
朝霧の中、静かに目を覚ます小さな軽。
三菱 eKスポーツ H81W。
ターボが控えめに唸り、軽やかな音を立てながらエンジンが回り始める。
見上げる峠道は、鋭角なコーナーの連続。
ワインディングロードとしてはタフなコースだが、この車には「やる気」がある。
セレクトレバーを「D」へ。
踏み込んだアクセルに応えて、軽やかに前へ出る。
660ccとは思えないトルク感。ターボがしっかりと効いている。
最初のカーブに差し掛かる。
ステアリングは素直で、車体が軽いぶん、反応がシャープ。
重たいスポーツカーのような剛性感はないが、それが逆に楽しい。
登り坂でもエンジンは粘る。
タコメーターを見れば、3,000回転を超えたあたりからグイッとパワーが出てくる。
パドルシフトなんてないが、右足とステアリングでリズムを作る。
「小さいけれど、よく走るじゃないか」
思わず口元が緩む。
途中、86が後ろから追い上げてくる。
すっと道を譲り、軽く会釈。
でも、この車にはこの車なりの「走りの喜び」があるのだ。
見た目は街乗り軽。だけど、走りは侮れない。
車体の小ささを活かして、細かなコーナーをスイスイと抜けていく。
頂上のパーキングに着くと、エンジンを切って外に出る。
山の空気は冷たく、朝日が雲間から差し込んできた。
ターボの残り香が、ボンネットの下からじんわりと立ちのぼる。
eKスポーツが誇らしげに見えた。
Posted at 2025/06/13 13:35:46 |
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