
マセラティビトゥルボ系の思い出として、30年ほど前に“とある” クローズドコース(首都高横浜線に似ているのでC1よりスピードレンジ高め)で、友人のルノー アルピーヌv6ターボと、私のマセラティ430(AT)で走っていたときのことです。
もちろん430なんてスポーツカーでも何でもないので、友人とも遊び半分に飛ばしてました。
スペック的に430は225馬力、アルピーヌv6ターボは185馬力、車重やら空力やらミッションやら、とにかく馬力だけでは語れるものではないことは当然として、さらにイタリアとフランスの 特に当時のスペック表記なんて信じられるものではないことも当然として、それでもまあその2台はそれなりに似たようなレベルなのだろうと思ってました。
ただ直前で前を行くアルピーヌv6ターボは軽々と200キロオーバーして まだ加速していきます。私はそれを追って430のアクセルを全開にしていきます。しかし180キロあたりから一気に加速が鈍ります。ジリジリとアルピーヌv6ターボに離されていってしまいます。
一応馬力では40馬力のアドバンテージがある “はず” なのですが、これがスポーツカーと訳のわからないビトゥルボ系の差なのかと感じつつ、緩やかな左コーナーに入っていきました。
アルピーヌv6ターボは車速を落とすこともなく気持ち良く曲がっていきます。私も200キロに届かない程度の速度で緩やかなコーナーに侵入していきます。
タイヤのグリップを感じつつ、アクセルは一定にしてコーナーをクリアしていきました。しかしその途中でデトマソ時代のビトゥルボが牙を剥いてきました。
「スー」っとテールがスピンモードに入っていくのです。
タイヤのグリップが失われたとかなら理解できますが、アクセルは一定の上にグリップは感じたままで テールがスーっと “巻いて” いきました。
「うおっ!」と思ってアクセルはそのままか多少踏んで、カウンターを当てました。
スルスルスルっとまた車体が元に戻ってきて、そのころコーナーが終わって 再び直前になりました。
事なきを得たのですが、この挙動が全くもって意味不明です。「これが “デンジャーデフ” と呼ばれる所以か」と納得したのですが、これなのですかね、未だに私には分かりません。
この体験で分かったことは
⚫︎マセラティビトゥルボ系はスポーツカーでない
⚫︎マセラティビトゥルボにはATが似合う
⚫︎マセラティビトゥルボで飛ばしてはいけない
⚫︎マセラティビトゥルボはちゃんと作られてない
⚫︎マセラティビトゥルボを信じてはいけない
このあたりでしょうか。
自分でマセラティレーシングに乗っていて、それはATではなくMT(ATの設定がない)だし、そもそも初期のビトゥルボはMTのみじゃないかと言われてしまうかもしれませんが、あくまでも私の見解としてだけのことですが、そんなことはどうでもよくて、ビトゥルボ系はATで中低速の加速だけ楽しんで、コーナーや高速域で走らせるものではないと結論づけました。
確かに2.8のSOHCにトルコンATの相性は良いと感じます。
ではさらに2.8のDOHCはどうなのだと言えば、確かに高回転まで馬力がついてくるようになったので、高回転域で失速するSOHCとは違って感じるエンジンになりました。
しかしそれでスポーツカーのエンジンなのかと言えば、個人的には結局同じ系譜というか同じフィールのエンジンなので、やはりATの方が似合うなと感じてます。
では2Lはどうなのだといえば、2LはDOHCしか乗ったことがないのですが(SOHCがあるのかどうか知りません)、低速トルクが薄いので運転するにあってMTの方がエンジン的には楽かなと思いますが、それ以外は同じであるならば 結局のところATの方が良いのだろうなと思います。
さらにシャマルはどうなのだとなりますが、確かにあれは低速トルクもモリモリで高回転でも馬力が出てます。しかし問題はレンジャーデフ(デンジャーデフ)とトラクションの低さがありまして、本来ならMTだ ATだの前に直さなくてはならない所があるとは思いますが、“作ってしまった感” が強い車であるので、どちらでもいいのだろうなと思う反面、MTの方が雰囲気に合うのだろうというのが結論です。相変わらずマトモな車ではないと言えるのかもしれません。
ただ私もマセラティレーシングのMTに乗り続けてますし、それはどうなのかと言われると、MTであっても少しはマトモに走る(スポーツカーとまではいかないまでも)ように改造し続けて楽しんでいるという状態なので、まさに盆栽をコツコツと弄っているようなものなわけです。
単純に似合う似合わないという観点であれば、やはり ATが似合うのでしょうね。
ギブリの途中から いわゆるフェラーリデフになりましたが、レンジャーデフとは全く違いましてデンジャーではなくなったと思いますが、だから飛ばして最終的な挙動を “どうのこうの” 語るような車でないことは変わりません。
カップとかレースしてるモデルもあるじゃないかと言えますが、当時のことを調べて出てくる情報をそのまま信じるほどウブではないので、あえて言えばカップとして市販している車は あくまでも販売用ですので、結論は変わらずにATが似合うと思います。
ただあくまでもそれもどうでもよくて、MTが乗りたければ乗るべきですし、それが速く走れなくても挙動が変でもどうでもいいことだと思います。面白ければいいですしね。
それでも最近の「ネオクラ 何でもMTなら高評価」という風潮は好きになれませんし、ビトゥルボ系のATは素晴らしいのだと知っているということで、MTだけが評価されてしまうことは違うかなと思うという話しでした。
Posted at 2025/10/19 09:59:54 | |
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