●● エアコン・MB車・ガス補充方法 ●●
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冷房の仕組みを考える際、部屋を冷やすという考え方をすると
頭がバカになります。
裕福になるということはお金が増えるということであり、
貧乏になるということはお金が減ることだというのと同様の思考法で、
部屋の熱を奪うということが結果として部屋を冷やすということになる
という風に考えると良いです。
お金持ちの人の財布からお金を奪うことでその人を貧乏にするのです。
お金持ちの人の財布に貧乏クジを入れることでその人を貧乏にする
ということは無理です。
冷というものはこの世には存在しません。
熱というものだけがこの世に存在するのです。
室内に存在してた熱を室外に移動すると、結果として室内が
冷たくなって室外が暑くなるのです。
移動するのは冷ではなく熱です。
熱が少ないことを人が冷と呼んでいるに過ぎないのです。
エアコンの仕組みは、簡単にいえば、密閉された管の中を冷媒が
ただグルグル流れていくだけです。
その管は室内のエアコンの吹き出し口の奥の方を通り、室外に出て、
また戻ってくる、という循環をひたすら繰り返します。
熱の移動は配管の素材金属を介して行われるので
冷媒自体が空間露出することはありません。
冷媒は常に配管の中です。
冷媒が室内に来るときには冷たくなっていて、
室内の熱によって温められます。
この時、相対的に室内の熱が奪われるので部屋は冷えます。
温まった冷媒は室外に出たあと外気で冷まされて、
また室内に戻ってくるという循環です。
室内の吹き出し口の奥にはエバポレーターという
網目状態の表面積の多いフィン形状になっていて、
そこで室内の熱を効率よく奪いとるようになっています。
室外に出たあと、熱を冷ます(つまり、外気に熱を奪ってもらう)
部分も、やはり同じような網目状のフィンになっていて、
これがコンデンサー(凝縮器)という部分です。
車では大抵フロントグリルの内側にあります。
コンデンサーに強制的に外気を当てるためのファンが
フロントグリルとコンデンサーの間にあります。
ただ、これだけでは扇風機と大差ない程度の冷房能力しか
得られないので、もう1つ大きな工夫があります。
冷媒の流れる管の経路の途中に、コンプレッサー(圧縮器)があり、
ここで冷媒をギュッと圧縮します。
冷媒はガス(気体)ですが、コンプレッサーで圧縮されることによって
冷媒の温度が上がります。
高圧になると密度が上がり分子同士の衝突が増えて温度が上がります。
外圧のエネルギーが移動するという考え方でも構いませんが、
冷媒に限らず空気でも何でもどんな気体だって外部圧力で
圧縮することにより体積を無理矢理小さくしてやると
温度が上がるという自然の法則があります。
コンプレッサーで冷媒ガスを高圧にすると冷媒自体の温度が上がります。
なんでわざわざ冷媒の温度を上げるのだという
疑問が湧くかもしれませんが、いったんここで少なくとも外気温よりも
高い温度まで上げることが非常に重要です。
ここで温度をあげた方法が決してヒーターなどによる
外部からの加熱ではなく、あくまで圧縮による冷媒自身の熱だ
ということがキモです。
外気より高温にすることで、この後、外気にこの熱を捨てることが
できるようになるからです。
熱の移動は、高温な物から低温な物への移動しかしかできません。
逆はあり得ません。おでこに、おでこより冷たいタオルを載せたら、
おでこの熱がタオルに移動します。
熱は高いところから低いところに移動して、同じ温度になろうとします。
また、コンプレッサーで高圧になることで、冷媒の沸点が上がります。
つまり、圧縮する前ならば沸騰してしまっていたであろう
温度まで冷媒の温度が上がっても、圧縮されたあとでは
冷媒は沸騰しにくくなります。
つまり、高温でもなかなか気体のままではいられなくなり
一部分は液体になるほどになります。
(この時の冷媒の沸点が60℃だとすると、冷媒は60℃を下回ると
液体になってしまいます)。
この高圧かつ高温(少なくとも外気よりは十分高温)となった冷媒が
コンデンサー(フロントグリルの内側にあるアミアミ)に送られて、
そこで冷却ファンの風を浴びせられることで、
外気が冷媒の熱を奪ってくれます。
高圧なまま温度は外気並みに下げられます。
もしこの冷媒が外気温よりも低温だったなら、外気の熱が冷媒に
移動してしまいます。そうならないよう、
外気よりも十分熱くなるまでコンプレッサーで圧縮をするのです。
大事なことは、コンデンサーで冷媒の熱を外気に捨てる
ということなので、外気より高温の状態になるまで、
コンプレッサーで冷媒を圧縮して高圧状態にするのです。
