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徒花VABのブログ一覧

2025年10月04日 イイね!

ブレーキフルードのマニアックトリビア_3

ブレーキフルードのマニアックトリビア_3
超マニアックなお話しです。ヒマな方、ウンチク好きな方だけ推奨のシリーズです。
<第1弾>
<第2弾>

<ブレーキパッド編>
<ブレーキロータ編>

色々書いてきましたが、フルードの役割は圧力を伝えることです。前回ペダルタッチについても触れましたが、エアを噛んでいればすべて台無しになります。
厄介なのはパスカルの法則は系統すべてに関わるので、油圧経路のどこかにエアが潜んでいるだけで全体に影響を及ぼすところです。
ということで、今回は「究極のエア抜き」について書きたいと思います。

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ピストンシール部の詳細形状まで描かれている良素材をネットで見つけました。
上図のようにピストンシール溝部には隙間と面取りがされていて、その中でシールが「たわむ」ことにより押し出したピストンを戻す仕事をしています。
エア抜き時にペダリングをしますが、赤丸のところのフルードは循環しないのでココに古いフルードが残りがちなのと、エアが入ると非常に抜けづらいです。
(走行中のサスストロークの振動で出ていくこともありますが…)

ペダリングによるエア抜き作業時に、ピストン戻しなどで何度かバックさせてあげるとこの周辺の古いフルードと一緒に後ろに追い出されてエアを抜くことが可能です。一度もやったことがないクルマだと劣化したシールグリスなどと一緒に変色したフルードが出てくることが多いです。

お店では嫌がられて「そんなことしなくても大丈夫です」と諭されると思いますが、DIYでやられる方はそれほど手間ではないと思うのでオススメします。特にキャリパーOHした後にタッチが甘くなった場合はピストンシール裏のエアが抜けて直ることがあります。


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次に、DIYでやられる方は一人でエア抜き出来るようにワンウェイプラグを使っている方も多いかと思いますが、タッチが悪い場合は最後の仕上げは通常の2人作業によるエア抜きをオススメします。
ペダルを踏んで戻すときに、古いフルードが逆流しないようにワンウェイを使いますが、代わりに赤矢印のネジ部からエアを吸い込むことがあります。ブリーダーの緩め具合や個体差によって問題なかったり、人によっては封をするためにネジ部にグリスを塗る方もいるようですが、確実性にかける作業になりがちです。
全量交換するときにワンウェイ使って、ペダル連打で古いフルードを一気に抜くのはアリだと思いますが、個人的には最後の仕上げは2人作業でブリーダー開閉のエア抜きがオススメです。
※今まで問題なかったという方は、そのやり方で良いと思います


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それでも以前のタッチが元に戻らないという方には「脱気フルード」という飛び道具があります。
ピストンバックさせてもタッチが甘い以外に、エア抜き時にうっかりリザタンを空にしてしまったり、ブレーキホースを換える時にエアが上流まで回ってしまったりすると、ABSユニットの中は複雑な迷路とバルブがあるので中々抜けないことがあります。
それを気体が溶け込みやすい状態のフルードにより吸収してしまおうというのが、脱気フルードの使い方です。
もともとは、ハイブリッド車のバイワイヤブレーキの油圧回路が複雑な造りのエア抜き性改善のために用意されたものですが、普通車でももちろん使えます。

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大気を吸収したら意味ないので、このような小分けパッケージで製造から半年の賞味期限つきで供給されています。

溶け込みやすいフルードでエアを吸収するのが上記の手段ですが、溶け込みやすい状態にする=高圧状態を維持することによってもエアを吸収することができます。

具体的には、ブレーキペダルとシートの間に突っ張り棒などを入れて、加圧状態を保つことでエアを取り込んで、そのあとすぐにエア抜き作業して排出するというやり方です。すぐにやらないと、炭酸飲料から徐々に泡が出てくるように、大気圧環境下では再析出する可能性があります。
ブレーキランプでバッテリー上がりを防ぐために、セット後にバッテリー端子外しが必要です。
また油圧系統の負荷になるので、圧のかけ過ぎには注意必要。自己責任でm(__)m

S耐やラリーなどで持ち込んだ車両のタッチがイマイチの時に、セットして一晩放置して翌朝エア抜きみたいな使い方をします。

通常はここまでしなくて大丈夫ですが、マニアックトリビアとしてご紹介しておきます(笑)


Posted at 2025/10/04 14:18:21 | コメント(2) | トラックバック(0) | クルマ
2025年10月03日 イイね!

