2026年01月11日
サスペンション周りのセッティングは、バネレートから減衰力、伸びストローク、縮みストロークと色々あって、悩まれてる方も多そうなので、持論を展開させていただきます。
1 バネレートの決定
1-1 タイヤのグリップのついて
バネレートを決定するには、タイヤのグリップレベルの決定が必要です。タイヤのグリップによって、狙うべきバネ上固有振動数(後述)の数値が決まります。
例えば、
セカンドラジアルなら1.5Hzから1.8Hz
ZⅢやR1Rくらいのハイグリップタイヤなら1.8Hzから2.5Hzぐらい
Sタイヤやスリックタイヤでは2.5Hzから3.0Hzくらい
といったイメージで、バネ上固有振動数がある程度は定まります。(コースや車両や好みで変わりますが⋯。)
1-2 バネ上固有振動数について
バネレートは車種が異なると比較できません。バネの縮み量は「バネ上重量×レバレート/バネレート」となります。
同じ10kgf/mmのバネでも、車重が違ったり、レバレートが違ったりすると、バネの縮む大きさは、全く異なる結果になり、印象も全く違うはずです。
そこで、車重やレバレートを含めて、サスペンションの固さを表すものとして、バネ上固有振動数(Hz)があります。
バネ上固有振動数は大きいほどサスペンションは固く、バネ上固有振動数は、異なる車でも比較することができます。
計算式は長くなるので省略します。Web上に変換してくれるページがありますので、そういうのを使いましょうw
1-3 バネ上固有振動数とバネレート
NDロードスターを例に取ると、
1.8HzだとF6kgf/mm、R4kgf/mm前後、
2.5HzだとF12kgf/mm、R8kgf/mm前後
かと思います。(バネ下重量をどれだけ含めるかで数値も変動します)
つまり、使うタイヤで望ましいバネ上固有振動数が決まり、それでバネレートはだいたい決まることになります。
2 減衰力の設定
バネレートが決まれば、アブソーバーに必要な減衰力がだいたい定まります。詳しくないので、知ったら情報追加しますw
好みも大きいし、コースにもよるはずなので、走りながら調整すべきだと思います。
最近の32段は調整が大変ですが、中間→最弱→最強で、減衰力を弱めにするか強めにするか決めます。
強めにすると決めたら、24段(中間)で試して、そこから弱めるか、強めるか決めて⋯を繰り返す形でセッティングすると分かりやすいかもしれません。
個人的には減衰力最強や最弱のフィーリングが良いとかってセッティングになるようなら、バネレートとアブソーバーの設定が不適切だと思います。
3 伸びストロークと縮みストローク
3-1 伸びストロークとは何か
ジャッキアップした状態(0G)でサスペンションが最大に伸びた状態から乗車した状態(1G)でアブソーバーが縮んだ部分です。
この部分がアブソーバーの伸びしろ(伸びストローク)となります。
3-2 縮みストロークとは何か
乗車した状態(1G)からさらにサスペンションを縮められる量で、ブレーキを踏んだりしたときに、バンプラバー等にあたる位置までです。
3-3 伸びストロークと縮みストロークの関係
乗車状態を基準に、アブソーバーが伸び切るまでが伸びストローク、アブソーバーが縮み切るまでが縮みストロークになります。
ということは、伸びストロークと縮みストロークを足したら、アブソーバーが伸び切るまでと縮み切るまでなので、全体のストロークになりますね。
例えば100mmの全体ストロークがあって、縮みストロークに50mm必要ならば、伸びストロークは50mm確保できる形です。
逆に全体ストロークはアブソーバーで決定されるので、伸びストロークを決定すれば、自動的に縮みストロークが決まります。
3-4 伸びストロークの計算
先ほどのNDロードスターのフロントサスペンション(固有振動数1.8Hz、F6.0kgf/mm)を例にします。
NDロードスターの一輪荷重は250kg、フロントレバレートは1.4付近のため、
250×1.4/6.0 = 58.3mmが伸びストロークです。つまり、41.7mmが縮みストロークになります。
3-5 縮みストロークの評価
先ほどの縮みストローク41.7mmの耐荷重を計算すると、
41.7×6.0/1.4=178.7(kgf)となりますので、追加で1G(250kgf)が入ったら余裕で底付きします。どれくらい追加のGを見込むかは、各社のノウハウもありそうなんで数字は控えますが⋯、追加で1G耐えられないのは誰が見てもやばいなと思えると思います。
