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徒花VABのブログ一覧

2025年09月08日 イイね!

ブレーキローターのマニアックトリビア

ブレーキローターのマニアックトリビアパッドにつづき、マニアックトリビアのローター編です。
パッドのウンチクとも絡むので、パッド編を先に読むことをオススメします。
【ブレーキパッドのマニアックトリビア】
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48638873/


ブレーキはキャリパー/ローター/パッドの組み合わせで、目が行くのはカラフルな対向キャリパー、ユーザーが換えやすいのはパッドで、ローターは地味な印象がありますが、スポーツ走行におけるブレーキシステムの限界を決めるのはローターです。

パッドの摩擦係数は温度依存性があることは前述のとおりなので、パッドが安定して仕事できる温度域をキープできない≒システムの限界となります。
耐熱性の高いセミメタ材でも、安定した効きを出せるのは600度程度で、それ以上は瞬間最大は耐えられても、定常的に使うと摩耗が著しく進んだり、キャリパーにもダメージが及びます。

ローター温度にも限界があって、鋳鉄でできているため700度超えた辺りからマルテンサイトという状態に時間とともに変態が進みます。この状態になると硬くて靭性が低いので、熱膨張と収縮で表面にヘアクラックが入るようになります。
自分は回し者ではありませんが(笑)、エンドレスのレーシングローターはその辺り含めてよく考慮されています。
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ブレーキは運動エネルギーを摩擦で熱エネルギーに変換するものですが、ローターの熱容量≒摺動部重量で運動エネルギーに対する温度上昇量が決まり、回転によりどのくらい放熱するかはローターのフィン形状と表面積で決まります。
また、ローター径によって制動有効径が変わり大きいほど良く効くため、パッドの摩擦係数も低くすることができます。
※扇風機の羽を指で止めるときに、中心よりも外周部で止めたほうが簡単と同義

上記の性能を最大限生かそうとすると、ローターの大径化が良いとなりますが、実車においてはホイール内径が制約となってくるため、サス形式や車両パッケージで限界が決まりがちです。

その制約の中で最大限にローター径を上げる手段が、実は対向キャリパーだったりします。えっ?と思った方もいらっしゃるかと思いますが、次回は制約の中でベターなものについて書きます。

【第2弾】
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48651166/


Posted at 2025/09/08 23:12:49 | コメント(2) | トラックバック(0) | クルマ
2025年09月07日 イイね!

ブレーキパッドのマニアックトリビア_3

ブレーキパッドのマニアックトリビア_3何度も言いますが超マニアックなお話しです。ヒマな方、ウンチク好きな方だけ推奨の第3弾です(笑)

第1弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48638873/

第2弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48641278/


結局、どういうものが良いのか?についてですが、究極論としては用途と好みの問題です!というと、身も蓋もないので、VABでは比較的多いであろうスポーツ走行用途において書きます。

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横軸時間、縦軸が効き(制動力)で、狙いのブレーキ=ペダル踏力一定で踏んだと想定します。おそらく、Aが踏んだ分だけ効くコントロール性のよいパッドというのはイメージしやすいと思います。

しかしながら、前回書いたようにパッドの摩擦係数は温度依存性があることに加え、その他にも車速依存≒単位時間吸収エネルギー量や油圧依存性などもあり、一回の制動中に摩擦係数が一定になることはまずないです。

なので、大体のメーカーが摩擦係数をレンジで書いていたり、「平均摩擦係数」と表記しています。

一般的にですが、純正で採用されることが多いノンアスベスト材はBのイメージ、社外品でスポーツ走行向けとして出しているセミメタ材はCのイメージになる傾向があります。

ノンアスベスト材はマイルドで安定性は良いものの、踏み始めにガっと効くバイティングが弱く、耐熱性も低いのでスポーツ走行には不向き。セミメタ材は初期バイティングは良いものの、踏力一定でもビルドアップという効き込んでいく現象が起きがちで、制動後半で少し踏力抜いただけでカクっと制動力が抜けてしまう傾向になります。自分が過去使ったものだと、プロμのHC+がそんな感じでした。
(一方で、しっかり踏めない初心者には良く効く安心感とウケたりもしますが…)

