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徒花VABのブログ一覧

2025年09月29日 イイね!

ブレーキフルードのマニアックトリビア

ブレーキフルードのマニアックトリビア超マニアックなお話しです。ヒマな方、ウンチク好きな方だけ推奨のシリーズです。

<ブレーキパッド編>
<ブレーキロータ編>

たまたま先日ネットで、う~ん…という情報発信をみかけたので、フルード編を書きます。

この記事を読んでいるような変態紳士の方々には当然の常識だと思いますが、
ブレーキフルードは定期交換油脂類として指定されています。

吸湿することにより沸点が下がるためですが、その水分のほぼ全量はリザーバタンクから取り込まれています。一見、密閉されているように見えるタンクのキャップですが、ブレーキの熱によりフルードは熱膨張するので、完全密閉だとタンク内圧が上昇=フルード圧がキャリパーピストンにかかって引き摺り状態になるため、圧抜きができるようにキャップには連通路があいています。

もちろん、水やゴミが入りづらいにように極少かつ迷路みたいな経路になっていますが、熱膨張と収縮を繰り返すたびに呼吸する形になり、大気中の水分を取り込んでいきます。

なので、リザタン周辺は濡らさないに越したことはないのですが、洗車するたびにビチャビチャになる我がVAB…いずれ何か対策しようと思っています。

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ディクセルのHPがフルードについてよくまとまっているので、こちらを読んでもらえばほぼ今回は終了ですが、少しだけ補足情報も入れながら書きます(笑)

昨今のクルマにおいてDot5は選択肢には入らないので割愛しますが、Dot3~5.1の数字が上がるにつれて性能も基本的には上がります。Dot5.1は吸湿性が高いから早く交換しないとNGみたいな情報をみかけますが、2年の車検毎に定期交換している限りでは「正規のDot5.1規格に則っているものであれば問題ない&Dot3/4よりも沸点も高い」ので余計な事考えずに入れてOKです。

最近、純正でもDot5.1を採用しているクルマが増えてきましたが、メンテナンス推奨期間が変わっていないのはそのためです。
自分はディーラーでも扱いがある、スバル用品設定のコレを使っています。

ややこしくしている原因が、「Dot5.1規格以上」とか沸点にのみフォーカスした表記の商品が多いためだと思います。商品説明もちゃんと読むと沸点はDot5.1規格を大きく上回るものの、Dot5.1規格からは外れている旨が記載されているのですが、あまり気にしない人が多いのかと想像します。中には「Dot5.1規格相当」と書かれていて一見分かりにくいものもあります。

では、高沸点フルードはDot規格から何が外れるかと言うと、低温動粘度か腐食性に影響するpHが高沸点性能と両立が難しくなり犠牲になることがあります。※ディクセルにも記載あり
https://www.dixcel.co.jp/literature/lid-266/

低温動粘度だけであれば、寒冷地で使わなければOKですが、規格から外れている以上はpHがどうなっているかは知るすべがありません。もちろん、メーカーも極端なことはしないと思いますが、HKSなどは入れっぱなしにしないように明確に注意喚起をしています。
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ここまで読むと、長期に大事に乗るつもりならばむやみにレーシングフルードを謳っているモノは使わない方が安全サイドなのが分かるかと思います。
もちろん、長期に渡って使っていても問題ないレーシングフルードもあるかと思います。それは商品説明からは読み取れないので、長期使用の実績や口コミ無しにチョイスするのはギャンブルになります。

そして、そもそも論になりますが、ドライ沸点が300℃オーバーのスペックがないとべーパーロックするような状態では、パッドもローターも適正温度はとうに超えています。キャリパーのゴムブーツは海苔のようにパリパリになって消失し、ピストンシールも熱劣化で弾性が失われてダメになります。
ブレーキホースも熱によって劣化するので、最悪かしめ部からホースが抜けてノーブレーキになる可能性もあります。

キャリパーにサーモラベルを貼って、「走行中(※)に200℃を超えてくる」ならば、ダクトによる冷却やクーリングラップを増やす、ローターサイズアップによるシステム性能UPする方をオススメします。
※アタック後にクーリング走行せずにピットイン停車すると簡単に超えてきます

<第2弾>
<第3弾>


Posted at 2025/09/29 17:48:36 | コメント(1) | トラックバック(0) | クルマ
2025年09月13日 イイね!

