
【毎度の山紀行です。ご興味の無い方は飛ばして下さい】
北穂高岳~槍ヶ岳間の大キレット、鹿島槍ヶ岳~五竜岳間の八峰キレットをクリアし、日本三大キレット(ピークの間にある鋭く切り立った鞍部。漢字で書くと切戸)で残る白馬鑓ヶ岳~唐松岳間の不帰ノ嶮を2022秋に一泊二日で踏破しました。
まず白馬岳へのポピュラールート、白馬大雪渓の入口、猿倉Pに未明に到着してX4をデポ。

真夏でも雪が溶け切らない長さ4キロ、幅500mに及ぶ白馬大雪渓へ。

空の青、雪渓の白にテンション爆上がり!
雪渓は赤いペンキか竹竿旗が正しい登山ルートで、変な所を歩くと雪が割れて雪解け水が造った空洞に落ちて骨折したり、氷点下の冷気に閉じ込められると直ぐに低体温症の危険も。

一方、雪解けとともに結構大きな落石も増えるのでヘルメット着用し、岩の落ちる音に耳をそば立てて登ります。

雪渓を登りきって外した軽アイゼンを小川で洗います。
雪渓歩きは締まった雪面歩行なので、前爪や踵爪のある12本爪アイゼンではなく、土踏まず部分だけの6本爪軽アイゼンでOKです。

特に白馬岳2,932m(しろうまだけ・日本百名山)はお花畑も見どころで、特に最盛期の7月は花を観に登る人も多いです。

白馬岳は、下の白馬杓子岳(しろうましゃくしだけ)と白馬鑓ヶ岳(しろうまやりがたけ)の三つ合わせて、白馬三山と呼ばれています。

タイミングよく主峰の白馬岳も姿を現しました。
因みに山頂直下の白馬山荘は定員1500名と日本最大の山小屋で、今や山ホテルと言えるほどの豪華さ!
予約無し登山者が殺到した時は、すし詰めはおろか廊下も埋め尽くして5000名を収用した記録もあるほど。
但し営利目的ではなく、遭難予防のため仕方なく受け入れた結果ですし、今は完全予約制で同じことは起きません。

今回は天狗山荘にお世話になります。
この山小屋は不帰ノ嶮をアタックするのに絶好ですが、数年前に大雪で崩壊した為、建て直されるまで、ずっと不帰ノ嶮はお預けでした。

テントサイトのバックに、さっき越えてきた秀麗な白馬鑓ヶ岳!

反対側には剱岳を遠望。

日本有数の経営規模を誇る白馬山荘クループなので小振りの小屋ながら食事はハイクレード🤗

小屋の直ぐ真裏に雪渓があるのが利点で、煮沸せずに飲めるほど美味しい雪融け水が自慢。

2日目は微妙な雲行きの朝焼け。

天狗の頭(かしら)から今日の目的地、手前から3番目、真ん中のピーク、唐松岳へのルートを確認。
一番奥は五竜岳と鹿島槍ケ岳(ともに百名山)で、白馬岳から鹿島槍ケ岳の山脈は富山県から見て立山の後ろに有るため、後立山連峰と言われます。

天狗の大下りはザレた岩の急斜面を一気に350m下るので慎重に。

振り返ると、大下りと言うだけあります。
これ逆コースで登ると結構大変なんです。

さぁ、ここからがキレット本番です。
ノコギリの様な稜線を全て通過します。
不帰ノ嶮は3峰で構成され、左崩落地の奥が1峰、真ん中2つが2峰の北峰と南峰、一番右が3峰です。

核心部は、目の前に壁の如く立ちはだかる第2峰。
これ、どこからどうやって登るねん?と少しビビって見てたら、今越えてきた私と同世代の女性4人組が目の前で抱き合って喜びを爆発。
戻れる訳じゃなし、そろそろ覚悟を決めて行きますか!

ずっと岩と鎖と格闘、アドレナリン全開😅。
結果的には見出し写真の青矢印ルートでした。

でも岩場だからこそ、岩と緑の景観は荒々しくも美しいからヤメめられない😚

ハシゴを渡って鎖を登り下を覗くと、見なきゃ良かった、となります。

それでも着実に歩を進めれば制覇出来るのが登山の面白いところ。
見落としそうな不帰2峰北峰のプレートが素朴で通っぽいです。

せっかく登ったのに、2峰南峰を越えたらまた下る、それがキレット。

核心部を越えれば、そこは山岳パラダイス。

3峰を越えれば唐松岳は目前。
でもここで雨が!
もう少し早く降られていたら、さっきの核心部は岩が滑ってヤバかったかも🤕

唐松岳まで後少し。

着いた!!!

山頂からは男性的なシルエットが迫力の五竜岳がドーン⛰️

唐松岳山頂を越えると唐松頂上山荘がお出迎え。
小屋から右下に伸びるジグザグは登山道ではなくテン場です。

唐松岳と不帰ノ嶮2峰を振り返ると、自分が本当に踏破してきたのか?と実感のない不思議な感覚に。

八方尾根の下山ルートは視界が広く、雲海を眺めながら快適な下り。
唐松岳はゴンドラとリフトで1,800m地点から登れ、往復5~6時間なのでアルプス入門コースとして人気があり、登山者が一気に増えます。
同様に、ロープウェイを使える入門編は、北アルプスでは新穂高温泉からの西穂独標、中央アルプスではしらび平からの木曽駒ヶ岳、八ヶ岳では蓼科高原からの北横岳等があります。

ヘルメットと岩場用革手袋を外したら緊張感がほぐれ、荒涼とした岩場から、草原と花畑の世界に降りてきて癒されます。

時間短縮の為、最後は白馬八方ゴンドラで楽をしました。

到着したら白馬八方バスターミナルまで歩き、インナーを着替えて猿倉行バスを待ち、X4を回収に戻ります。
三大キレット制覇の達成だけでなく、雪渓や花畑もあり、中身の濃い楽しい山行でした。
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2025/05/01 21:09:19