ブレーキフルードのマニアックトリビア_2

ブレーキフルードのマニアックトリビア_2
超マニアックなお話しです。ヒマな方、ウンチク好きな方だけ推奨のシリーズです。
<第1弾>

<ブレーキパッド編>
<ブレーキロータ編>

前回、むやみにレーシングフルードを使うリスクについて書きましたが、メリットがないかというと勿論そんなことはなく、高い沸点はココ一発!というときに安心に繋がります。

また、沸点以外のメリットとして「ペダルタッチの剛性感」があります。

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BB4は過去に自分も使ったことがありますが、確かに固めのペダルフィールになりカッチリ感を体感することができました。

ただ、動粘度で剛性感と紐づけるのはミスリードかなと思います(-_-;)
マスターシリンダーという注射器でフルードを押し出して、キャリパーのピストンを動かす仕組みなので、動粘度が高くなれば早踏みしたときに流路抵抗でペダルがスっと入らずにズブズブと時間経過とともに入ることになるので、剛性感どころかスポンジ感になるだけです。

そもそもDot5.1なら冷間時に動粘度が900cst程度あったものが、100℃で2cst程度になります。
日常的に数百cstの差を普段使っていて経験している中で、やっぱ朝一はペダルタッチが桁違いに固いなぁと感じる人はいないと思います(笑)
それが、100℃の動粘度が1~2cst違うだけで、剛性感が上がったと感じるほど有意差になるのは無理があるというのが分かるかと…

恐らくは非圧縮性流体といいつつ、何かしらの差を生む要因があるのだと予想しますが、そこは検証されたこともなくカタログにも表記されていないので読み解くことは不可能で、口コミをベースに試してみるしかないと思います。


ビリオンのBB4は過去に自分も長期使ったことがあり、特に錆などの不具合もなくタッチも良かったので悪くないと思います。HPにもライフサイクルについて言及しているので、相応の配慮がされた造りになっていそうです。

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その他には、IDIのフルードが高沸点かつ剛性感についても触れていて、みんカラなどでも評判が良いようです。長期使用の攻撃性にも言及していますし、-10℃以下環境では流動性能が規格外れになると書かれているので、都合よく解釈するとそれ以外のpHなどは考慮されている可能性もあります。

エンジンオイルなどと同じく、ケミカル製品は口コミや実績を信じて使わざるを得ないのがスッキリしませんが、サーキット走行ガチ勢の方々は試してみる価値があるかと思います。

そこまでガチガチに攻めないけどスポーツ走行したいという方は、レーシングフルードは「大は小を兼ねない」ので無難にDot5.1規格のものを使うことをオススメします。

<第3弾>


Posted at 2025/10/03 17:50:14 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2025年09月29日 イイね!

ブレーキフルードのマニアックトリビア

ブレーキフルードのマニアックトリビア超マニアックなお話しです。ヒマな方、ウンチク好きな方だけ推奨のシリーズです。

<ブレーキパッド編>
<ブレーキロータ編>

たまたま先日ネットで、う~ん…という情報発信をみかけたので、フルード編を書きます。

この記事を読んでいるような変態紳士の方々には当然の常識だと思いますが、
ブレーキフルードは定期交換油脂類として指定されています。

吸湿することにより沸点が下がるためですが、その水分の多くはリザーバタンクから取り込まれています。一見、密閉されているように見えるタンクのキャップですが、ブレーキの熱によりフルードは熱膨張するので、完全密閉だとタンク内圧が上昇=フルード圧がキャリパーピストンにかかって引き摺り状態になるため、圧抜きができるようにキャップには連通路があいています。

もちろん、水やゴミが入りづらいにように極少かつ迷路みたいな経路になっていますが、熱膨張と収縮を繰り返すたびに呼吸する形になり、大気中の水分を取り込んでいきます。

なので、リザタン周辺は濡らさないに越したことはないのですが、洗車するたびにビチャビチャになる我がVAB…いずれ何か対策しようと思っています。

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ディクセルのHPがフルードについてよくまとまっているので、こちらを読んでもらえばほぼ今回は終了ですが、少しだけ補足情報も入れながら書きます(笑)