ブレーキローターのマニアックトリビア_3

ブレーキローターのマニアックトリビア_3定型文となりつつありますが、超マニアックなお話しです。ヒマな方、ウンチク好きな方だけ推奨のシリーズ第3弾です。

第1弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48645667/
第2弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48651166/

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ベンチレーテッドディスクなので、青矢印のところを冷却風が流れて冷やす構造ですが、赤点線のところがいかにも冷却性に悪さしそうというのは想像できると思います。でもコイツが熱倒れの抑制には必須だったりします、と前回書きました。

熱倒れという言葉はあまり耳にしないと思います。

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ブレーキをかけたときに発熱するのはパッドがあたるところだけですが、ハブとつながっている方は伝熱もするので、①のように温度差が発生します。
リング形状のものを熱すると外側に熱膨張しますが、この温度差とハブにつながっている部分の拘束で、②のようにリング部が傾きます。

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イメージとしてはシルクハットが「イエローハット」になる感じです(笑)
こうなるとピストン&パッドとローターが綺麗に当たらなくなるので、フィーリング悪化になるのは想像しやすいと思います。

それを緩和する手段が、最初の画像の赤点線の折り曲げです。
リングが熱膨張で外側に広がろうとするので、③のようにそれを阻害しにくくするジャバラのように「伸びしろ」を確保しています。といっても、強度を考慮すると本当のジャバラのようにはできなくV字で1回だけ折り返すのが限界なので、熱倒れの緩和になるもののサーキット走るような温度域では結構倒れます。

それをベルとリングの2部品に分割して激減させるのが2ピースローターの一番の狙い効果です。ローターを大径化すればするほど熱倒れ角度の影響がモロに出てくるので、純正でもスポーツモデルの大径ローターのものは、2ピース採用しているものが増えてきています。


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ベルとリングを直接ボルト締結すると意味がないので、ベルとリングはわずかにガタを持たせて赤矢印方向にはフリーにスライドできるようになっています。そのままだとカチャカチャ音がなるので、熱膨張は阻害しない程度に板バネでガタ分を押さえる構造になっています。この精度出しや組付け手間分がコストに跳ね返ってくるワケです…


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ホンダのシビックTYPE-Rのサイトに分かりやすい実例が掲載されていました。

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効果代はあくまで一例ですが、熱倒れの抑制は面が安定するので、サーキット走行時のフィーリング寄与度はかなり大きいです。
【公式サイト】
https://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC_TYPE_R/202010/P11.pdf


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エンドレスHP引用です。リング部のフィンも変わっているので純粋な2ピースの差ではありませんが、同じサイズで冷却性も向上可能。もう一つのメリットとして、リングの熱がベルには伝わりづらいのでハブベアリングの熱害ダメージ低減にもなります。

以上、しっかり走る人はきっと欲しくなる2ピースローターの巻でした。

<ブレーキパッド編>
<ブレーキフルード編>

Posted at 2025/09/13 11:33:01 | コメント(1) | トラックバック(0) | クルマ
2025年09月12日 イイね!

ブレーキローターのマニアックトリビア_2

ブレーキローターのマニアックトリビア_2何度も言いますが超マニアックなお話しです。ヒマな方、ウンチク好きな方だけ推奨のシリーズです。

ブレーキローターの第2弾です
第1弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48645667/

前回ローターの大径化はシステム性能の要で、大径化の手段の1つとして対向キャリパーがあると書きました。

VABは標準で対向なので、興味ない方はスルーしてください。

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↑対向
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↑浮動
対向と浮動の例ですが、浮動タイプはパッドを掴む「爪」の部分が加圧したときに強度を持たせる必要があるので、どうしてもローター外側に出っ張ります。

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対して、対向は上図の黄色部分で赤色と同等の断面積を確保して強度を確保できるので、青円と緑円の差の分だけ対向の方がホイールとの隙が有利になります。

