
マニアックトリビアの第2弾です。繰り返しですが、ヒマな人、ウンチク好きな人のみ推奨です(笑)
昨日の続きの内容です
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48638873/
パッドの摩擦係数は高いほどよいか?に対して書いていきます。

※図はAKEBONOブレーキHPからお借りしました
1トンを余裕で超える車を人間の足一本の力で止められるのは、ペダル比、倍力装置、キャリパーピストン径/マスターシリンダ径のパスカルの法則、制動有効径比などの掛け算をうまく使ってるおかげです。
摩擦係数0.4というのは、回転するロータに対して白刃取りのように垂直に掴む力の40%が回転を止める方向に作用していることになります。
これが高ければ、その分だけキャリパーピストンを小さくして軽く安くできたり、ペダル比を下げて踏み込むストローク量を少なくできます。
なので、物理的には摩擦係数が高いほど車としてはベターな方向になります。
では、なぜそうしないのか(できないのか)?
結論から言うと、パッド摩擦係数は面性状や温度に依存性があるため、パッドに頼ると制動力のバラつき振れ幅がとんでもないことになるからです。
パッド交換して当たりがついてないと効きが弱いとか、サーキット走って熱入るとヘタってきたなとか感じたことあると思いますが、アレで通常0.45くらいの摩擦係数が0.3チョイとかになったくらいです。
通常時0.7とかだったら振れ幅が大きすぎて怖いことになります。なので、システム全体の効きはメカニカルなところで担保して、パッド摩擦係数による寄与度は下げておいた方が安定性の高いブレーキシステムになります。
ブレーキサイズアップするとロータの放熱性も上がりますが、メカニカルな効きが上がる分、パッドの摩擦係数を下げることも出来るので、より安定性を高めることに繋がります。
そのため、パッドの摩擦係数が高いほどよいか?に対しては、「物理的にはYESですが現実的な性能としてはNO」で車ごとに最適値があります。その最適値は完全にバラバラではなく、車両のパッケージ上大体の相場があって、各社そのあたりに寄せた摩擦係数でラインナップしています。
結局どういうものが良いのか?については、長くなってきたのでまた次回に…
つづき↓
第3弾
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前回
第1弾
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Posted at 2025/09/06 23:07:33 | |
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