターの日本事業(フォード・ジャパン・リミテッド)が撤退する報道を聞いたには残念と思いましたが2014年の消費税8%に移行するときは高級外車が飛ぶように売れるなど輸入車販売も活気があったようだが「悪夢の10月」と言われる明日からスタートする消費税10%化にについては新車はただですれば売れていないようで長期的な新車登録販売台数の低迷を考えれば日本市場撤退は仕方がないと言えます。
今回の画像は日本で正規販売されたフォード車を特集します。
1枚目の画像についてはマツダカペラC2(GD系)の兄弟車で1988年9月に米国と日本で発売されたフォードプローブGT前期型(1ZVT)です。

2枚目の画像ついては1990年にブロンゴⅡの後継車として3ドアと5ドアが北米市場で発売され、日本では近鉄モータースから1990年10月に輸入販売が開始、1993年モデルから5ドアのみとなってフォード自動車(日本 プロモーション・ディストリビューターはオートラマ)に輸入元が移管したフォードエクスプローラーXLT5ドア(FMUX4)です。

3枚目の画像についてはGE系マツダMX-6の兄弟車で1992年7月に北米で発売され、9月に日本で販売開始、1994年6月から日本向け右ハンドル仕様車の輸入が開始されたフォードプローブGT後期型1995年モデル(1ZVTB)です。

4枚目の画像についてはDセグメントカー「シエラ」後継の世界戦略車として1993年に欧州で4ドアセダン・5ドアセダンと5ドアステーションワゴン発売され、日本では1994年6月にステーションワゴンとセダンの輸入販売開始されたフォードモンデオワゴン2.0GHIA(WF0NNG Mk1といわれる前期型)です。

5枚目の画像ついては当時はフォード・モーター傘下のイギリス・ジャガーのSタイプ(J01系)プラットフォーム共有する高級車ブランド「リンカーン」のエントリーモデルで1999年10月に日本向け右ハンドル車が輸入販売されたリンカーンLS3.0V6(1LNSM86)です。
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2019/09/30 17:02:05