その差は15mm程度とかですが、直径にすると30mm。ローターで30mmも大きくなると制動有効径が大きい分効きが上がるのと、冷却性向上で性能は明確に差が出ます。

もちろん、浮動より対向の方がレスポンスがよいとかのメリットもありますが、性能に対する寄与度はローター大径化の方が恩恵は大きいです。


では大径化にあたり、どういうローターがよいのか?に対しては、この記事読んでる方は予想がつくと思いますが2ピースローターです。

2ピースローターの利点は主に3つ
①ベル部がアルミ化できるので軽量化
②熱倒れの抑制
③冷却性向上

①は字面の通りですが、②③は通常のローターを理解するとなるほど!となります。

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何故かアマゾンにも掲載されてるVAB前期ローター図面(笑)

ベンチレーテッドディスクなので、青矢印のところを冷却風が流れて冷やす構造ですが、赤点線のところがいかにも冷却性に悪さしそうというのは想像できると思います。でもコイツが熱倒れの抑制には必須だったりします。

次回、きっとあなたも欲しくなる2ピースローター(笑)

https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48651973/



Posted at 2025/09/12 21:27:35 | コメント(1) | トラックバック(0) | クルマ
2025年09月08日 イイね!

ブレーキローターのマニアックトリビア

ブレーキローターのマニアックトリビアパッドにつづき、マニアックトリビアのローター編です。
パッドのウンチクとも絡むので、パッド編を先に読むことをオススメします。
【ブレーキパッドのマニアックトリビア】
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48638873/


ブレーキはキャリパー/ローター/パッドの組み合わせで、目が行くのはカラフルな対向キャリパー、ユーザーが換えやすいのはパッドで、ローターは地味な印象がありますが、スポーツ走行におけるブレーキシステムの限界を決めるのはローターです。

パッドの摩擦係数は温度依存性があることは前述のとおりなので、パッドが安定して仕事できる温度域をキープできない≒システムの限界となります。
耐熱性の高いセミメタ材でも、安定した効きを出せるのは600度程度で、それ以上は瞬間最大は耐えられても、定常的に使うと摩耗が著しく進んだり、キャリパーにもダメージが及びます。

ローター温度にも限界があって、鋳鉄でできているため700度超えた辺りからマルテンサイトという状態に時間とともに変態が進みます。この状態になると硬くて靭性が低いので、熱膨張と収縮で表面にヘアクラックが入るようになります。
自分は回し者ではありませんが(笑)、エンドレスのレーシングローターはその辺り含めてよく考慮されています。
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ブレーキは運動エネルギーを摩擦で熱エネルギーに変換するものですが、ローターの熱容量≒摺動部重量で運動エネルギーに対する温度上昇量が決まり、回転によりどのくらい放熱するかはローターのフィン形状と表面積で決まります。
また、ローター径によって制動有効径が変わり大きいほど良く効くため、パッドの摩擦係数も低くすることができます。
※扇風機の羽を指で止めるときに、中心よりも外周部で止めたほうが簡単と同義

上記の性能を最大限生かそうとすると、ローターの大径化が良いとなりますが、実車においてはホイール内径が制約となってくるため、サス形式や車両パッケージで限界が決まりがちです。

その制約の中で最大限にローター径を上げる手段が、実は対向キャリパーだったりします。えっ?と思った方もいらっしゃるかと思いますが、次回は制約の中でベターなものについて書きます。

【第2弾】
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48651166/


Posted at 2025/09/08 23:12:49 | コメント(2) | トラックバック(0) | クルマ
2025年09月07日 イイね!

