御嶽スキー場再復興プロジェクト|降雪強化でゲレンデをもっと楽しく
"スキー場のバックヤード“圧雪体験ゲレンデクルーズ”
クラウドファンディング リターンの受け取りです。

日中は一日券で滑走しました。
高速リフトは 16時で営業終了。

2時間ほど時間があるので、荷物整理、入浴、夕食を採りました(写真は夜弁)。

入浴施設ざぶん が無くなった後、三笠の湯が作られました。入浴料は 600円。
ONTAKE2240 の頃、一日券を 5500円で購入すると、食事券(バイキング) 1回、入浴 1回(ざぶん)が付いてくるユニークな料金形態でした。その頃が懐かしい。

三笠の湯、ざぶんより小さくなったそうですが、十分だと思う。

時刻が近づいて来たのでセンターハウス、チケット売り場隣の事務所に行く。
圧雪作業中の圧雪車に連絡をとってもらい、待つこと数分。圧雪車が迎えにやって来ました。

車中泊/従業員さんの見送りで出発。
窓が広く張ってあり、とても視界が良いです。寒いかもと思ってスキーの服装で来ましたが杞憂でした。圧雪車のキャビン内は暖房が効いていて暖かいです。

1時間のゲレンデナイトクルーズ、目指すは山頂。
圧雪作業は、降雪がある時は24時頃から、なければ 19時又は 20時頃から圧雪するのだそうです。
理由を聞いてみたところ、砕いた後、固まるまで時間がかかる・・・砕いた直後は柔らかいから・・なのだそうです。それで朝ではなく夜間に行う・・・初めて知りました。
期間中はずっと泊まり込みで仕事を続けられているのだそうです。大変な仕事だ。
デイ営業の後、ナイター営業前に圧雪作業を行うゲレンデは、本当の意味での圧雪ではなく、整地の意味合いが強い事になる。

良く来られるんですか?のと質問され、これは Yes と自信をもって答える。
ここ御嶽と開田高原マイア、野麦峠が私のメイン。
コースの話題になり、チャンピオンは本日から開設されたと知りました。
御嶽スキー場(旧 : ONTAKE2240) は山頂に向けて拡大し、山麓の方が縮小した経緯があります。昔あったリフトは撤去されていて、センターハウス前に戻るバス(バン)?が迎えに来る形式になります。滑走できる人数には定員があり、恐らくは迎えの乗り物の定員数だと思われます。
チャンピオンは非圧雪。難易度はとても高いとの事です。
圧雪車の燃料は軽油。排気量は 8900[cc] 燃費は1時間当たり、作業負荷により変動するが 16~20[L]との事でした。
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参考までに・・・
ハイエース(2490[cc])で出張に行った時の事。
958[km]移動して 93[L]の三号軽油を消費しました。
燃費で言うと 10.3[km/L]、時間にして11.37[h] だったので、時間換算すると 8.18[h/L]
ちなみに私のトレジア(1496[cc])ではレギュラーガソリンで、山道/高速で 16[km/L]、慣れた道の好条件で 20[km/h] 程度の燃費です。
時間換算すると 5.44[h/L]~2.15[h/L] となる。用途が違うので比較できないな...。
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冬の間は操縦者はずっとこの仕事をしていて、夏は設備整備、草刈りをされてるとの事です。
スキー場で働く人全てがそうではなく、・・・営業中のスキー場は季節雇用が多い、社員は10人程度。・・・なるほど、どのスキー場も冬を前にしてリフト券早割を盛んに売り出すのはそういった事情があったわけだ。
季節雇用では農家、ゴルフ場、森林組合、派遣など、・・・。
本来スキー場は、農家の冬場の雇用対策である。そういう意味では赤字スキー場への補助金支給は悪い事とも言えない。冬に収入減がない職業の人にただ生活費を支給するよりは良いと思う。それを上回る赤字では問題であるが...。

圧雪車の操縦は、車輛自身の運転はハンドルで車輛の前後旋回を、他にブレードとスノーミルの操作を行う。
前方のブレード/後方のスノーミル
ブレードで雪を運搬、荒れの削り、整地
ミルで細かく砕いて一番後ろのゴムのイニシャーで波状にします。
砕いたそのままだと雪が締まらないらしい。