コンデンサーが冷却ファンによって外気を浴びせられることで、
中の冷媒は高圧状態で沸点が上がった状態ではありながらも
外気並みに温度が下がるため、ほぼ液体になります。
これを配管内の霧吹きのようなもので室内の
エバポレーター内に吹きます。
エバポレーター内は低圧にしてあります。
つまり一気に圧力を下げると、高圧な時よりも沸点が下がるので
ここで冷媒は一気に気化します。
圧力が下がることで温度が下がりますが、
圧縮されたまま外気温並に冷まされた後なのですから、
圧縮前の時と比べるとこの時には冷媒はとても冷たくなります。
低圧かつ低温のガスです。
(この時の冷媒の沸点がマイナス10℃だとすると、
冷媒は0℃以上の状態では必ず気体になります。)
この低温ガスが流れ込むエバポレーターは室内の空気の温度と
比較すると強烈に低温なので室内の熱を奪います。
室内側のファンでエバポレーターに室内の風を当てることで、
エバポレーター外側周辺の冷えた空気をふっとばして、
まだ冷えてない空気をエバポレーターに当てます。
冷えてない空気はエバポレーターに熱を奪われることで冷え、
吹き出し口から吹き出します。
吹き出した冷たい風は、室内のまだ暖かい空気の熱を奪います。
日中は天井などから太陽の熱で室内が温め続けられていますが、
それに負けない速さで室内の熱を室外に追い出し続ければ勝ちです。
外気導入にしていると、室内の空気ではなく外気を
エバポレーターに当てますので、吹き出し口から吹き出した
低温の風が室内の空気の熱を奪ってはくれますが、
内気循環よりも室内の熱を奪う効率は落ちます。
ただ、内気循環だと人間の呼吸により室内の酸素が薄くなっても
なかなか気付かず窒息死するかもしれません。
室内の酸素が減るといつのまにか眠くなってしまい
安らかな眠りにつくことになりますので、
車中泊などでは外気導入の方が良いです。
エバポレーターの中の冷媒は、室内の空気の熱を奪ったあと
中くらいの温度となり室外に出て行きます。
これがまたコンプレッサーで圧縮され、高圧かつ高温の液体に近い
気体の状態でコンデンサー(凝縮器)に送られる、
そこで外気に熱を奪われて、また蒸発器(エバポレーター)へ、
という循環です。
エバポレーターやコンデンサーなどを総じて熱交換器と呼びます。
熱を預けてよそへ放り出すための、よくできた仕組みです。
また、よく冷えた生ビールのジョッキの外側には
室内の空気の中の水分が結露するのと同じように、
エバポレーターの外側には室内の空気中の水分が結露し、
この水分は物理的経路としての排水ホースを伝って室外にポタポタと
放出されていきますから、室内の湿度もどんどん下がります。
エアコンの冷房をかけると室内の湿気がなくなって
カラっとするのはこのためです。
大雑把に、これがエアコンの仕組みです。
基本的に家庭用エアコンも同じで、室外機にコンプレッサーと
コンデンサー、室内機にエバポレーターがあります。
エアコンを使う限り、室内の熱はどんどん室外へと移動します。
経路は違えど室内の湿気も室外へと物理的に移動します。
中は涼しく、外は暑くなっていきます。
また、コンプレッサーを動かすためのエネルギーが必要で、
そのエネルギー分の発熱が外をさらに暑くします。
冷蔵庫や冷凍庫も同じような仕組みですが、
エアコンで言うところの室内というのは庫内であり、
エアコンで言うところの室外というのは設置室内なので、
冷蔵庫や冷凍庫を置いている部屋は庫内の熱が移動してくる分と
コンプレッサーを動かすための動力の排熱とで、
どんどん暑くなっていきます。
庫内の湿気は外に排出された後、そのまま設置室内に蒸発させられる
ので設置室内は湿度も上がります。
車庫の中の車がエアコンをかけると車内は涼しくなりますが
車庫内はとても暑くなります。
冷媒として使われるのは、圧力の変化によって温度が変化しやすく、
沸点の変化のコントロールがしやすい物質です。
つまり圧縮する直前の段階では気体であること。
圧縮したあとに外気で冷ますと
液体になる程度の沸点(高圧時)であること。
霧吹きで吹いた程度で一気に気化してくれる沸点(低圧時)であること。
そして、それ自体が人体や自然に無害であること。
昔の冷媒は地球のオゾン層を破壊し、問題になりました。
さらに昨今では、大気中に放出された場合にそのガス自体が
地球温暖化の原因になりにくいことも求められており、
改良されつつあります。
そもそもエアコンや冷蔵庫などを使うことをやめるのが一番良いとは
思いますが、なかなか快適性は捨てられません。
管の途中、コンプレッサーの手前の低圧側、
コンプレッサーの直後の高圧側に、それぞれバルブがあり、
そこに圧力計を繋ぐことでエアコン機関が正しく動作しているか