なので何の対策もなければ、このサスペンションは破綻することになります。サーキットでカーブを曲がったら、外側のフロントサスペンションはほとんど棒みたいな状態でしょうw
4 縮みストロークの修正(プリロード)
ここでスプリングを0G状態で縮めて組みましょう(プリロード)。プリロードをかけるとスプリングは、予め縮められ、外側に伸びようとしている状態になるので、この伸びる力を上回る負荷を受けるまでは、スプリングは縮まなくなります。(Youtubeとかの動画参照したほうが分かりやすそうw)
先ほどの縮み側の耐荷重目標を2Gとしたら、あと71.3kgfの耐荷重が欲しいので、スプリングを12mmほど縮めて組むと、耐荷重はクリアできます。
ただし、71.3kgf以下では一切縮まないサスペンションになるため、伸びストロークはその分(12mm)少なくなります。
その結果、擬似的に伸びストロークが縮みストロークに12mm割り振られた形となっていて、ストローク量全体は100mmから変更ありません。
つまり、プリロードとは、バネレートが低く、耐荷重が不安な場合に、伸びストロークと縮みストロークに割り振りなおす方法となります。
5 伸びストロークの修正(ヘルパースプリング)
5-1 固い車の計算
NDロードスター(2.5Hz、12kgf/mm)の伸びストローク同様に計算すると、29mmとなり、縮みストロークは71mmとなりますので、耐荷重は608kgfとなります。
つまり、乗車状態からさらに2Gの入力があっても、底づきしないといことです。
耐荷重的には余裕かなと思いますが、伸びストロークが29mmと短く、ブレーキの際に、リアアブソーバーが伸び切ってしまう可能性もあります。
この場合、4とは逆に、縮みストロークを伸びストロークに割り振りたいですね。
5-2 ヘルパースプリング
仮に4と同様に目標耐荷重を自重+1Gとすると、耐荷重は250kgfで、縮みストロークは15mmで十分な計算となります。それ以外はすべて伸びストロークに入れてあげることができます。
伸びストロークとは、ジャッキアップ状態(0G)から乗車状態(1G)の際に縮む量のため、そのときにたくさん縮めば良いことになります。
0Gでバネを遊ばせると簡単ですが、公道走行不可になるので、遊ばない程度の柔らかくて長いバネを、メインスプリングの上か下に追加します。
これによって、伸びストロークを85mmまで伸ばすことができます。
つまり、ヘルパースプリング(またはバネ遊び)では、縮みストロークを伸びストロークに割り振りなおすことができます。
6 まとめ
サスペンションに好みがあるのは当然として、走ることを考えるとある程度答えは絞られてきます。
走るタイヤを決め、固有振動数を参考に、バネレートを決定します。
バネレートが決定したら、伸びストローク/縮みストロークのバランスをプリロードやヘルパースプリングで調整します。
減衰はコースに合うように合わせてくださいw
これだけでサスペンションは調整できます!
7 プリロードに関する誤解
バネレートが一定の理想的なバネでは、バネレートが変わらないので、プリロードを入れたからといってバネが固くなることはあり得ません。
低い入力のときにサスペンションが動かなくなるので、体感固くなるかもしれません。
ただし、現実のバネは、バネレートが一定ではない(縮み始めはレートが低い)ものが多いので、そういうものだとプリロードでバネの縮み始め部分を使わなくなった結果、運転しているときのバネレートが上がる可能性があります。
そういった場合は、プリロードを固めるより、バネレートが安定したものに変えたほうがいいと思いますけどね⋯。プリロードを強くすると、結局ストロークのバランスが崩れることになりますので⋯。
変な情報が溢れかえっていることが多いので⋯、参考になれば幸いです。
★今回耐荷重を自重+1Gで計算しましたが、これだとほぼほぼ底付きします。底付きしない良い数値はご自身で考えてみて、計算してください!
Posted at 2026/01/11 02:53:26 | |
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2023年09月17日
悩んでるなら買うべき。そんなに尖った車じゃないし、たぶん思ってるより楽しい。
Posted at 2023/09/17 18:15:28 | | クルマレビュー