
我々が「どの位馬力が出ているのか」と考えた場合、カタログ数値を参考にする。カタログに記載されている値は所謂ネット値と呼ばれJIS規格に定められた方法で取得した値となる。
JIS規格ではエンジンを稼働させるのに必要な補器類は装着し、一定の条件で測定となる。詳細はJIS規格 D 1001-1993 を参照のこと。
実際にユーザーが馬力測定をする場合、様々な方法がある。
ローラー式、車軸式、最近ではGPS測位をつかったアプリまで。
一般的にはローラー式の方がカタログに近く、車軸式は辛くでると言われている。
しかし、両者の測定方法は正しいのかは殆ど検証されていない。
ローラー式はスリップロスがあるし、車軸式は駆動系のロスを考慮していない。
(車軸式はTCFによる一律補正が一般的だが、補正値の根拠なし。ほぼ同条件でローラー式と比較してはいるだろうが・・・)
ヒロタエンジニアリング様では、なんと個人で車軸式のDynapackを導入されている。しかも測定の仕方はJIS規格に沿うように、様々なデータを補正しながら値を取得している。
詳細は下記LINKの動画を参照してほしい。
YouTube:https://www.youtube.com/@user-HirotaEngineering
みんカラ:https://minkara.carview.co.jp/userid/377010/blog/
今回これらの動画を観て、すぐに測定の依頼をした。
エンジンの状態を把握するにはこれが一番だし、何よりも正確なのが理由。
実際に測定場所に赴き、ヒロタエンジニアリング様にお会いしてきました。
本当にエンジン大好き人間というのがよくわかり、人柄が良い印象!
諸々セットアップした状態がタイトル画像。
リヤタイヤを外し、装置を車軸と締結。この状態で馬力を測定する。
車軸にダイナパック用の部品と取り付けた図
有色クロメートが美しい。
ちなみに馬力測定にあたり、E46M3ではDyno revというのがある。
デフォルト状態では前後輪に回転差があった場合、6,500rpm位で頭打ちとなる。
これに対してはECUWorxから出ているツールを使用し8,100rpmに設定した。
みんカラのSnipeRR様の記事が非常に参考になる。
https://minkara.carview.co.jp/userid/2495135/car/2032236/5274224/note.aspx#koko
また「E46 M3 Dyno mode」でググると、ソフトを使わない解除方法もある。
今回は1,200rpmから400rpm刻みでデータを取得した。高回転側は刻みを細かくしたところもある。
測定は各回転毎に定常状態(これ超重要)を10秒程維持して値を取得している。
この時に吸気温度、気圧、室温、湿度等も取得している。
また、駆動系の引き摺り抵抗も考慮している。
4,000rpm付近からWOT時の音、いや、音圧が凄い!
内心「壊れないでくれよぉ!」と祈っていた。結果的には何も壊れず。
測定の結果は下図の通り。緑がカタログ曲線、赤が実測値。
カタログスペック:343ps@7,900rpm 37.2kgf-m@4,900rpm
実測値 :313ps@7,200rpm 38.2kgf-m@4,400rpm
となった。測定中トルクがカタログスペックを超えていて、まさか馬力も超えるか?とおもったが、世の中甘くない、30ps下回った。(とわいえ高出力)
特にトルクは4L並みのトルクが出ており、本当にびっくり!
馬力は5,000回転以降伸び悩んでいる。2速で引っ張ると上が伸びていないと感じていたが、それがデータとしても現れた。連続可変バルブタイミング機構の動作確認をして、EvolveのRemapをしてリベンジしたい!
ヒロタエンジニアリング様、測定ありがとうございました!
◆◆◆PR事項
ヒロタエンジニアリング様では、Dynapackを用いた測定を絶賛受付中です。
測定にあたり、2WDが原則となります。(4WDの場合は2WDモードがあればOK)Youtubeやみんカラの連絡先から問い合わせてみてください!
Posted at 2024/09/24 00:51:42 | |
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