どうかを調べることができます。
コンプレッサーの動作を確認するには、当然高圧側バルブの圧力を
見る必要があります。
低圧側の圧力と比較して、コンプレッサーがきちんと仕事をしていれば
高圧側の圧力計が高い数値を示します。
ガス自体が減ってくると低圧側の圧力数値も下がってくることでしょう。
低圧側の圧力が下がったからといって、必ずしもそれがガス量の
低下だとは言いきれません。ほかにも原因はあり得るからです。
密閉された循環機関なので、管に穴が空いたりでもしない限り、
冷媒が減ってしまうことは原則ありませんが、
管の継ぎ目やコンプレッサーやバルブなどから1年に10g程度は
目減りがあると言われています。
ただ、管の経路の途中にはいったん冷媒を備蓄しておく
リザーブタンク的な役割の物があり、
100g程度の余力容量があるので冷媒ガスが多少減っても
計測値に異変は起こらないようになっているようです。
昔の車の常識としては、冷媒ガスが減ったら足すのが
当たり前という感じでしたが、最近の車では安易な冷媒ガスの
継ぎ足しを容認しないようになっているようです。
おそらく、むやみに冷媒を追加することでコンプレッサーに
負担がかかってしまうことを嫌ってのことでしょう。
正しい整備方法としては、いったん全ての冷媒ガスを抜き、
管の中を外部ポンプで真空にし、
規定量の冷媒ガスとコンプレッサーオイル
(コンプレッサーの潤滑のためオイル量が規定されてます)を
改めて入れ直すということになります。
タイヤの空気と違って冷媒については圧ではなく量を重視
しているからです。
ただ、もちろんコンプレッサーや配管が正しい状態にあるので
あれば低圧側と高圧側の圧力バランスを見て適宜微調整することは
間違いではないと思います。
温度や湿度によって圧力計の数値は変わりますし、
そもそも低圧側でも高圧側でも、圧力計の数値から冷媒ガス総量を
正確に見ることは不可能です。
冷媒ガスは少なすぎると当然エアコンとしての能力が低下しますが、
だからといって多すぎてもいけません。
多すぎるとコンプレッサーが圧縮しようとしても
ガス圧に負けてしまいます。
経年によりどの程度ガスが減っているのかは、実際に全て抜いて、
その抜いた分の冷媒の重量が何グラムだったかを測ってみないと
わかりません。良いところに行くとそう言う機械があります。
ただ、仕組みを理解することで、
ある程度の想像をつけることはできそうです。
安価に済ませるエアコン整備として、ガスの補充をするのならば、
そこをよく考えた上で行う必要がありますし、
当然、自己責任となります。
うちの車は、冷媒ガスはHFC-134a(R134a)で全量590グラム
(調整誤差±10g)規定、
コンプレッサーオイルはPAG46で全量120ミリリットル
(調整誤差±10mL)規定です。
たとえ圧力と温度の特性が似ていたとしても異なる物質なので
違う種類の冷媒ガスやオイルを混ぜてはいけません。
ガス種についてはさすがに間違える人は少ないと思いますが、
PAGオイルとPOEオイルの取り違えにはくれぐれも注意が必要です。
ハイブリッド車や電気自動車にはPOEオイル
(電気に対して絶縁性がある)が使われることがほとんどです。
POE仕様の車にPAGのオイルを混入させてはいけません。
点検交換ツールのホース内側にもエアコンオイルは付着するため、
交換機器・ホース等も使い分けが必要です。
PAGオイル(通電性がある)も、粘度によってPAG46とか
PAG100とかPAG150があります。
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冷媒ガスHFC-134aの特性
組成 R-134a
分子量 102.0
沸点 (圧縮しないとき) -26.1 ℃、
沸点(参考値) 5kg/cm2のゲージ圧力で圧縮したとき +20℃
沸点(参考値) 15kg/cm2のゲージ圧力で圧縮したとき +60℃
沸点(参考値) 25kg/cm2のゲージ圧力で圧縮したとき +80℃
臨界温度 100.9 ℃
臨界圧力 4.05 MPa
飽和蒸気圧(25℃のとき) 0.67 MPa
気化熱(沸点のとき) 217 kJ/kg
熱伝導率(25℃で飽和液体のとき) 81 mW/m・K
熱伝導率(25℃で常圧蒸気のとき) 13 mW/m・K
燃焼性 不燃
オゾン破壊係数 0
地球温暖化係数 1,430
理屈や、物の単位がわからない場合は、
一つ前のブログを読んでいただければと思います。
https://minkara.carview.co.jp/userid/3234150/blog/44225128/
●●●●●●●● 完 ●●●●●●●●