
2025年9月にイギリスへ訪れた際、公共交通機関が行き届かない地域への足としてレンタカーを借りました。
備忘録として残しておきます。
今回はイングランド北西部の湖水地方へ向かいます。
日本からだと最寄りの空港はマンチェスターになることがほとんどでしょう。
降機してターミナルビルへ入った瞬間から、垢抜けず暗い雰囲気があちらこちらに漂い、ここは地方都市であること、金融以外の産業が低迷していること、ロンドン以外は特に深刻であることを感じさせます。
腹の虫が悪かったのか職務放棄して樹脂製のガードレールを投げたり蹴り散らかす荷物カート回収のおじさんを傍目に、ビルのバス乗り場へ出たらCar Rental Villege行きの無料シャトルバスに乗り、レンタカー会社の事務所へ向かいます。
今回は初めてSIXTにしました。
ドイツ系で他社よりも割高ですが、クチコミ評価が高く対応や車両の状態も良いとのことで選んでみました。
ラインナップはBMWが中心で、その他にVWやプジョー、メルセデス、ボルボ、ヴォクスホール(オペル)、ルノー、シュコダが揃っており、大小問わず車型はSUVが半数以上を占めています。
予約したのはBセグSUVだったため、当初は右のモッカ(プジョー2008の姉妹車)を割り当てられたのですが、受付でなんと「インフォテイメントがついてないのよ」と言うではないですか。
「そんなわけあるかい」と内なる関西人がツッコミかけましたが、レンタカーあるあるでソフトウェア上で機能制限をかけられているのかもしれないと思い至りました。
「CarPlayでWazeを使いたいんだけど、何か他の車はある?」と聞くと、「おろしたての2シリーズアクティブツアラーがあるわ」との提案で左の2シリーズに。
現行BMWはM3コンペに試乗したのが最後で、FFシャシーのモデルとなると5年くらい乗っていませんが、実用車として申し分ない完成度とバランスを持っていた記憶があります。
お借りしたのはBMW 220i Sport Active Tourer。
1.5L 3気筒ガソリンエンジンに48Vモーターアシストの付いた170 ps/280 Nmを発揮し、7速DCTで駆動する日本未導入のマイルドハイブリッドモデル。
日本仕様のアクティブツアラーの内、ガソリン車はモーターアシスト無しの218iのみですが、4ドアクーペの2シリーズグランクーペにのみ220iが設定されています。
同様にX1, X2, MINI各車にもこのパワートレーンの組み合わせが導入されていないのが不思議なところですが、価格低減のためかもしれません。
一つ誤算だったのがこのクルマの装備。
オプションは18インチホイールとレザーシートくらいで、ドがつくベーシック仕様。
日本の軽でも当たり前になってきたACCや車線維持機能、パドルシフト、スマートキー、無線充電器、360度カメラなどは付いていないのです。
今どき欧州でもACC無しを買う層っているのか…
イギリスの車道舗装は日本よりもアスファルトの粒が荒く、また整備状態も良くありません。
喩えるなら名阪国道のような道で制限速度が60または70マイルもあるので、路面のうねりで車体が吹っ飛んでいきそうな場面にも多々遭遇します。
そんな道を走らせていると、ここはMGローバーやジャガー、ランドローバーを育んだ国であり、ハンドリングに優れた欧州フォードや脚がしなやかなフランス車が長年売れてきた背景がよく分かります。
逆に日本の道路は極めて綺麗に整備されているがゆえに、クルマ側で優れた乗り心地や走行安定性を実現させる逼迫性が欧州車ほど高くないことも改めて理解させられるのです。
ここで感心させられるのは、ファミリーカーであるはずのアクティブツアラーが恐ろしいくらい優れたロードホールディングス性とステアリングの舵角に対して適度なフィードバックを見せること。
イギリスでもBMW乗りはかなりの「走り屋」が多い印象ですが、この安心感に支えられてるのだろうと思いました。
今回宿泊した宿の駐車場。
我が220iの他にはトゥインゴRS、ポロ、i30、ティグアン、アテカ、C-HR、RX、RS5クーペ、プーマ、911 GT3、マスタングなど、ここの客層はスポーツモデルが多い印象。
よその急速充電器のある宿では中国製MGやBYDのBEVがとてもよく目立ちました。
湖水地方南部のウィンダミアに代表される主要な村を抜けて北の奥地へ進むと、目を見張るような美しい、されど離合困難な道を延々と走らされます。
ランドローバーやスバルのカタログ、あるいはTopGearで観てきたようなグランドツーリングと呼ぶに相応しい景色です。
ただ、上述したように幅員がところどころ4 m以下の場所も多く、私の腕ではCセグ車までが恐怖心なく運転できる限界サイズです。
愛車XC60では傷付けるか脱輪をやらかしていたに違いありません。
その点、この220iは実用的で快適なファミリーカーでありながらBMWらしい走りのエッセンスも感じられるまさにベストマッチな一台でした。
おまけですが、イギリスは田舎であろうと都市部であろうと、有料駐車場の清算はクレジットカードか所定のアプリが主流です。
今日のイギリスではチップ以外に現金を扱うことがまずありません。
そして、このアプリ清算という制度が極めて曲者で、App Storeの国・地域設定を日本からイギリスに事前変更しておかないとダウンロード不可というジオブロックがかけられた清算アプリでの支払いを指定してくる駐車場も。
しかも場所によっては肝心のSIMが圏外…
単身慣れない土地で駐車場探しに難儀しました。
Posted at 2025/10/12 03:46:45 | |
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