
車に発生する静電気の影響について調べたものを簡単にまとめてみました。
静電気は「接触」⇒「摩擦」⇒「剥離」が起こるところで発生します。
走行中、速度が上がると受ける風量が増します。
風量が増すほどに車の周囲を流れる空気と車の外装面(ボディ)の摩擦によって静電気が発生し、外装面の母材に正の電荷が蓄積(帯電)していきます。
車両および空気は共に「正の電荷」に帯電することが一般的に知られているそうです。
走行中、この外装面に蓄積した電荷 と 車の周囲を流れる空気の正電荷どうしが反発し合うことにより乱流が起きるため本来の空力性能が出せなくなります。
つまり「静電気は操縦安定性の妨げとなり燃費も悪くなる。」と言われてます。
■ 導体と絶縁体に帯電する静電気
車の外装面(ボディ)には金属のように電気を通しやすいもの「導体(導電体)」と 反対に、電気を通しにくいもの「絶縁体」があります。
導体の代表例は鉄や銅などで、絶縁体の代表例はプラスチックやゴムです。
導体でも絶縁体でも静電気は発生しますが、静電気の性質は異なります。
導体では静電誘導という現象が起こり、絶縁体では誘電分極という現象が起こります。
■ 導体に発生した静電気(静電誘導)の除去
導体は「アース」をつなぐことによって電気の通り道ができ、一瞬で静電気がなくなります。
導体は電気を通すため、均一に帯電する特徴をもっています。
静電気が発生してもすぐにアースを伝って逃げるため、帯電したままの状態が続くことはありません。
アースにつながっていない場合は逃げ場がないため、静電気をためたまま(帯電)の状態が続くことになります。
■ 絶縁体に発生した静電気(誘電分極)の除去
絶縁体は電気を通しにくいので、静電気が発生した場合、アースをつないでも溜まった静電気は逃げません。
絶縁体は電気を通さないため、均一に帯電せずに場所によって帯電状態の大小が変わります。
電気が流れるところもなく帯電状態が多い場所の表面にたくさん帯電していきます。
帯電したところに※導電体を近づけると一気に溜まっていた電気がそちらの方に流れていきます。
(※導電体:アルミテープ等)
導電体に帯電した電位が高くなると、先の尖った部位から局部的に高電圧を生じコロナ放電を起こします。
コロナ放電により周囲の空気を絶縁破壊させて帯電した帯電物(絶縁体)を空気イオンと中和することで静電気を除去します。
(コロナ放電によって流れる電流は小さく、数μA程度です。)
■ アルミテープの目的
図はトヨタの特許情報より拝借したもので、バンパーの静電気除電について示しています。
アルミテープは、樹脂製ボディや バンパー にまとわりつく静電気を取り除くことによって乱流をなくし、本来の空力特性が発揮できるように狙ったものです。
帯電する材質が導体(金属)ならボディアース(バッテリーアース)が取れていれば電気が流れ放電されますが、絶縁体(P.P、FRP等)の場合、電気が流れないので同様な放電はできません。
走行中に絶縁体(樹脂製ボディやバンパー)表面に蓄積した静電気を除去するためにアルミテープを利用します。
アルミテープは電気抵抗が小さいので電気が流れやすく、絶縁物に貼ることによってその周辺の静電気(正の電荷)を蓄積させ飽和時にアルミテープの端部からコロナ放電を起こします。
コロナ放電によって周りの負極性の空気イオンと結合して中和除電が起こります。
中和されることで絶縁体表面の空気が反発することなく気流が安定します。
車は走行しているため、このサイクルを繰り返して除電を行ないます。
効果は、街中走行よりも高速走行で発揮されます。
空気の流れによる絶縁物との摩擦は、車のいろいろな場所において発生するので相応の効果が見込まれるようです。
オカルトチューンなどと言われていますが理にかなった方法であると思います。
体感でみると分かりにくいかも知れません。
ブログ一覧 |
調べもの | クルマ
Posted at
2023/10/29 18:02:48