昨今のクルマにおいてDot5は選択肢には入らないので割愛しますが、Dot3~5.1の数字が上がるにつれて性能も基本的には上がります。Dot5.1は吸湿性が高いから早く交換しないとNGみたいな情報をみかけますが、2年の車検毎に定期交換している限りでは「正規のDot5.1規格に則っているものであれば問題ない&Dot3/4よりも沸点も高い」ので余計な事考えずに入れてOKです。

最近、純正でもDot5.1を採用しているクルマが増えてきましたが、メンテナンス推奨期間が変わっていないのはそのためです。
自分はディーラーでも扱いがある、スバル用品設定のコレを使っています。

ややこしくしている原因が、「Dot5.1規格以上」とか沸点にのみフォーカスした表記の商品が多いためだと思います。商品説明もちゃんと読むと沸点はDot5.1規格を大きく上回るものの、Dot5.1規格からは外れている旨が記載されているのですが、あまり気にしない人が多いのかと想像します。中には「Dot5.1規格相当」と書かれていて一見分かりにくいものもあります。

では、高沸点フルードはDot規格から何が外れるかと言うと、低温動粘度か腐食性に影響するpHが高沸点性能と両立が難しくなり犠牲になることがあります。※ディクセルにも記載あり
https://www.dixcel.co.jp/literature/lid-266/

低温動粘度だけであれば、寒冷地で使わなければOKですが、規格から外れている以上はpHがどうなっているかは知るすべがありません。もちろん、メーカーも極端なことはしないと思いますが、HKSなどは入れっぱなしにしないように明確に注意喚起をしています。
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ここまで読むと、長期に大事に乗るつもりならばむやみにレーシングフルードを謳っているモノは使わない方が安全サイドなのが分かるかと思います。特にVABはクラッチのタンクとも共用なので、ブレーキに比べて交換頻度が低いクラッチ側に防錆が良くないものを入れ続けるリスクも考慮する必要があります。
もちろん、長期に渡って使っていても問題ないレーシングフルードもあるかと思います。それは商品説明からは読み取れないので、長期使用の実績や口コミ無しにチョイスするのはギャンブルになります。

そして、そもそも論になりますが、ドライ沸点が300℃オーバーのスペックがないとべーパーロックするような状態では、パッドもローターも適正温度はとうに超えています。キャリパーのゴムブーツは海苔のようにパリパリになって消失し、ピストンシールも熱劣化で弾性が失われてダメになります。
ブレーキホースも熱によって劣化するので、最悪かしめ部からホースが抜けてノーブレーキになる可能性もあります。

キャリパーにサーモラベルを貼って、「走行中(※)に200℃を超えてくる」ならば、ダクトによる冷却やクーリングラップを増やす、ローターサイズアップによるシステム性能UPする方をオススメします。
※アタック後にクーリング走行せずにピットイン停車すると簡単に超えてきます

<第2弾>
<第3弾>


Posted at 2025/09/29 17:48:36 | コメント(1) | トラックバック(0) | クルマ
2025年09月13日 イイね!

ブレーキローターのマニアックトリビア_3

ブレーキローターのマニアックトリビア_3定型文となりつつありますが、超マニアックなお話しです。ヒマな方、ウンチク好きな方だけ推奨のシリーズ第3弾です。

第1弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48645667/
第2弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48651166/

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ベンチレーテッドディスクなので、青矢印のところを冷却風が流れて冷やす構造ですが、赤点線のところがいかにも冷却性に悪さしそうというのは想像できると思います。でもコイツが熱倒れの抑制には必須だったりします、と前回書きました。

熱倒れという言葉はあまり耳にしないと思います。

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ブレーキをかけたときに発熱するのはパッドがあたるところだけですが、ハブとつながっている方は伝熱もするので、①のように温度差が発生します。
リング形状のものを熱すると外側に熱膨張しますが、この温度差とハブにつながっている部分の拘束で、②のようにリング部が傾きます。