Cタイプのもう一つのデメリットとして、最近の車には必ずついてる電子制御とのマッチングです。制御はオフにしてるという方でも、ABSまで切ってるという方は稀だと思います。ABSは4輪の車輪速センサー値から車体速度を演算して、どこかの車輪速が急に落ち込んで車体速度と乖離し始めるとロック判定して、油圧をリリース⇒乖離状態が回復したら再度加圧を繰り返します。

この時に、摩擦係数が高すぎたりビルドアップで変動するとガクガクして車両挙動を乱したり、時には油圧リリースが間に合わず瞬間ロックしたりします。
第1弾で書いたように、純正摩擦係数コードはFFが大半なので、上側を0.45あたりに抑えておくと制御の破綻も起きづらいと思います。

上記を踏まえると、「セミメタ材のバイティングと耐熱性を有していながらも、純正と大きく変わらない摩擦係数か少し低めで、ビルドアップも少なく安定しているモノ」が多くのユーザーにハマる可能性が高いと思います(ドライビングスタイルにもよるので絶対ではないです)


その辺りを特に意識してるのがエンドレスだと思います。

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※以前は公式HPに掲載されてましたが、今見たら見つからず…

絶対値が低ければ変動幅も小さくなるので、総じて摩擦係数が低めなことが分かると思います。

また、グラフは車速と摩擦係数を示していますが、車速=運動エネルギーなので温度依存性とほぼ同義です。車速は二乗で効いてくるので、3割速度が上がればエネルギーは69%増しですが、摩擦係数は概ね横走りで安定しているのが見て取れます。

街乗りでは50度~100度辺りを使うのでCCシリーズは扱いづらく、トータルで見て自分はCC-Rgを使っています。VAB定番のMX72PLUSもほぼ同値ですね。
他にも、プロμだとHC CS18などがカタログ上では似た傾向です。

最終的には好みの問題ですが、どういうのを選べばよいのか悩まれている方の一助になれば幸いです。ブレーキパッドのマニアックトリビアは以上です!
ご要望もあったので、次はローターについて書きます。

【ブレーキローターのマニアックトリビア】
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48645667/



おまけ
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↑ディクセルのZタイプのデータ。特に中速制動のところで青い線が上下に伸びていますが、これが一制動中に変動する摩擦係数の幅です。制動時間が長い10barの低油圧では0.41⇒0.64くらいまで変動しているので、踏力一定でも5割効きがビルドアップすることになります…
典型的なセミメタ系の特徴ですが、こういう特性は平均摩擦係数の数値だけ見ても分からないです。

<ブレーキローター編>
<ブレーキフルード編>

Posted at 2025/09/08 00:12:23 | コメント(2) | トラックバック(0) | クルマ
2025年09月06日 イイね!

ブレーキパッドのマニアックトリビア_2

ブレーキパッドのマニアックトリビア_2マニアックトリビアの第2弾です。繰り返しですが、ヒマな人、ウンチク好きな人のみ推奨です(笑)

昨日の続きの内容です
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48638873/

パッドの摩擦係数は高いほどよいか?に対して書いていきます。

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※図はAKEBONOブレーキHPからお借りしました

1トンを余裕で超える車を人間の足一本の力で止められるのは、ペダル比、倍力装置、キャリパーピストン径/マスターシリンダ径のパスカルの法則、制動有効径比などの掛け算をうまく使ってるおかげです。

摩擦係数0.4というのは、回転するロータに対して白刃取りのように垂直に掴む力の40%が回転を止める方向に作用していることになります。

これが高ければ、その分だけキャリパーピストンを小さくして軽く安くできたり、ペダル比を下げて踏み込むストローク量を少なくできます。

なので、物理的には摩擦係数が高いほど車としてはベターな方向になります。


では、なぜそうしないのか(できないのか)?