波にしている理由を聞いてみると、ピッタリ平らにしないのは、なかなかできないからなのだそうです。

数日前からかなりの降雪があったようですが、その前は10日くらい降雪数無く、バーンがカチカチだったらしい。
なるほど、先週の野麦峠スキー場でのバーンの状態と同じですね。
硬くなり過ぎると圧雪車でも砕けなくなるとのことでした。
天然雪と人工雪、どちらが作業しやすいかと聞いたところ、天然雪の方が楽で、人工降雪機は硬くなるのでやりにくいとの事です。
人工降雪機は水を霧状にして空気中で冷やして氷の粒にする・・・霧状の水を自然の気温で冷却してつくる。
シーズンの初めは雪が降らないので人工雪でベース(下地)を作る。
そうなると、ピステンの波模様も、現実的には大気との表面積を増やして冷却する意図があるのかも知れない。

パノラマコース(夏季は道路)には人工降雪機が無いので運搬してくるかと思ったら、100%天然雪なのだそうです。
人口雪で作るのはセントラル、4B の二つだけで、他の パラダイス、三笠ウィング、エキスパート、三笠は 100% 天然雪

モンブラン(以前は営業していたレストラン建物)の施設前まで来ました。営業していた最盛期は 65万人来ていたらしい。今の 20倍!!
(来場者の変遷 : 23-24冬季 3.5万人、22-23冬季 3.2万人、21-22冬季 2.5万人)
この規模なら 10万人くらい来て欲しいところ。
今御嶽スキー場に来ているスノーヤーは実はとても贅沢な環境なのか?

動物の出没を聞いてみると、兎が一番多いらしい(小さい茶色の点が兎)。
スキー場は足跡が多く、見分け方は足跡の繋がり方・・・三角形が兎、直線は狐てん、狸なのだそうです。
カモシカや熊など大型の動物は出没していないのだそうです。
カモシカは木曽方面で見たことがあるので、恐らくは三笠山周囲にいないだけで、離れた個所には生息していると思う。
猿はよく見る...。
エキスパートコース下に来ました。
圧雪車の仕様では30[deg]程度の登坂ができるが、雪が柔らか過ぎて登れないらしい。
御嶽スキー場は、施設(動産/不動産)の所有者自体は村(王滝村)の持ち物です。
指定管理者という制度で運営を管理会社で委託されています。
村の方針で 5年毎、役場との話し合いで更新するかどうかが決まります。
更新しない場合、スキー場が存続する場合は、管理会社は別の会社が選ばれることになる。
働いている人は入れ替わるか?
大体の人は新しい管理会社に移る=同じ場所で働く(農家さんなど)
社員は判らない・・・同じ会社に残る場合は別のスキー場に移る事になる。

バブル崩壊の後、赤字経営が問題視され公営のスキー場の多くが民間委託された。
民営化言うは易しいが働く人にとっては厳しい世界だと思う。
ただ、村にとっても公共の財産であり、管理費は税金でもあるので無限に費やすわけにもいかない。
両者納得の契約が交わされることを願わずにはいられない。
全てのスキー場がこういう運営形態をとっている訳ではなく、例えば白馬コルチナスキー場はホテルとスキー場運営が同じ会社(一体)である。

話しているうちにパノラマAコースの南側の崖っぷち、つつがさわのカーブへ差し掛かる。圧雪車キャビンが揺れるくらい風が強い場所なのだそうです。
パークの話になる。パークはパラダイスで作っていたが、今年は4Bにもつくる事にしたそうです。
もっと昔は色々あったらしいが、新しくパークを作る範囲を広げたと言う事は、クラウドファウンディングの目的が故障している人工降雪機のリノベーション資金確保だったことから、パーク新設には少しは貢献できたことになるな。

日中撮影した B4 のパークアイテム。なかなかの大きさ。
アイテム作るのは大変か聞いたところ、雪の確保が必要な点が大変で、特に大量の雪が必要なキッカーやスパインは労力とお金がかかるらしい。
4B は人工雪で圧雪車で加工して作っているのだそうです。ぽこじゃんのような小さいものは手作業で作るので、これも労力。お金がかかる。
お金といえば、人工雪の生成、特殊車両もお金がかかる事だと思う。
特殊車両は改造ではなくそういう車を買ってくるから、非常に高額なのだと思う。
田野原エリアに来ました。
火山レベルが 2に上がってから火山ガスの匂いがするようになったと聞きました。
今日は山の火山のにおいがしない・・・昨日はかなり強かった。風向きで変わるらしい。