ブレーキパッドのマニアックトリビア_3

ブレーキパッドのマニアックトリビア_3何度も言いますが超マニアックなお話しです。ヒマな方、ウンチク好きな方だけ推奨の第3弾です(笑)

第1弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48638873/

第2弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48641278/


結局、どういうものが良いのか?についてですが、究極論としては用途と好みの問題です!というと、身も蓋もないので、VABでは比較的多いであろうスポーツ走行用途において書きます。

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横軸時間、縦軸が効き(制動力)で、狙いのブレーキ=ペダル踏力一定で踏んだと想定します。おそらく、Aが踏んだ分だけ効くコントロール性のよいパッドというのはイメージしやすいと思います。

しかしながら、前回書いたようにパッドの摩擦係数は温度依存性があることに加え、その他にも車速依存≒単位時間吸収エネルギー量や油圧依存性などもあり、一回の制動中に摩擦係数が一定になることはまずないです。

なので、大体のメーカーが摩擦係数をレンジで書いていたり、「平均摩擦係数」と表記しています。

一般的にですが、純正で採用されることが多いノンアスベスト材はBのイメージ、社外品でスポーツ走行向けとして出しているセミメタ材はCのイメージになる傾向があります。

ノンアスベスト材はマイルドで安定性は良いものの、踏み始めにガっと効くバイティングが弱く、耐熱性も低いのでスポーツ走行には不向き。セミメタ材は初期バイティングは良いものの、踏力一定でもビルドアップという効き込んでいく現象が起きがちで、制動後半で少し踏力抜いただけでカクっと制動力が抜けてしまう傾向になります。自分が過去使ったものだと、プロμのHC+がそんな感じでした。
(一方で、しっかり踏めない初心者には良く効く安心感とウケたりもしますが…)

Cタイプのもう一つのデメリットとして、最近の車には必ずついてる電子制御とのマッチングです。制御はオフにしてるという方でも、ABSまで切ってるという方は稀だと思います。ABSは4輪の車輪速センサー値から車体速度を演算して、どこかの車輪速が急に落ち込んで車体速度と乖離し始めるとロック判定して、油圧をリリース⇒乖離状態が回復したら再度加圧を繰り返します。

この時に、摩擦係数が高すぎたりビルドアップで変動するとガクガクして車両挙動を乱したり、時には油圧リリースが間に合わず瞬間ロックしたりします。
第1弾で書いたように、純正摩擦係数コードはFFが大半なので、上側を0.45あたりに抑えておくと制御の破綻も起きづらいと思います。

上記を踏まえると、「セミメタ材のバイティングと耐熱性を有していながらも、純正と大きく変わらない摩擦係数か少し低めで、ビルドアップも少なく安定しているモノ」が多くのユーザーにハマる可能性が高いと思います(ドライビングスタイルにもよるので絶対ではないです)


その辺りを特に意識してるのがエンドレスだと思います。

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※以前は公式HPに掲載されてましたが、今見たら見つからず…

絶対値が低ければ変動幅も小さくなるので、総じて摩擦係数が低めなことが分かると思います。

また、グラフは車速と摩擦係数を示していますが、車速=運動エネルギーなので温度依存性とほぼ同義です。車速は二乗で効いてくるので、3割速度が上がればエネルギーは69%増しですが、摩擦係数は概ね横走りで安定しているのが見て取れます。

街乗りでは50度~100度辺りを使うのでCCシリーズは扱いづらく、トータルで見て自分はCC-Rgを使っています。VAB定番のMX72PLUSもほぼ同値ですね。
他にも、プロμだとHC CS18などがカタログ上では似た傾向です。

最終的には好みの問題ですが、どういうのを選べばよいのか悩まれている方の一助になれば幸いです。ブレーキパッドのマニアックトリビアは以上です!
ご要望もあったので、次はローターについて書きます。

【ブレーキローターのマニアックトリビア】
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48645667/



おまけ
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↑ディクセルのZタイプのデータ。特に中速制動のところで青い線が上下に伸びていますが、これが一制動中に変動する摩擦係数の幅です。制動時間が長い10barの低油圧では0.41⇒0.64くらいまで変動しているので、踏力一定でも5割効きがビルドアップすることになります…
典型的なセミメタ系の特徴ですが、こういう特性は平均摩擦係数の数値だけ見ても分からないです。

<ブレーキローター編>
<ブレーキフルード編>

Posted at 2025/09/08 00:12:23 | コメント(2) | トラックバック(0) | クルマ

プロフィール

「[整備] #WRXSTI マニアックトリビアシリーズ https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/car/3404823/8387902/note.aspx
何シテル?   10/10 15:32
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