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イメージとしてはシルクハットが「イエローハット」になる感じです(笑)
こうなるとピストン&パッドとローターが綺麗に当たらなくなるので、フィーリング悪化になるのは想像しやすいと思います。

それを緩和する手段が、最初の画像の赤点線の折り曲げです。
リングが熱膨張で外側に広がろうとするので、③のようにそれを阻害しにくくするジャバラのように「伸びしろ」を確保しています。といっても、強度を考慮すると本当のジャバラのようにはできなくV字で1回だけ折り返すのが限界なので、熱倒れの緩和になるもののサーキット走るような温度域では結構倒れます。

それをベルとリングの2部品に分割して激減させるのが2ピースローターの一番の狙い効果です。ローターを大径化すればするほど熱倒れ角度の影響がモロに出てくるので、純正でもスポーツモデルの大径ローターのものは、2ピース採用しているものが増えてきています。


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ベルとリングを直接ボルト締結すると意味がないので、ベルとリングはわずかにガタを持たせて赤矢印方向にはフリーにスライドできるようになっています。そのままだとカチャカチャ音がなるので、熱膨張は阻害しない程度に板バネでガタ分を押さえる構造になっています。この精度出しや組付け手間分がコストに跳ね返ってくるワケです…


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ホンダのシビックTYPE-Rのサイトに分かりやすい実例が掲載されていました。

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効果代はあくまで一例ですが、熱倒れの抑制は面が安定するので、サーキット走行時のフィーリング寄与度はかなり大きいです。
【公式サイト】
https://www.honda.co.jp/factbook/auto/CIVIC_TYPE_R/202010/P11.pdf


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エンドレスHP引用です。リング部のフィンも変わっているので純粋な2ピースの差ではありませんが、同じサイズで冷却性も向上可能。もう一つのメリットとして、リングの熱がベルには伝わりづらいのでハブベアリングの熱害ダメージ低減にもなります。

以上、しっかり走る人はきっと欲しくなる2ピースローターの巻でした。

<ブレーキパッド編>
<ブレーキフルード編>

Posted at 2025/09/13 11:33:01 | コメント(1) | トラックバック(0) | クルマ
2025年09月12日 イイね!

ブレーキローターのマニアックトリビア_2

ブレーキローターのマニアックトリビア_2何度も言いますが超マニアックなお話しです。ヒマな方、ウンチク好きな方だけ推奨のシリーズです。

ブレーキローターの第2弾です
第1弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48645667/

前回ローターの大径化はシステム性能の要で、大径化の手段の1つとして対向キャリパーがあると書きました。

VABは標準で対向なので、興味ない方はスルーしてください。

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↑対向
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↑浮動
対向と浮動の例ですが、浮動タイプはパッドを掴む「爪」の部分が加圧したときに強度を持たせる必要があるので、どうしてもローター外側に出っ張ります。

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対して、対向は上図の黄色部分で赤色と同等の断面積を確保して強度を確保できるので、青円と緑円の差の分だけ対向の方がホイールとの隙が有利になります。

その差は15mm程度とかですが、直径にすると30mm。ローターで30mmも大きくなると制動有効径が大きい分効きが上がるのと、冷却性向上で性能は明確に差が出ます。

もちろん、浮動より対向の方がレスポンスがよいとかのメリットもありますが、性能に対する寄与度はローター大径化の方が恩恵は大きいです。


では大径化にあたり、どういうローターがよいのか?に対しては、この記事読んでる方は予想がつくと思いますが2ピースローターです。

2ピースローターの利点は主に3つ
①ベル部がアルミ化できるので軽量化
②熱倒れの抑制
③冷却性向上

①は字面の通りですが、②③は通常のローターを理解するとなるほど!となります。

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何故かアマゾンにも掲載されてるVAB前期ローター図面(笑)

ベンチレーテッドディスクなので、青矢印のところを冷却風が流れて冷やす構造ですが、赤点線のところがいかにも冷却性に悪さしそうというのは想像できると思います。でもコイツが熱倒れの抑制には必須だったりします。

次回、きっとあなたも欲しくなる2ピースローター(笑)

https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48651973/



Posted at 2025/09/12 21:27:35 | コメント(1) | トラックバック(0) | クルマ

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