
前編ではやたらややこしい話が長くなってしまいましたが、ここからが今日のトピックの本題です(笑
マツダはこのSKY-Gエンジンにおいて、内燃機熱効率のなかでもっとも支配的な圧縮比をなんと14という驚異的な向上をさせる事で、純内燃機自動車でありながらハイブリッド車に対抗し得る燃費を実現させました。
これは僕らの様な内燃機オタクにとっては非常に明るい未来であり、また同時にこれほどの偉業を成し遂げながらハイブリッド車の半分も注目されないことがとても残念に思えます。
14という驚異的な圧縮比を実現できた背景には、写真のような実用車としてはかなり良く出来たエキマニにあるそうです。
(見栄え以上にノウハウの塊なんだと思います)
このエキマニによって燃焼室内の残留ガスを減らすことと、点火タイミング、ピストン形状によって実現しているそうですが
簡単に箇条書きに出来るようなものはなく、早々深いノウハウがありそうです。
しかし、昨今のエコカーは燃費のみならず排ガスのクリーンさも非常にシビアなものが要求されています。
排気ガスはなるべく高温の状態で触媒を通過させた方が有害物質の分解に有効なため、高圧縮に必要な長いプライマリ長のエキマニとは相反する条件であり落し所を相当苦労したであろう事は容易に想像できます。
現実的な話をすると、街乗り燃費ではハイブリッド車とトントンかやや劣勢かもしれませんが郊外での遠乗りや高速走行においてはバッテリーによる車重増加や、大容量オルタネータによる駆動ロスの大きいハイブリッドよりもSKY-Gに軍配が上がるでしょう。
何よりモーター用バッテリーを搭載しないことが最大の環境に貢献する点と言えると思います。
バッテリー廃棄はとても環境負荷の高い行為であり、燃費が良くても大容量バッテリーを定期的に交換しなければならないハイブリッドカーは何気にあまりエコではありません。
個人的にはそういう実用上の理屈以前に、確実な答えが見えているこの世の中で
あえて独自路線を選び、キチンとしたアウトプットを出してきたマツダに最大の賞賛を送りたい気持ちです。
これこそ正にエンジニアの意地であり、マツダと言う企業のアイデンティティーだと思います。
REの開発を投げずに、世界でただ1社実用にこぎつけたのもマツダです。
また、日の目を見る事が殆どありませんでしたが、IHIの協力の下で画期的なミラーサイクルエンジンを実用化したのもマツダでした。
僕は今はマツダ車に乗っていませんが、こういうマツダの企業姿勢がとても好きでマツダ車を6台も乗り継ぎました。
エンジニアの端くれとして、こういうプライドを持った商品開発をいつかは行いたいと改めて思います。
Posted at 2010/10/25 23:17:29 | |
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