「俺は昔からファンだった」「昔の方が良かった」という台詞は、バンドが“売れた”時に必ず聞かれる声だ。“昔からのファン”=バンドの成長と共に伴走してきた実体験者なのだから、実はその音楽と健全に共存していける…はずだが、実際は、バンドの音楽性の変化(成長)に愛想を尽かし、「昔は良かった…」となることが多い。METALLICAのデビューアルバム「KILL’EM ALL」の輸入盤をミナミのタワーレコードで買ったのは、83年の夏だった。一発でハマって、HR/HM好きな友達にも聴かせたが、みんな「うわぁ…(苦笑)」と固まっていた。その後、「キング・レコード」から国内盤が出たのだが、ソッコーで廃盤になった。当時の音楽雑誌でも、そっぽを向かれていた…というよりも、笑いのネタになっていた。アンダーグラウンドのファン気質は熱い。このバンドの良さは、自分と一部のファンだけが知っているんだ、という気持ちが優越感になって、またそのバンドの音楽にのめり込む。METALLICAは、この忠実で熱心なアンダーグラウンドのファンによって育てられ、アンダーグラウンドのファンによって大きくなったバンドだった。活字媒体や映像媒体に「あんなのクソだ」とそっぽを向かれても、ファンの意識が常にビジネスに先行した。だから、86年の3rdアルバム「MASTER OF PAPPETS」が全米チャートで上位にランクインされたときの私達ファンは、心でガッツポーズだった(笑)1曲目は“バッテリー”だ。クルマのバッテリーではなく、“同種の群れ”“一対のもの”という意味だ(野球のピッチャーとキャッチャーもそう言う)。“絆は俺達の中にある 俺達とお前達はバッテリーだ”という歌詩は、ファンの願望を具体化した最高の表現だったなぁ…高校1年生になったばかりの私にとって、METALLICAは絶対一番のバンドだった。日本で、私と同じようにMETALLICAのデビュー当時から一緒に年齢を重ねてきたファンは、どれくらいの数いるのだろうか。とてもラッキーだったけれど、今となっては(悲しいけれど)時の流れの魔法を見る思いでいるのだなぁ…