
カーデザインの現場では、実際に、不思議な事が幾つかあるような気がしますが、重要な部品にも拘わらず、意外に違うルートから現れるものが幾らかあるようで、私が経験したこととしては、インテリアではシート、エクステリアではライト関係が印象的でした。
シートはその造りから、製造は基本的に専門的なメーカーが担当しますが、案外、インテリアのトータルイメージと構造的には、リンクしていないような気がしますね。つまり、乗車する人と、その固定される場所が、あまり空間的にリンクしていない状況で開発が進んでしまう傾向があるように思えます。
インパネのデザインをしているときに、インパネやセンターコンソールやドアトリムはリンクしているのに、シートの存在が希薄というか、実際に、デザインされたシートに座ってインパネをイメージするというシーンが稀有だったように思います。開発は同時並行的に行われますから、それぞれが個別に進められるのは効率的には必須なのですが、切り離されて開発されている印象が強かったです。
エクステリアで印象的だったのは、ライト関係で、ヘッドライトもテールライトも、これまた独自の開発プロセスになっているような印象が強かったですね。基本大手部品メーカーが初期段階から開発に関与してきますが、安全保安的というか法的な縛りも多いこれらの部品は、機能テストとデザイン開発が並行して行われている印象があって、製造の面、コスト面、技術面など、かなり専門的だったのを覚えています。
今日では、国際的な大手部品メーカーが寡占状態になっており、恐らく、日本車とかドイツ車とか、ドメスティックな枠を超えて、デザイン的な独自性は薄れ、類似性とかが滲み出てきてしまうこともあるのではないかと想像しますね。
ティーダの口コミに多いものとして、テールライトのライトバルブの交換がしにくい(ハウジングが外しにくい)というのがありますけど、その背景にデザインプロセスのそういった背景が織り交じってしまっているのかなあって、想像したりしちゃいます。
ティーダはデザイン的には、共通プラットフォームの縛りがあったり、オーソドックスなハッチバックというコンセプトで造られた印象があるなかで、部分的にデザイナーが頑張ってしまった個所かも知れません。(組付け方向に影響大の、あのとんがり具合は・・)
もっとも、今日、整備性を重要視して物事を設計するというのは、コスト面からは犠牲になる傾向が強く、そういう一面もあるのでしょう。
恐らく設計現場では、ネジを減らたら ヒーローです。
嵌め込みばかりの構造が増えましたよね。
インパネの中央カバーを外す方向が斜めというのを、youtubeで元日産整備士の方が話題にしていましたが、金型抜き方向を斜めにすることによって、コスト的に何らかの合理性があったのでしょうね。とか、想像しちゃいます。
ところで、私個人は、あまりに 仕事の中で、「あれはどうしよう、これはどうなるんだ?」と考えすぎて、脳が疲労していたので、私生活はノーマル派といいますか、あまり細部は気にならないユーザーです。
(サーフェスの雰囲気だけには、好みが出ちゃいますが・・)
Posted at 2023/10/24 20:06:41 | |
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