
何度も言いますが超マニアックなお話しです。ヒマな方、ウンチク好きな方だけ推奨の第3弾です(笑)
第1弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48638873/
第2弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48641278/
結局、どういうものが良いのか?についてですが、究極論としては用途と好みの問題です!というと、身も蓋もないので、VABでは比較的多いであろうスポーツ走行用途において書きます。
横軸時間、縦軸が効き(制動力)で、狙いのブレーキ=ペダル踏力一定で踏んだと想定します。おそらく、Aが踏んだ分だけ効くコントロール性のよいパッドというのはイメージしやすいと思います。
しかしながら、前回書いたようにパッドの摩擦係数は温度依存性があることに加え、その他にも車速依存≒単位時間吸収エネルギー量や油圧依存性などもあり、一回の制動中に摩擦係数が一定になることはまずないです。
なので、大体のメーカーが摩擦係数をレンジで書いていたり、「平均摩擦係数」と表記しています。
一般的にですが、純正で採用されることが多いノンアスベスト材はBのイメージ、社外品でスポーツ走行向けとして出しているセミメタ材はCのイメージになる傾向があります。
ノンアスベスト材はマイルドで安定性は良いものの、踏み始めにガっと効くバイティングが弱く、耐熱性も低いのでスポーツ走行には不向き。セミメタ材は初期バイティングは良いものの、踏力一定でもビルドアップという効き込んでいく現象が起きがちで、制動後半で少し踏力抜いただけでカクっと制動力が抜けてしまう傾向になります。自分が過去使ったものだと、プロμのHC+がそんな感じでした。
(一方で、しっかり踏めない初心者には良く効く安心感とウケたりもしますが…)
Cタイプのもう一つのデメリットとして、最近の車には必ずついてる電子制御とのマッチングです。制御はオフにしてるという方でも、ABSまで切ってるという方は稀だと思います。ABSは4輪の車輪速センサー値から車体速度を演算して、どこかの車輪速が急に落ち込んで車体速度と乖離し始めるとロック判定して、油圧をリリース⇒乖離状態が回復したら再度加圧を繰り返します。
この時に、摩擦係数が高すぎたりビルドアップで変動するとガクガクして車両挙動を乱したり、時には油圧リリースが間に合わず瞬間ロックしたりします。
第1弾で書いたように、純正摩擦係数コードはFFが大半なので、上側を0.45あたりに抑えておくと制御の破綻も起きづらいと思います。
上記を踏まえると、「セミメタ材のバイティングと耐熱性を有していながらも、純正と大きく変わらない摩擦係数か少し低めで、ビルドアップも少なく安定しているモノ」が多くのユーザーにハマる可能性が高いと思います(ドライビングスタイルにもよるので絶対ではないです)
その辺りを特に意識してるのがエンドレスだと思います。

※以前は公式HPに掲載されてましたが、今見たら見つからず…
絶対値が低ければ変動幅も小さくなるので、総じて摩擦係数が低めなことが分かると思います。
また、グラフは車速と摩擦係数を示していますが、車速=運動エネルギーなので温度依存性とほぼ同義です。車速は二乗で効いてくるので、3割速度が上がればエネルギーは69%増しですが、摩擦係数は概ね横走りで安定しているのが見て取れます。
街乗りでは50度~100度辺りを使うのでCCシリーズは扱いづらく、トータルで見て自分はCC-Rgを使っています。VAB定番のMX72PLUSもほぼ同値ですね。
他にも、プロμだとHC CS18などがカタログ上では似た傾向です。
最終的には好みの問題ですが、どういうのを選べばよいのか悩まれている方の一助になれば幸いです。ブレーキパッドのマニアックトリビアは以上です!
ご要望もあったので、次はローターについて書きます。
【ブレーキローターのマニアックトリビア】
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48645667/
おまけ
↑ディクセルのZタイプのデータ。特に中速制動のところで青い線が上下に伸びていますが、これが一制動中に変動する摩擦係数の幅です。制動時間が長い10barの低油圧では0.41⇒0.64くらいまで変動しているので、踏力一定でも5割効きがビルドアップすることになります…
典型的なセミメタ系の特徴ですが、こういう特性は平均摩擦係数の数値だけ見ても分からないです。
<ブレーキローター編>
<ブレーキフルード編>
Posted at 2025/09/08 00:12:23 | |
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