第7クワッドリフト降り場、現在の最高部まで来ました。現在は運休しているゴンドラが見えます。
ざぶん、ゴンドラ の休止の理由を聞いたところ整備と電気代に物凄くお金がかかる・・・との事でした。
第七クワッドの降り場ではない、本当の最高部、標高2240[m]のゴンドラ降り場まで圧雪車は登る。
10年通って初めての経験...。

斜度がすごいんで、滑っていくかも知れないと警告される。
圧雪車にはシートベルトはない。脚で支えるしかない
圧雪車のエキスパートへの進入はシーズン中何回入るかですが昔は毎日入っていたそうです。

エキスパートコースは急傾斜なためガクンと落ちる。
斜面に進入。キャビンが傾く、仮面に足をつけて支えないと体がずり落ちてフロントガラスに叩きつけられそうだ。
映画で見る潜水艦艦内の潜水シーンのようだ。

ピンポン玉くらいの雪のかけらが圧雪車の前進速度より速く転がり落ちてゆく・・・。
柔らかいとキャタ履いていてもしならないとの事です。
パラダイスコースまで下ってきました。
バンクドスラローム、貸し切りベースバーン が作られています。
区切りは降雪機が並んでいて、それを基準に隔てているのだそうです。

カラマツリフト降り場、広くて傾斜の緩い場所で圧雪車の操縦体験。
一旦降りて、運転席へ。左ハンドルの車両の操縦は初めてです。
教えてもらいながら色々と操作する
まず、今回の圧雪車のミッションはオートマチックである。
ハンドル(円周ではなくU字状になっている)操作は推進装置が履帯なので反応に敏感する。
旋回は左右の履帯の速度差を使う。
ペダルは右側のアクセルのみ。足で押すのをやめると減速する。
サイドブレーキは右側椅子の隣の後方。前に90度倒す方式。
前後の操作はハンドルの左側上面に押し釦があり、それで切り換え。
前(奥)が前進、後が後退、二度押しでニュートラル。
ハンドルには右側にも同様にボタンがある。
左手でハンドルを、右手でジョイスティックブレードを操作する
ジョイスティック前側に二つ押し釦があり、上が赤いボタンで押してミルの上下
ジョイスティックの前後、左右でブレードの旋回と上下、片寄の開閉角度の調整
一度にこれだけの操作をしてるんだ・・・。
まずは走行、ブレードが雪面に付かないように上昇させて走行。走るとミルを下ろしていないのでキャタピラ跡が残る。
ミルを下ろして走行。キャタピラ跡が消えた。押し釦で切り換えただけなので、角度(深さ)は別の方法で調節するのだろう。
1周回ってくる。急旋回した個所の後方の見てみるとキャタピラ跡が残っている。急旋回するとキャタピラの軌跡がミルの範囲外に外れてしまうからだ(キャタピラ~スノーミルまでに距離があるため)。
圧雪には急旋回は禁物なのだ。1周回ってきたところで、登った時に圧雪した跡の隣を、今度は下りながら圧雪する。
前と後ろを見ながら、前回の圧雪跡の隣に隙間ができないように走行する。
アクセスペダルを踏む強さ(角度)は回転速度計?を見ながら調整するらしい。メーターの幅広の範囲に収めるのが1番作業性が良いのだそうだ。
オートマチックミッションなので、エンジン負荷に応じて変速機が切り換わり、巡航速度となるようなエンジン出力の範囲を選ぶのだろう。
離れないように重ならないように・・・、本来であれば後方のミルだけでなく前方のブレードも操作する訳だが、・・・走行、ブレード、ミル・・・これを同時に操作するのは集中力が要る・・・。毎日 8時間スキー場内を圧雪車2台で走り回って圧雪作業するのだそうで、これは疲れるな・・・・。

操作体験が終了して席を交代。
センターハウス前に戻りました。

貴重な体験有難うございましたとお礼を伝える。
運転手の方は深々と長い時間頭を下げていたのが印象的でした。
毎晩これだけの作業をされていてくれるので、スキー、スノーボードが快適に滑走できるのだと思う。
頭を下げるべきは私の方なのでは?・・という疑問が頭を離れませんでした。
貴重な体験をさせていただき有難うございました。
※ 掲載には許可を頂いています