ふとしたキッカケから物書きに目覚め、商業作家並みの早筆で
文量を書き上げすっかり有頂天。これは受賞マチガイナシと
とらぬ狸の皮算用。賞金が収まる財布を作らねばと
人智を尽くして天命を待つが如し、願いを込めて長財布を作りました。
結果。
箸にも棒にも掛からず、目的の額は入りませんでしたが
舞い込んだお札が出ていかない良い財布と、人が読んで楽しめ
且つ読みやすい文章を紡ぐスキルは手に入ったような気がします。
と、マクラはこれくらいに、良い革が安価で手に入ったので拵えたのがこの財布です。
ブライドルレザーとは、イギリスの貴族が主に馬具に使用したのが始まりのようで
雨や泥に濡れても容易に型くずれしないように鞣しの段階で天然ロウや天然オイルをブレンドした
グリースと呼ばれる油脂を多分に含ませたレザーで、全体に張りがあり固く
表面にブルームと呼ばれるロウが滲み出て固まった白い粉雪が舞うのが特徴です。英セドウィック社という名工タンナーの鞣した革が有名です。
コレ、カビじゃないですよ?
とはいえ、全てブライドルで作ると硬すぎてお金の出しづらい実用性のないものになって
しまいますので、内装はヌメ革で一般的な仕様で縫っていきます。
開いた左右にカード入れ。その裏に札入れとファスナー閉じの小銭入れ
ファスナータブを牛角に替え、内装の洒落っ気は最小限にとどめます。
普段遣いじゃないので、カード類と札入れならばこの容量があれば
普段使いの財布に普段使わないカード類を無駄に入れずに済みますね。
ひとまず手元にあったカード類を挿入し、型を出しておきます。
内装が仕上がったのでブライドルの表革の制作です。ひとまず切り出したものの、この張り...
型付けに縛りつつ、同じく黒系のブライドルで装飾補強を縫います
切り出したハギレで、ウォレットチェーン用のハンドル装飾を作り
縫い付けます。
全体のイメージを掴むため、髪留めゴムのコンチョをあてがい様子見
オモテ
ウラ
と、ココで表革のあまりの重厚さに、開き辛く札入れに支障が出そうなので
内装を解いて手直し...マチを追加して手前に開くように。
折面を飾り抜きしたホールに薄手のホワイトパイソンをインロウとして縫い付け、開閉の抵抗を減らしました。
完成が見えてきたので味変。
同色のウォレットロープをベルトに止めるベルトループを制作
財布に負けないくらい重厚です。
外周を縫い付けひとまず完成。
この後、コバ磨きなど仕上げ作業に入りますが
ココで傷を入れてしまうと全て台無しなのでプレッシャーに負けそうになります。
で、負けました。
ひとまずビーズ細工で飾り紐を作って精神の安定を図ります。
押しの強さに負けないようにとガラスビーズと銀のフェザーチャームなど付けた結果重くなりました...
表革、内装を外周糸一本で縫い閉じて完成です。
予想以上に固くなってしまった開きは、追加のマチでここまで開くように。
最後に製作時取れてしまったブルームを塩原レザーさんのブルームワックスを塗布して仕上げました。

Posted at 2025/04/05 06:50:56 | |
トラックバック(0) |
レザークラフト | 日記