結論から言うと、パッド摩擦係数は面性状や温度に依存性があるため、パッドに頼ると制動力のバラつき振れ幅がとんでもないことになるからです。

パッド交換して当たりがついてないと効きが弱いとか、サーキット走って熱入るとヘタってきたなとか感じたことあると思いますが、アレで通常0.45くらいの摩擦係数が0.3チョイとかになったくらいです。

通常時0.7とかだったら振れ幅が大きすぎて怖いことになります。なので、システム全体の効きはメカニカルなところで担保して、パッド摩擦係数による寄与度は下げておいた方が安定性の高いブレーキシステムになります。

ブレーキサイズアップするとロータの放熱性も上がりますが、メカニカルな効きが上がる分、パッドの摩擦係数を下げることも出来るので、より安定性を高めることに繋がります。

そのため、パッドの摩擦係数が高いほどよいか?に対しては、「物理的にはYESですが現実的な性能としてはNO」で車ごとに最適値があります。その最適値は完全にバラバラではなく、車両のパッケージ上大体の相場があって、各社そのあたりに寄せた摩擦係数でラインナップしています。

結局どういうものが良いのか?については、長くなってきたのでまた次回に…

つづき↓
第3弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48644043/

前回
第1弾
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48638873/

Posted at 2025/09/06 23:07:33 | コメント(2) | トラックバック(0) | クルマ
2025年09月05日 イイね!

ブレーキパッドのマニアックトリビア

ブレーキパッドのマニアックトリビア超マニアックなお話しです。ヒマな方、ウンチク好きな方だけ推奨です(笑)

とあるオープンチャットで純正から社外ブレーキパッドに交換した方が、効きが悪くなったとのこと。

考えられるのはまだ当たりがついてないだけというケース、
またはそもそも純正より効きが低いパッドのケース。

社外品はメジャーなところだと、摩擦係数と使用温度域が書かれていますが、
その数字だけ見ても今ついている純正に比べてどうなのかは普通分からないです。

が、実は純正品はAMECAという北米の認証機関に届け出をする際に、
摩擦係数のクラスも合わせて申請して、それを部品に刻印しています。

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※みんともさんから写真お借りしましたm(__)m
赤丸の所が摩擦係数を表すコードで、左側が常温、右側が高温を示しています。

 D:0.15~0.25
 E:0.25~0.35
 F:0.35~0.45
 G:0.45~0.55
 H:0.55以上

写真のVAB後期は純正でロースチ材を採用していてコードも「GG」なので、
ワインディングなど楽しむには十分なスペックだと分かります。
ただし、「高温」といっても400度以下の温度域なので走り方次第では
800度にもなるサーキットでの性能保証はされてませんのでご注意を。

ちなみに多くの日系メーカー純正品はダスト汚れ、錆貼り付き、鳴き等の背反から
「FF」以下程度のマイルドなものがほとんどです。
摩擦係数だけでパッド性能は語れませんが、判断の一助にはなると思います。

黄丸のところのアルファベットは銅規制対応と数字は製造年を示しています。

 A:銅含有量 5%以上
 B:銅含有量 0.5~5%
 N:銅含有量 0.5%以下

銅はブレーキパッドにとっては魔法の材料で、パッド自体の強度や熱拡散性など高負荷に耐えるためには重要な材料です。

なぜ銅にフォーカスしているかというと、過去に足尾銅山鉱毒事件があったように
銅は環境負荷物質に該当するため、近年北米で規制が始まり順次追従対応するものが増えてきています。
※同様に過去禁止になったのがアスベスト

銅だけで性能は決まりませんが、純正で銅規制が「A」で摩擦係数が「FF」以上のロースチ材であれば、それなりに遊べるスペックだと思います。
(35GTRやRCF/GSFなど)

ちなみに現状は銅規制は純正品にのみ適用されるため、社外品は対象外で銅が見てわかるくらいキラキラしたものが入ってることが多いです。

長くなったので、高ければよいでもない摩擦係数に関するウンチクはまた次回に…

つづき↓
第2弾
Posted at 2025/09/06 00:24:34 | コメント(1) | トラックバック(0) | クルマ
2025年08月14日 イイね!

多層フラーレン二硫化タングステン 検証シリーズ2

最近になってブームなのか🤔、多層フラーレン二硫化タングステンの定量検証が出ましたね。

実使用と試験環境は違いますが、実車走行で熱が入っても変質する類ではないと思うので良さげです✨

これからもT-boostは継続使用してみようかと思います。

https://youtu.be/5Brlrugvo3Q?si=XQmrH1KfGLiJHsjt

〈多層フラーレン二硫化タングステン検証シリーズ〉
https://minkara.carview.co.jp/userid/3524564/blog/48569430/
Posted at 2025/08/14 10:30:26 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

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